修了考査の学習法②(経営・IT・職業倫理)

目次

はじめに

 今年度も残り2ヶ月となり、年度末に向けて少しずつ慌ただしくなってきましたね。2月は1年の中で最も短い月なので、ぼーっとしているとあっという間に過ぎ去ってしまいます。公認会計士や税理士にとっては、確定申告や12月決算会社の期末監査など何かと忙しい時期で、仕事に追われているうちに気が付いたら3月になっていた…なんてこともあります。限られた時間を無駄にしないためにも、1ヶ月の目標を立てて、1日1日を丁寧に過ごしていきたいですね!
 
 さて、今回は「修了考査」シリーズのラストということで、「経営に関する理論及び実務」、「コンピュータに関する理論及び実務」、「公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理」の3科目について科目の概要と勉強方法をご紹介します!

経営に関する理論及び実務

 経営は、主に、以下の3分野から出題されます。
 ⑴財務分析を中心とした企業分析の実務
 ⑵企業評価の実務
 ⑶企業におけるリスク管理
 
 ⑴では、公認会計士試験の科目の管理会計論における、財務情報分析やCVP分析に加えて、「生産性分析」という分野からの出題があります。「生産性分析」は、付加価値の概念を用いて、人、物、資本の3つの角度から企業の生産性を分析する手法ですが、公認会計士試験では触れることのない内容であり、考え方と計算式を新たにインプットする必要があります。

 ⑵では、管理会計論や財務管理論(経営学)でお馴染みの「企業価値評価」の計算に加えて、「デューディリジェンス」の目的や類型等に関する理論が出題されます。そのため、会計士試験のおさらいを中心に、「デューディリジェンス」についても押さえておく必要があります。

 ⑶では、主に「コーポレートガバナンス・コード」から出題されます。「コーポレートガバナンス・コード」とは、東京証券取引所によって取りまとめられた、上場企業の企業統治に関するガイドラインです。会計士試験で経営学を選択した方は、軽く触れているはずですが、今一度、基本原則の内容と各規定の中身を確認しておくと良いでしょう。

このように、経営は、会計士試験までの知識でカバーできる範囲が広く、且つ、配点も100点なので、前回紹介した3科目(会計、監査、租税)よりも優先度は下がります。したがって、3科目のインプットが完了してから着手すれば良く、私自身も10月から勉強を開始しました。勉強方法としては、まず、新たに覚えなければならない分野の講義を受講して、最低限のインプットを終わらせた後、答練を解きながら出題傾向の分析とアウトプットの練習をしました。本番までに答練を3周して完璧に仕上げ、直前期にもう一度テキストを確認して完了です。

以上より、経営の勉強時間は、合計20時間でした。なお、本試験では、次項の「コンピュータに関する理論及び実務」と併せて2時間の試験科目として扱われます。

コンピュータに関する理論及び実務

 ITは、企業におけるITの利用及びIT委員会報告に対する理解を問う科目です。日頃から、IT監査に従事していない限り、企業のIT環境を理解したり、IT利用に関するリスクを検討したりする機会は少ないかと思いますので、基本的には一からインプットが必要になります。とはいえ、暗記と理解のみで対応が可能な科目であり、且つ、配点が100点のため、こちらも優先度は低めです。

私は、10月から勉強を始め、まずは一通り講義を受講し、関連法規(IT委員会報告書、IT委員会研究報告等)に目を通してから、答練を3周しました。ITは日々進化しており、特に近年はリモートワークが加速するなど、何かとトピックの多い分野であることから、単に理論を押さえるだけではなく、会計、監査に関するIT周りの最新の動向にもアンテナを張っておくと良いのではないかと思います。

以上より、ITの勉強時間は、合計40時間でした。

公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理

 職業倫理では、公認会計士が行う業務で必要とされる職業倫理等の規制及び法令による公認会計士に対する規制について出題されます。具体的には、監査論で学習した「倫理規則」をはじめ、公認会計士に対する規制を定めた各種の法令等に関する知識及び理解を問う科目です。法令等の詳細は、日本公認会計士協会のホームページで公開されている「修了考査受験案内」をご参照ください。

職業倫理は、試験時間が1時間、配点が100点のため優先度が低いです。複雑な理論が含まれず、ほぼ暗記のみで対応できる科目ですので、個人的には、直前期に一気に詰め込む方法が最も効果的だと思います。しかし、毎年この科目で足きりになってしまう受験生が出ているようですので、あまり油断しすぎずに、最低限の勉強時間は確保するようにしましょう。

私は、他の科目の勉強がある程度落ち着いてから、一気に講義を聞いて、関連法規を暗記しました。早めに着手しても忘れてしまう可能性があるので、試験1~2週間前から集中して取り組むのが良いでしょう。また、この科目は、答練が1回分しか用意されていなかったので、過去2年分の本試験問題にも目を通して重要なポイントをチェックしました。

以上より、職業倫理の勉強時間は、合計10時間でした。

おわりに

 今回は、経営、IT、職業倫理の出題範囲と対策方法をご紹介しました。これらの科目は、会計、監査、租税に比べて配点が低く、勉強の優先度は下がるので、まずは主要科目を優先的に勉強し、ある程度の目途が立ってから着手すると良いと思います。ただし、「修了考査」に足きり制度がある以上、最低限の対策は必要になりますので、後回しにしたばかりに手を付けられなかったということが無いよう、事前にスケジュールを立てて、必要な勉強時間を確保しておきましょう!

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