目次
問題
問1事業場内での事故による負傷であっても、例えば自動車の整備に従事する者が事業場の施設内で休憩時間中に喫煙しようとしたところガソリンの染み込んだ作業衣に引火して生じた火傷は、休憩時間中の私的行為によるものであるので、業務上の負傷に該当しない。(平成19年)
問2建設現場を巡回中の作業長である労働者が、作業に手抜きをしている大工を発見し、大工にこれを指摘し作業のやり直しを要求したところ、大工が反抗的態度をとったため口論となり、大工から不意に建築用資材を手にして打ってかかられ、負傷した。本件は、業務外の災害である。(平成5年)
問3運送会社の車両整備員である労働者が、自動車検査証の更新(車検)のために陸運支局に赴いたところ、昼休みを利用して自動車検査官がストーブの煙突の取り外し作業を行っていた。自動車検査官が作業に難渋している様子が見受けられたので、当該労働者が、木に登って自動車検査官の作業を手伝っていたところ、誤って転落し死亡した。本件は、業務上の災害である。(平成7年)
問4心理的負荷による精神障害の認定基準において、業務による強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかという観点から評価されるものであるとされている。(平成30年)
ポイント!!
業務災害とは、労働者の業務上の事由による負傷、疾病、障害又は死亡をいう。
● 業務災害の認定基準
業務災害と認定されるためには、①業務遂行性と②業務起因性の2つの条件を備えていることが必要となる。①「業務遂行性」…労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいう。②「業務起因性」…業務に起因して災害が発生し、その傷病等との間に相当因果関係があること。● 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準
次の(イ)、(ロ)又は(ハ)の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、労働基準法施行規則別表第1の2第8号に該当する業務上の疾病として取り扱う。(イ) 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事(「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。(ロ) 発症に近接した時期(評価期間=発症前おおむね1週間)において、特に過重な業務(「短期間の過重業務」という。)に就労したこと。(ハ) 発症前の長期(評価期間=発症前おおむね6か月間)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。
● 心理的負荷による精神障害の認定基準
次の(イ)、(ロ)及び(ハ)のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱う。(イ) 対象疾病を発病していること。(ロ) 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。(ハ) 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。