CROSS STUDY憲法・刑法リリースしました!&正答率50%未満の商業登記法の過去問肢のご紹介

司法書士コラム

皆さんこんにちは。

クレアール司法書士講座を受講して令和4年度司法書士試験に合格したR.Nです。

本日、長らくお待たせしておりましたCROSS STUDY憲法・刑法をリリースいたしました!
これにて司法書士試験で出題される全科目のリリースが完了になります!
是非日々の学習にお役立てください。

憲法は、午前の部の冒頭で3問出題されますので、是非全問正解して、続く民法への弾みをつけたい科目です。判例等の基本的な知識を中心に出題されますので、確実に得点できるようにしっかり学習してください。憲法は、民法と不動産登記法のように内容がリンクしている科目がないため、司法書士試験とは全く別の勉強をしているような感覚になるかもしれません息抜きに少しずつ演習するのをオススメします。
刑法も、憲法と同じく3問出題されますので、可能であれば全問正解を狙いたい科目です。ですが、内容的にかなり難解な分野もありますので、入れ込みすぎないように気を付けましょう。個人的に、刑法は知識が付いてくると面白くなって追究したくなってしまう科目であると感じています。過去問で出題されている判例の知識を中心に、効率よく学習してください。

なお、民法から始まりましたCROSS STUDYのリリースから約半年間で、受講生の皆様が問題に取り組まれた回数(問題解答回数の合計)は、 80万回 に迫る勢いとなっております!
年末年始も、是非皆様の勉強のお供として、是非気軽に取り組んでいただけたらと願っています。

本日は、現段階でのCROSS STUDY上のデータをもとに、商業登記法の正答率50%未満の過去問肢について、一部抜粋してご紹介したいと思います。

商業登記法の正答率50%未満の肢は全部で7肢あり、不動産登記法(27肢)と比べたら意外なほどに少ない結果となりました。
商法・会社法も4肢と少なかったことを鑑みると、商法・会社法及び商業登記法は、基礎知識の暗記によって正答率を安定させやすい科目であると言えると思います。

是非、全範囲をテンポよく網羅的に演習することができるCROSS STUDYを用いて学習し、商法・会社法及び商業登記法を得意科目として頂きたいです。

※以下、CROSS STUDY画面右上の8桁の問題IDを、「CS問題ID」と省略して示します。

分野:組織再編等の登記/吸収合併の登記 正答率:40.0%

令和3年度 第31問 肢ウ(CS問題ID:R03313PA)

【問題】
消滅会社が債権者保護手続に係る公告を官報及び定款の定めに従って電子公告の方法によりした場合には、不法行為によって生じた消滅会社の債務の債権者がいるときであっても、吸収合併による変更の登記の申請書には、当該債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付することを要しない。

【解答・解説】
正しい。組織再編行為の債権者保護手続について、二重公告をすることによっても不法行為によって生じた債務の債権者に対する各別の催告を省略することができないのは、吸収分割における分割会社の場合だけである(会789条3項括弧書)。本問のように、吸収合併消滅会社がする債権者保護手続については、不法行為によって生じた債務者の債権者がいる場合であっても、二重公告をすることにより、各別の催告を省略することが可能である。

(コメント)
まずは、「吸収分割における分割会社の場合のみ、組織再編行為の債権者保護手続について、二重公告をすることによっても不法行為によって生じた債務の債権者に対する各別の催告を省略することができない。」という知識をしっかり押さえてください。
組織再編は難解なので苦手な受験生が多いですが、本問のような「吸収合併」と「吸収分割」の知識を混同するような問題など、ひっかけがパターン化されている出題もあると思いますので、焦らずに問題文を読みましょう。

分野:株式会社の登記/資本金額等の変更の登記 正答率:41.3%

平成27年度 第31問 肢オ(CS問題ID:H27315PA)

【問題】
会計監査人設置会社でない株式会社が、臨時株主総会の決議により準備金の額を減少し、かつ、その減少額が直近の定時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えない場合において、その減少額の一部を資本金とするときは、債権者保護手続が必要となるが、その登記の申請書には債権者保護手続を行ったことを証する書面の添付を要しない。

【解答・解説】
正しい。債権者保護手続を必要とするが、債権者保護手続を行ったことを証する書面の添付を要しない準備金の減少額が直近の定時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えない場合であっても、定時株主総会ではなく、臨時株主総会の決議により準備金の額を減少しているときは、債権者保護手続を行わなければならない(会449条1項ただし書参照)。ただし、この債権者保護手続は準備金の減少に関する手続であり、資本金の額の増加による変更登記の添付書面として要求されていない(商登69条、平18.3.31-782号)。

(コメント)
準備金の減少額が、直近の定時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えない場合であっても、臨時株主総会の決議により準備金の額を減少しているときは、債権者保護手続を行わなければならないですが、その資本金の額の増加による変更登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面の添付は不要となります。
会社法上必要な手続であっても、その手続を行ったことの証明としての添付書面は、商業登記法上要求されないパターンがありますので、しっかり押さえましょう。

分野:株式会社の登記/募集株式の発行による変更の登記 正答率:43.5%

平成29年度 第30問 肢ア(CS問題ID:H29301PA)

【問題】
取締役会設置会社における、株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行に際し、定款に「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。」旨の定めがある会社が、募集株式を引き受けようとする者と総数引受契約を締結した場合には、募集株式の発行による変更の登記の申請書には、定款に別段の定めがあるときを除き、総数引受契約を承認した株主総会の議事録を添付しなければならない。

【解答・解説】
誤り。募集株式の発行に際し、募集株式を引き受けようとする者と総数引受契約を締結した場合において、募集株式が譲渡制限株式である場合には、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、総数引受契約の承認を受けなければならない(会204条2項、205条2項)。取締役会設置会社の場合、取締役会の決議によって総数引受契約の承認を受けなければならないため、募集株式の発行による変更登記の申請書には、総数引受契約を承認した取締役会の議事録を添付しなければならない(商登46条2項)。

(コメント)
取締役会設置会社は、株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行に際し、募集株式を引き受けようとする者と総数引受契約を締結した場合において、募集株式が譲渡制限株式である場合には、取締役会の決議によって、総数引受契約の承認を受けなければなりません。このことは、定款に「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。」旨の定款の定めがある場合であっても、変わりはありません。

分野:組織再編等の登記/組織変更の登記 正答率:46.7%

令和4年度 第34問 肢ウ(CS問題ID:R04343PA)

【問題】
合同会社が取締役会設置会社でない株式会社となる組織変更をした場合は、組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

【解答・解説】
誤り。株式会社の設立合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない(商登規61条4項前段)。

(コメント)
合併及び組織変更による設立の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する必要はありません。重要知識ですので、絶対に忘れないようにしましょう。
逆に言うと、会社分割及び株式移転による設立の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する必要があります
これらの知識は記述式の添付書面でも問われますので、混同しないようにしましょう。

分野:株式会社の登記/設立の登記 正答率:49.0%

平成30年度 第29問 肢イ(CS問題ID:H30292PA)

【問題】
株式会社の設立が発起設立であり、発起人がA株式会社及びB株式会社のみである場合において、A株式会社及びB株式会社が両社の代表取締役を兼務するC名義の預金口座に出資に係る金銭を払い込んだときは、Cが設立する会社の設立時取締役でないとしても、各発起人がCに対して払込金の受領権限を委任したことを証する書面を添付して設立の登記を申請することができる。

【解答・解説】
誤り。発起設立による株式会社の設立の登記の申請書には、会社法34条1項の規定による払込みがあったことを証する書面を添付しなければならず(商登47条2項5号)、当該払込みがあったことを証する書面の一部として、払扱機関における口座の預金通帳の写しを使用することができる。この場合、当該預金通帳の口座名義人は、原則として発起人又は設立時取締役のいずれかであることを要するが、登記申請書の添付書面の記載から、発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかであり、発起人が口座名義人に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を併せて添付したときは、当該預金通帳の口座名義人が発起人及び設立時取締役以外の者であっても差し支えない(平29.3.17-41号)。本問は「発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかであるとき」という要件が問題文に示されていないため、誤りとなる。

(コメント)
発起設立による株式会社の設立の登記の申請書に添付しなければならない払込みがあったことを証する書面として、当該預金通帳の口座名義人が発起人及び設立時取締役以外の者であっても認められる場合としては、
登記申請書の添付書面の記載から発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかであること
発起人が口座名義人に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を併せて添付したこと
の2つの要件を満たす必要があります。
感覚的には、②の要件さえ満たしていれば申請できるように感じられそうで、①はつい失念しがちですので、しっかり認識しましょう。

以上、正答率が50%未満である5肢についてご紹介いたしました。
これらについて全て正解することができた方は、商業登記法の細かい知識まで身に付いていますので、自信を持って頂きたいです

暗記色の強い商法・会社法及び商業登記法ですから、軸になる知識をしっかりと持っていれば、5肢択一形式の問題が非常に解きやすくなります。
1肢の問題文が長い問題も多く、苦手とする受験生も多くいる印象ですが、範囲が被る限り会社法と併せて纏めて演習して、より強固な知識を身に付けるように、何十回でも演習を繰り返していただきたいです。

2023年も残りあと僅かです。年が明けてしまえば、令和6年度司法書士試験まであっという間だと思います。
年末年始は、勿論ゆっくりと心身を休めることも大切ですが、可能なら学習習慣を絶やさないようにしていただきたく存じます。
気持ちよく新年のスタートを切れるように、時間を大切にお過ごしください。

執筆:R.N(司法書士有資格者)

クレアールの初学者向け司法書士講座を受講し、令和4年度司法書士試験に一発合格。
大学在学中は司法試験を目指していたが、挫折してしまい法科大学院に進学しなかった経験あり。法律難関資格への想いを断つことができず、司法書士試験を目指すことに。
現在は、クレアールの司法書士教務担当として受講生のサポートなどを行う。他に行政書士、宅建士、日商簿記2級、漢検準1級等を保有。

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