簿記1級向け:点数が伸びない理由を探ろう【前編】~何を問われているかを見極めよう~

公認会計士コラム

N.K 講師(簿記講座)

簿記講座質問担当。前職で取得が課されていた某国家試験の勉強時に「問題の難易度の見極め」の重要性に気が付く。「教科書的な解き方ではなく、現実的にどう解くか」がモットー。サッカー、旅行、ネコが好き。

学習時間は十分なはずなのに・・・

「学習時間は十分なはずなのに、本試験になると点数が伸びない」
資格・検定試験を受験されている方が直面する壁の一つです。今回は対象を簿記1級に絞ってその理由を考えてみましょう。

仕訳だけができても点数は伸びない

出だしからショッキングかもしれません。仕訳を否定する意図はありませんが、仕訳を書き出せるようになっても得点にはつながりません。

その理由は「仕訳は出題されない」

簿記3級は45点、2級は32点(工業簿記を含む)と、全得点のうち仕訳が占める割合の大きさからもその対策は必要でした。
しかし、簿記1級では、160回試験以降、商業簿記・会計学では仕訳自体を問う出題はたったの1題(前回171回試験で連結の開始仕訳が問われました)にすぎません。
財務諸表作成問題が出題の大半を占めるのであれば、普段からP/L・B/Sを意識して学習を進めることが重要です。

仕訳中心の学習の問題点①

よくあるご質問「この相手勘定は未払金・未収収益のどちらですか?」
簿記・会計学の学問としてこれらの違いを考えることは重要です。実務でもどちらに分類するかは議論となるようです。

ただし、試験では簡単です。多くの場合、解答用紙のB/Sのフォーマットに上記のいずれかが与えられています(両方与えられることは稀と考えます)。それに従って解答をすればそれで正解です。財務諸表を意識する学習を勧める理由の一つです。

仕訳中心の学習の問題点②

商業簿記・会計学の試験時間を考えると、全ての問題の仕訳を書き出す余裕はありません。また、書き出した仕訳を集計して解答用紙に反映させる時間の確保も難しいと思われます。
普段の学習の方法が試験の出題方法と相違していること。これも点数の伸びに繋がらない理由と考えます。

実際に試してみよう

練習問題を用意しました。制限時間1分で解いてみましょう。

・問題
以下の各資料をもとに①〜⑤に当てはまる金額を答えなさい。株式数・税効果会計は考慮しないものとする。

解説

・売買目的有価証券/その他有価証券
各有価証券の期末評価のルールを覚えることが重要です。
これら2つの有価証券は、
・期末に時価評価を行うこと
・評価差額を計上すること
問題に当てはめると、①②は資料2の期末時点の時価をそのまま写せば正解です。評価差額は時価から前T/Bの各金額を引いて求めましょう。これらが理解できていれば、仕訳を書かずとも答えを導けます。

①3,300(期末時価) ②1,800(期末時価) 
④300(=3,300ー3,000) ④400(=1,000-600) 

・関連会社株式
関連会社株式は原則評価替を行いません。例外的に減損が生じたときに時価評価を行います。こちらは資料1の前T/B500を写せば正解です。

まとめ

財務諸表の計上ルールが理解できていれば、仕訳を省略して解答を算出することができます。私見として、仕訳を省略する等の手数を減らすことは思考の整理にも繋がると考えています。「学んだ論点をすぐ忘れてしまう」とのお悩みの相談を受けますが、その理由の1つに手数の多さ、解答までの段階の多さに関係しているのでは?と見ています。
解答までのルート短縮を考えることは有効と思います。後編に続きます。

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