不調時こそ、希望を持ち続ける大切さ

公認会計士コラム

公認会計士 森 大地

今、自分ができないこと

目標は、今の自分ができないことを、できるようにするためにあります。監査法人で働く公認会計士でも、資格の勉強を始めるまでは監査・会計の素人で、簿記検定も持っていない状態です。初めて学ぶ「借方」「貸方」などの会計専門用語、貸借対照表や損益計算書のつながりなど、今でこそ専門家として日々、仕事で取り扱っていますが、当初は他の初学者と同じように悪戦苦闘していました。簿記検定までで会計の勉強を終える人と、公認会計士資格まで続ける人の差は、目標の違いだと思います。特別な才能があったから公認会計士資格まで続けたのではなく、自由意志で「公認会計士になりたい」と思い続けた人が、得手不得手に関わらず勉強を続けた結果、試験合格に至ったのだと思うのです。

目標までには、必ず挫折がある

公認会計士試験に合格することが大目標だとすると、それを達成するための中目標、小目標がいくつもあります。たとえば、〇〇月までに簿記1級、〇〇月までに短答試験に合格する、というのは中目標で、簿記1級合格のための週間タスクや答練目標点数が小目標になるかもしれません。大小関わらず目標を置くのは、今の自分の力を引き上げるためですが、自分なりに全力を尽くしても小目標を達成できないことが何度も起きます。日々のタスクやノルマをこなせなかった時、勉強のモチベーションが下がり、さらにタスクを達成できなくなるという悪循環に陥ることは少なくありません。

不調時には、目標を捨ててみる

公認会計士試験などの難関資格は2~4年ほどの長丁場です。好不調に関わらず、勉強を継続できる人は当然、早く合格していく傾向にあります。でも、私を含めたほとんどの人は、勉強のやる気が入らない時期、いわゆるスランプを味わっているのではないでしょうか。こうした不調時は、勉強量が減ったことに対して自分に失望し、さらにモチベーションが下がるという悪循環に陥ります。そんなときは、これまで立てていたチャレンジングな中目標や小目標を一度忘れて、「毎日10分だけでも机に向かう」「通勤時の電車に乗っている時間だけでも毎日、テキストを読む」といった極めてハードルの低いノルマがおすすめです。車は乗れば乗るほど調子が良くなり、放置すればするほど悪くなるように、勉強習慣も増やせば増やすほど調子がよく、減れば減るほど悪くなるからです。まずは今の不調時の自分にできることを、ほんの少しでもいいから毎日やってみる努力が大切だと思います。

目標は捨てても、希望だけは持ち続ける

希望とは自分が成長した姿を想像することであり、それを諦めないという姿勢です。希望を失ってしまうと、何も行動を起こすことができなくなってしまいます。目標を変えたり捨てたとしても、希望を持ち続けることができれば挽回できます。不調が続いた時、どうすれば希望を持ち続けられるか。受験生時代から現在に至るまで私が実践しているのは、言霊の力です。朝起きた時、顔を洗うために鏡の前に立った時、夜寝る前に、自分に言い聞かせたい言葉を毎日、自分に向かってつぶやくのです。仕事で不調が続いた時、何かツイてないことが起こった時、いつも「大丈夫、大丈夫」と心でつぶやくようにしています。自己暗示か潜在意識なのかはよくわかりませんが、少なくとも気分を落ち着けることはできていると思います。悩んでいるときはいろいろと考えすぎてしまうこと自体が悪循環だったりするので、こんな単純な習慣も心のトレーニングとしては有用なのかもしれません。自分のより良い未来という希望を持ち続けるために、「大丈夫、大丈夫」を口癖にしてみませんか。

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