簿記3級に再チャレンジしよう
商工会議所の公式発表によると2024年度のネット試験簿記3級の合格率は38.6%でした。
参考:日商簿記検定2級・3級ネット試験 受験者データ
2.5人に1人は合格されている計算となりますが、最初のチャレンジで合格した方はより少ないと推察します。
今回は「簿記3級の合格を惜しくも逃したけれど、再チャレンジを考えている」方に向けて、次回合格するためのポイントを解説いたします。
特に60点台の方は少し対策を考えるだけで合格が狙えます。
まずは自分の得点を振り返る
以下の表は70点台で合格された方の各大問別の平均得点です(弊社集計)。この得点が、合格に必要なおおよそのボーダーラインを示しています。
まずはこの点数と比較して、どの問題の得点が足りていないかを確認しましょう。この差こそが真っ先に対策すべき箇所となります。
第1問 | 第2問 | 第3問 |
39/45 | 9/20 | 27/35 |
第1問(仕訳問題)
合格された方は、第1問を8割以上得点されていることがわかります。満点を狙うことも十分に可能な箇所です。
上記の39点に届かなかった方は以下を再確認してみましょう。
「問題文」の見直しを行なったか?
第1問で電卓を用いることはそう多くはありません。正しい勘定科目を選択できるかが問われています。つまり、計算よりも問題を読み取ることが重要です。
例えば、「普通預金」「当座預金」を読み違えていないか、「手形を振り出した」の主語が当社か取引相手になるかなど、注意深く読む習慣をつけましょう。
本番は最後の5〜10分は見直す時間を確保することが重要です。これだけで3〜6点はアップします。
パターン暗記に走りすぎていないか?
第1問の得点が伸び悩んだ方に多いのが、「テキスト例題・問題集を◯周したけど合格できなかった」ケースです。
一定の演習は必要ですが、質を上げることも重要になります。当然、作問者もこれを見越してパターン暗記で対応できない捻った問題を用意しています(近年、あらゆる検定・資格試験でその傾向が強いように感じます)。
この対策として、暗記から理解に重心を移すことが重要です。
具体的には、勘定科目が資産・負債・収益・費用のいずれに該当するか、大まかで構わないのでおさえておく必要があります。
例えば、立替金は「今後、立て替えたお金を受け取るから資産」、前受金は「今後、商品を引き渡すから負債」と一言リンクさせておくだけでも十分です。また普段、問題演習を行う際に、選択した勘定科目は財務諸表のどの位置に表示されるのかな?と意識してみましょう。
第2問(混合問題)
一番厄介なのが第2問です。よく「第2問対策はどうしたらいいですか?」と質問をお受けします。誤解を恐れずに申し上げると「深追いをしないこと」が一番の対策です。
理由は以下の2点です。
①範囲が絞り込めないこと
第2問の想定される出題内容は、勘定記入・理論・補助簿・商品有高帳・固定資産台帳など、多岐に渡ります。仮に勘定記入に十分な対策をしたとしても、出題されないこともあり得ます。
②問題の難易度が高いこと
第2問の特徴として、勘定記入で逆算が要求される、補助簿で露骨な引っ掛けが出題されるなど、問題の難易度が高いことが特徴です。上記の平均得点の通り、合格された方でも半分以下の得点です。
実は第2問が0点でも合格された方も多数います。「半分取れたら十分」くらいの気持ちで挑みましょう。
後編に続きます。