警察官になるには、一般企業同様、採用試験に合格する必要があります。このコラムでは、警察官を志望する方へ向けて、採用試験の受験資格や試験内容、合格するための勉強方法、警察官に向いている人の特徴、職業としての将来性などについて紹介します。警察官を目指す方には必見の内容です。
警察官になる方法 採用試験の合格が必須

警察官になるには、国が設けている「国家公務員採用試験」、または都道府県が設けている「警察官採用試験」を受験して合格する必要があります。
受験資格は年齢・学力・身体要件、試験によっては武道の経歴をクリアしていることです。年齢は採用試験の種類にもよりますが、少なくとも17歳以上、35歳以下でなければいけません。学歴の規定はありませんが、高校卒業レベルの学力がないと採用試験合格は厳しいでしょう。
採用試験に合格した後は警察庁へ「官庁訪問」、または「警察学校」へ入学となります。その後、それぞれ実習を経て、警察官として配属されます。
警察官の種類

警察官は「国家公務員」と「地方公務員」の2つに分類されます。それぞれどのような違いがあるのか、詳しく解説します。
国家公務員
警察庁に勤務するいわゆるエリート警察官です。国家公務員の警察官になるには警察庁、または皇宮警察で行われる採用試験に合格する必要があります。倍率は警視庁で5~8倍程度とやや難易度の高い試験といえます。また、警視庁と警察庁を混同する方もいますが、警視庁は東京都の地方公務員です。警視庁は県警や府警と同じ種類なので、認識違いに注意しましょう。
警察庁・皇宮警察の主な仕事内容は以下の通りです。
警察庁:交通局・刑事局・組織犯罪対策部といった警察組織に在籍し、全国の警察へ指揮監督を行う皇宮警察:皇族の護衛・皇居や御用邸の警備など
国家公務員は基本的に現場には出向きません。警察組織全体を指揮監督し、適切な運営を行う役割が与えられます。
地方公務員
都道府県や市町村に勤務する警察官を指します。地方公務員になるには、各地方自治体による採用試験の合格が必須です。試験合格後は、警察学校で実習訓練を経験し、交番勤務などの現場に配属されます。
仕事内容は、殺人事件・交通事故への対応、遺失・給得届の受理、防犯活動などさまざまですが、住民と接する機会が多いです。なお、警察官全体において、国家公務員よりも地方公務員が大多数を占めています。
警察官採用試験の受験資格

前述の通り、採用試験には受験するうえでいくつか条件があります。ここでは、警視庁の受験資格を例に解説します。試験の種類は学歴別にⅠ類とⅢ類の2種類です。地方自治体の採用試験の場合はA、Bと表記されることもあります。
年齢
Ⅰ類(大学卒業程度) | 受験する年に34歳以下、または35歳になる人のうち、4月2日以降が誕生日の人 |
---|---|
Ⅲ類(高校卒業程度) | 受験する年に34歳以下、または35歳になる人のうち、4月2日以降が誕生日の人 |
学歴
Ⅰ類(大学卒業程度) | ・大学を卒業、または翌年3月までに卒業見込みの人 ・大学卒業程度の学力を有する人 |
---|---|
Ⅲ類(高校卒業程度) | ・高校を卒業、または翌年3月までに卒業見込みの人 ・高校卒業程度の学力を有する人 |
身体要件
目 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
視力 | 裸眼視力が両眼とも0.6以上、又は矯正視力が両眼とも1.0以上であること | |
色覚 | 警察官としての職務執行に支障がないこと | |
聴力 | 警察官としての職務執行に支障がないこと | |
疾患 | 警察官としての職務執行上、支障のある疾患がないこと | |
その他身体の運動機能 | 警察官としての職務執行に支障がないこと |
2022年度までは、身体要件に身長・体重も入っていました。しかし、2023年度の募集要項では身長・体重が身体要件から削除されています。
受験できないケース
- 日本国籍を有しない人
- 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの人
- 東京都職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない人
- 日本国憲法施行の日以降において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した人
- 1999年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている人(心身耗弱を原因とするもの以外)
警察官採用試験の試験内容

警察官の試験内容について、警視庁の採用試験を例に詳しく解説します。また、自治体ごとに試験内容は多少異なるものの、同様の項目が出題されます。
第1次試験
試験科目 | 問題数・制限時間 | 内容 |
---|---|---|
教養試験 | ・五肢択一式(50問) ・2時間 | 知能分野:文章理解・判断推理・数的処理・資料解釈・図形判断 知識分野:人文科学・社会科学・自然科学・一般科目(国英数) |
論文試験 | ・1題 ・1時間20分 | 課題にそった論文試験 ※文章の構成力・表現力の確認を行う |
国語試験 | ・五肢択一式(50題) ・20分 | 職務に必要な国語力についての試験 |
資格経歴等の評定 | – | 受験者が保有するさまざまな資格や経歴などを採用試験の成績として反映させる 具体例:柔道・剣道初段以上 英語TOEIC470点以上・中国語検定3級以上 ITパスポート・基本情報技術者など |
第1次適性検査 | – | 警察官としての適性について記述方式での検査 |
第1次試験では、警察官に必要な一般教養や国語力などについて、カテゴリー別に筆記試験を行います。1次試験合格者は、次の2次試験に進みます。
第2次試験
試験科目 | 内容 |
---|---|
面接試験 | 人物についての面接試験 |
身体検査 | 視力検査、色覚検査、聴力検査、運動機能の検査、医師の診察、身長測定、体重測定、レントゲン検査、血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質等検査、血糖検査)、尿検査 |
体力検査 | 警察官に必要な基礎体力などを検査 試験項目:バービーテスト・上体起こし・腕立て伏せ・反復横跳び |
第2次適性検査 | 警察官としての適性について、記述式等の方法により検査 |
第2次試験では、警察官としての適性を見る面接試験や基礎体力を確認する体力検査が行われます。面接試験について、自治体によっては集団面接行うこともあります。
一般企業では、採用試験に体力検査があるケースはほとんどありません。警察官は体力が重要な職業であることが、このことからもわかるでしょう。
警察官採用試験のスケジュール

警察官採用試験は、各自治体によって異なりますが、年に数回実施されます。一番早いところでは4月に試験が始まるため、募集受付は3月からスタートします。応募先によっては併願も可能です。各警察署の詳しい試験日や応募条件については、警視庁の公式HPから確認してください。
警察官採用試験の勉強方法
警察官採用試験に合格するための勉強方法は大きく2つあります。独学と、予備校などに通う方法です。
独学では、基本的に過去に出題された問題集を購入し、反復して学習していきます。自ら学習計画を立て、自分のペースで学習を進めます。一方、予備校に通う場合は、学校側が学習計画を立て、講師が授業を行います。予備校では、公務員試験の最新情報が講師から共有されたり、模擬試験や模擬面接を受講できたりします。ただし、予備校に通うには費用がかかってしまうのが難点といえるでしょう。
独学と予備校などでの学習を比較すると、それぞれ以下のような違いがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
独学 | ・自分のペースで勉強できる ・通学する必要がない ・費用が抑えられる | ・最新の傾向など情報を入手しにくい ・モチベーションの維持が困難 ・計画的な学習プランが必要 |
予備校 | ・学習計画を自分で考える必要がない ・講師から最新の情報が提供される ・模擬試験・模擬面接の練習ができる | ・独学より費用がかかる ・通学時間がかかる ・自分のペースで勉強できない |
上記の通り、独学と予備校では、それぞれメリット・デメリットがあります。学習時間や費用面などを踏まえ、自身にあった勉強方法を選択してください。
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警察官に向いている人

- 人の役に立ちたいという気持ちが強い人
- 正義感が強い人
- 責任感が強い人
- 非常事態でも冷静に判断できる人
- 運動能力が高い人
警察官に向いている方は、上記の特徴があります。警察官は治安維持のため、さまざまな資質が求められます。なお、国家公務員の一つである皇宮警察になるには、柔道で優秀な成績を収めた経歴が必要です。皇宮警察を目指す方は、採用試験の勉強と並行して、身体も鍛えておきましょう。
警察官の将来性
警察官は公務員であり、安定した職業といえます。社会の平和を守る仕事のため、警察自体がなくなる可能性は極めて低いでしょう。なぜなら、自然災害・自動車事故・犯罪など、警察官が必要な場面は常に存在するからです。
また、AIの進化により警察官が不要になるのではと心配する方もいるかも知れません。しかし、現状ではAIに替わられる可能性は低いといえます。理由としては、犯罪予防活動や地域防犯活動など、AIでは代替できない部分があることが挙げられます。警察官は今後も安定している職業といえるでしょう。
警察官にまつわるQ&A

警察官になるには多くの条件をクリアする必要がある
警察官になるには、年齢や学歴を初め、いくつかの条件を満たす必要があります。そのため、誰でも簡単になれるわけではありません。しかし、警察官は日々さまざまな事象に対応するため、多くの方々に感謝されるやりがいのある職業です。また、警察官は将来性があり雇用が安定している点も魅力の一つです。今後も、日本の治安を守るために必要不可欠な存在であり続けるでしょう。
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