本記事では、仙台市公務員試験に焦点を当てて、仙台市職員採用試験の受験資格や日程、倍率や試験対策などについて解説します。また、仙台市役所職員の具体的な仕事内容や給与、キャリアパスや配属先についても紹介します。
仙台市は政令指定都市のひとつ

仙台市は宮城県のほぼ中央に位置する政令指定都市で、人口約109万人の東北最大の都市です。仙台市は「杜(もり)の都」の名で親しまれている通り、大都市でありながら自然と城下町の面影を調和させた景観が魅力で、観光地としても人気を集めています。
また、仙台市は交通のアクセスが良く、仙台市及びその近郊には学校も多いことから、街全体が活気に溢れている点も大きな魅力といえるでしょう。
仙台市役所は宮城県庁と試験内容が異なる
宮城県で公務員として働きたいのであれば、仙台市役所や宮城県庁での勤務が候補として挙げられます。ただし、仙台市役所と宮城県庁は試験日が重なっているため、残念ながら併願はできません。また、試験の内容や特徴も異なるため注意が必要です。
次章より仙台市役所の試験概要について解説します。仙台市役所の受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
仙台市職員の採用試験概要(大学卒程度)
本章では、仙台市役所の試験概要について解説します。なお、仙台市職員採用試験における大学卒程度の試験区分には、事務・福祉・衛生・土木・建築・機械・電気・化学・造園の9つがありますが、ここでは受験者数が最も多い「大学卒程度・事務」の2022年度の試験概要を例にして、解説します。
受験資格
大学卒程度・事務の受験資格には、以下の年齢要件が設けられています。
・1987年4月2日~2001年4月1日生まれの人
・2001年4月2日以降に生まれた人で、大学(短大を除く)を卒業(見込)の人、又は人事委員会がこれらに準ずると認める人
※2022年試験における年齢要件
仙台市の大学卒程度・事務は、35歳までであれば受験可能です。ただし、年齢要件に加えて、各試験の種類・区分の共通の受験資格として、下記の二つの要件も満たす必要があります。
要件1
ア 日本国籍を有する人
イ 出入国管理及び難民認定法に定められている永住者
ウ 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定められている特別永住者
要件2
地方公務員法第16条に定められている次のいずれにも該当しない人
ア 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの人
イ 仙台市職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない人
ウ 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した人
仙台市役所は、日本国籍を有しない人や、地方公務員法第16条に該当する人(禁錮以上の刑が執行中の者など)も受験できません。
(参照:地方公務員法第16条)
試験日程
【大学卒程度・事務】
申込期間:4月下旬~5月中旬
【第一次試験】
筆記試験:6月中旬
面接試験:7月上旬
【第二次試験】
論文試験:7月下旬
面接試験:8月上旬~8月下旬
最終合格発表日:8月下旬
例年、大学卒程度・事務は4月下旬から申込期間が始まり、筆記試験は6月中旬、一次面接試験は7月上旬、論文試験は7月下旬、二次面接試験は8月上旬から8月下旬の間に実施されています。
なお、試験日程は状況によって変更になる場合があるため、最新の試験スケジュールは、仙台市のホームページにて必ずご確認ください。
参照:仙台市職員採用試験情報
試験内容
大学卒程度(事務)の場合
- 第一次試験
【教養試験】配点:100点 試験時間:120分
内容:択一式 45問出題40問解答 公務員として必要な一般的な知識及び知能についての筆記試験
必須解答:社会科学、社会事情等の知識問題及び⽂章理解、判断推理、数的推理、資料解釈等の知能問題
選択解答:必須解答の分野に加え、人⽂科学、⾃然科学等の知識問題【専門試験】配点:100点 試験時間:120分
内容:択一式 56問出題40問解答 試験の種類及び試験区分に応じて必要な専門的知識、技術等の能⼒についての筆記試験
必須解答:政治学、⾏政学、憲法、⾏政法、⺠法、経済学、財政学、経済事情、社会政策、国際関係、社会事情等
選択解答:必須解答の分野に加え、刑法、労働法、経営学、⼼理学、社会福祉、社会学、教育学等
【面接試験】配点:600点 内容:1グループ3人程度で⾏う集団面接
【評定項目】積極性、堅実性、コミュニケーション⼒・受容性・協調性、表現⼒・理解⼒等- 二次試験
【論⽂試験】配点:100点 試験時間:120分
内容:出題されたテーマに対する記述式による筆記試験(1200字程度)
【評定項目】理解⼒、洞察⼒・判断⼒、論理性・構成⼒、表現⼒・国語⼒等
【適正検査】内容:性格適性⼜は職務適性についての⼼理学的検査
【面接試験】配点:300点 内容:個別面接
【評定項目】積極性、堅実性、コミュニケーション⼒・受容性・協調性、表現⼒・理解⼒・判断⼒等
仙台市役所では、いずれかの試験において一定の合格基準に達しない場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格です。
第二次試験は、第一次試験の合格者に対してのみ⾏われます。最終合格者は、第二次試験の結果のみで判定する、いわゆるリセット方式が採用されています。そのため、仮に第一次試験で高得点を獲得したとしても、第二次試験で有利になることはありません。
試
申込者数 | 第一次受験者数 | 第一次合格者数 | 第二次受験者数 | 最終合格者数 | 合格倍率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
大学卒程度(事務) | 727人 | 618人 | 168人 | 161人 | 125人 | 4.9倍 |
上記は2022年度の仙台市職員採用試験の実施結果です。大学卒程度・事務の合格率は、4.9倍となっています。全国の地方上級(大卒程度)の平均倍率は、5~6倍ともいわれていることから、倍率としてはそこまで高くないといえるでしょう。
仙台市職員採用試験の対策

仙台市職員採用試験は、第一次試験・第二次試験ともに面接試験の配点が非常に高いため、面接試験対策が非常に重要です。ただし、前述の通り、いずれかの試験において一定の合格基準に達しない場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格となってしまうため、筆記試験対策もおろそかにはできません。
さらに、仙台市職員採用試験はリセット方式を採用しているため、最終合格者は第二次試験の結果のみで決定します。
以上の点から、仙台市職員採用試験は、それぞれの試験対策をバランスよく行うことが試験合格への鍵となるでしょう。
【仙台市職員】仕事内容や給与など
仙台市役所での勤務を目指すにあたって、仙台市職員の具体的な仕事内容や給与などについて気になる人も多いかと思います。本章では、仙台市役所の仕事内容や給与、配属先について紹介します。
仕事内容
・一般行政事務
仙台市は政令指定都市ということもあり、税務・福祉・防災といった一般的な行政サービス業務だけでなく、県庁が行うような規模の大きい包括的業務に携われます。
また、仙台市は「杜(もり)の都」としても有名なことから、自然を育むようなまちづくりやプロジェクトを積極的に行っている点も特徴です。そのほか、文化やスポーツの振興や市民向けイベントの企画・運営など、地域住民との触れ合いが多い点も魅力といえます。
給与・手当
仙台市役所職員の初任給(2023年4月1日現在)は、大学卒程度で約201,600円、高校卒程度で約164,400円です。ただし、条例などの改正により変更されることもあります。また、学歴や職歴に応じた加算や、状況に応じて扶養手当や住居手当などの各種手当も支給されます。
平均給与月額 | 448,676円 |
平均賞与 | 1,644,700円 |
平均年収 | 7,028,812円 |
平均退職金(勧奨・定年) | 4,197,000円 |
配属先
・区役所や局など
仙台市役所へ事務職として採用された後は、区役所や出先機関などに配属され、市民と直接かかわる業務に従事するのが一般的です。その後、3~5年のサイクルで異動を繰り返し、早い段階から幅広い業務を経験していくのが基本的なキャリアパスです。
仙台市役所では研修制度も充実しており、基礎知識やコンプライアンスを学ぶ研修のほかにも、職場研修や海外派遣研修、自己啓発の支援なども積極的に実施されています。
計画的に準備を進めて試験合格を目指そう
仙台市役所の採用試験は、面接重視の試験です。ただし、一つでも合格基準に達しない試験があった場合は、他の試験の成績にかかわらず不合格となってしまいます。仙台市役所の採用試験を突破するためには、面接対策を中心に計画的に準備を進める必要があるでしょう。
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この記事を監修した人
クレアール公務員相談室タニオカ
これまで、公務員試験の受験・学習を考える3,000人以上の相談に答えた実績を持つアドバイザー。「公務員 転職ハンドブック」「ココからスタート!公務員試験入門ハンドブック」などを執筆。