社会人経験者試験ガイド「特別区(23区)」編

東京23区(特別区)では、民間企業などで勤務経験のある社会人を対象とした経験者試験を行っています。
採用までの流れ、試験対策のポイント、待遇や倍率について詳しく解説をしますので、公務員への転職をお考えで、都内で働きたいとお考えの方はぜひご参照ください!


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目次

試験スケジュール(内定までのステップ)

  1. 出願手続き(エントリーシートをオンラインで提出。その際に希望の区を3つまで選択する)
  2. 一次試験(筆記試験)を受験する
  3. 一次試験合格者に対し、特別区人事委員会で面接を行う。
  4. 面接に合格すると、「最終合格者名簿」に氏名、成績、希望区が掲載される
  5. 各区の採用担当者から合格者に対して区面接の案内(提示)が行われる
  6. 区面接を受けて内定が決まれば翌年4月1日から採用
  7. 区面接で内定が決まらない場合も、別の区から提示が来るので、再度区面接を受ける
    提示は最大5回まで行われる。
日程(2023年)
出願期間6/22~7/13
一次試験9/3
一次合格発表10/20
二次試験10/28,29,11/3,4,5のうち指定する1日
二次合格発表11/17
区面接二次試験合格者を対象として11月以降に提示

特別区の採用区分

特別区の職員採用試験には、さまざまな区分があります。
年齢や職務経験、希望する職種などによって以下のような種類があります。

採用区分試験・選考区分受験資格
Ⅰ類事務、事務(ICT)、土木、建築、機械、電気22歳~31歳
福祉22歳~29歳※1
心理39歳まで※2
保健師22歳~39歳※3
Ⅲ類事務、土木、建築、機械、電気18歳~21歳
身体障がい者を対象とする採用選考18歳~60歳※4
経験者1級職
事務、ICT、土木、建築、機械、電気、
福祉、児童福祉、児童指導、児童心理
60歳まで
職務経験4年以上※5
2級職(主任)
事務、ICT、土木、建築、機械、電気、
福祉、児童福祉、児童指導、児童心理
60歳まで
職務経験8年以上※6
3級職(係長級)
ICT、児童福祉、児童指導、児童心理
60歳まで
職務経験12年以上※7
就職氷河期世代事務39歳~54歳

※1 社会福祉士または児童指導員、保育士のいずれかを有すること
※2 大学の心理学科を卒業した人
※3 保健師の資格
※4 障害者手帳の交付を受けている人
※5 直近10年中、同一企業での職務経験が4年以上(1年以上勤務した企業を複数合算できます) 
※6 直近12年中、1年以上勤続した経験が8年以上 (1年以上勤務した企業を複数合算できます)
※7 直近18年中、12年の職務経験年数が必要

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特別区 経験者試験の特徴

1.採用区分と受験資格について

特別区では、年齢や職務経験年数に応じて「1級職」「2級職(主任)」「3級職(係長級)」という採用区分を設けています。
3級職の採用は「ICT」「児童福祉」「児童指導」「児童心理」区分のみとなるため、ここでは1級職と2級職を中心に説明させていただきます。

1級職と2級職の違いは役職の違いですが、年齢や職務経験年数によって受験できる試験が変わります。
1級職は役職のない「係員」(※)で、2級職は「主任職」ですので、前職で部下や後輩の指導経験が必要となります。
※1級職で採用された場合、大卒程度(Ⅰ類)と同じ待遇ではなく、係員3年目の方と同じ待遇からスタートします。

採用区分初任給
Ⅲ類(高卒程度)約182,500円
Ⅰ類(大卒程度)約225,800円
1級職(係員)約251,700円
2級職(主任)約298,900円
3級職(係長級)約357,100円
※この初任給のほか、扶養手当、家族手当、通勤手当、期末・勤勉手当等が支給されます。
※職務経験等がある人は一定の基準により加算される場合があります。

受験資格には

1級職:年齢が61歳未満かつ同一企業での職務経験が4年以上
2級職:年齢が61歳未満かつ職務経験が8年以上

とありますが、実は年齢上限だけでなく下限も設定されています。

職務経験年数の算出において、特別区では以下のような表記をしているのです。

「満 22 歳に達した日の属する年度の翌年度の 4 月 1 日以降の期間に限ります。」少しわかりにくい言い回しですが、23歳になる年度の4月1日以降から職務経験年数をカウントできるという意味ですので、1級職の場合は26歳、2級職の場合は30歳にならないと規定の職務経験年数を満たさないことになります。

なお、職務経験年数は受験翌年の3月31日の時点でカウントするため、本試験を受験している段階では受験資格を満たしていなくても、内定後に満たしていれば採用後に受験資格を得られたことになります。(逆に1日でも勤務日数が足りないと内定取り消しとなってしまうため要注意です)

2.試験内容

筆記試験の内容は以下のとおりです。
教養試験が全問必答ではないため、すべての科目を学習する必要はありません。
また、教養試験のボーダーは概ね4割程度とされているため高得点を取れなくても大丈夫です。
教養は論文答案を採点してもらうための足切りという位置づけです。
つまり、一次試験は論文答案の評価によって合否が決まるため、教養で高得点を取ることよりも論文で合格答案を書けることが鍵となります。

1級職(事務)2級職(事務)
【一次試験】
教養択一試験(45題中35題解答)1時間45分
・必須解答(30題)
 数的処理(16題)
 文章理解(8題)
 社会事情(6題)
・選択解答(15題中5題解答)
 人文科学、自然科学、社会科学

論文試験
・職務経験論文 1時間30分
 1題必須解答(1,200~1,500字)
・課題式論文 1時間30分
 2題中1題選択解答(1,200~1,500字)

【二次試験】
■口述試験(面接)
【一次試験】
■教養択一試験(44題中35題解答)1時間45分
・必須解答(32題)
 数的処理(16題)
 文章理解(10題)
 社会事情(6題)
・選択解答(12題中3題解答)
 人文科学、自然科学、社会科学

論文試験
・職務経験論文 1時間30分
 1題必須解答(1,200~1,500字)
・課題式論文 1時間30分
 2題中1題選択解答(1,200~1,500字)

【二次試験】
■口述試験(面接)

教養択一試験

教養試験は数的処理や文章理解などの「一般知能分野」と社会事情(時事問題)が必須解答となっています。
選択解答は人文科学、自然科学、社会科学からの選択となりますが、細かい科目ごとの出題数は以下のような内訳となっています。(実施年度によって若干異なることもございます)

  科目1級職(5題選択)2級職(3題選択)
社会科学政治・経済54
人文科学世界史11
日本史11
地理11
文学・芸術10
国語11
自然科学物理21
化学11
生物11
地学11

・人文、自然科学は出題数が少ないので無理に学習する必要がない
・対策を立てる場合は、出題数の多い「政治・経済」がおすすめ!

論文試験

特別区の論文試験は「職務経験論文」「課題式論文」の2種類がございます。
職務経験論文は、与えられたテーマについてこれまでの職務経験を踏まえながら論じるもので、課題式論文は行政(特別区)に関する課題について、どのように考えて取り組むべきかを論じるものとなっています。
過去の出題内容については以下に紹介いたします。

職務経験論文(2012年~2023年)

2023年
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分(※)における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

2022年
職場の活性化について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分(※)における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

2021年
仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分(※)における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

2020年
仕事の優先順位について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分(※)における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

2019年
職務上のトラブル対応について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2018年
職務を進める上での課題解決に向けた取組について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2017年
業務執行上のリスク対応について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2016年
仕事における創意工夫について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2015年
仕事における個人情報管理の重要性について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2014年
仕事におけるチームワークの重要性について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2013年
仕事におけるコミュニケーションの重要性について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

2012年
仕事を進める上でのスケジュール管理について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。

課題式論文(2012年~2023年)

2題中1題を選択

2023年
1. 図書館機能の充実について
2. これからのイベント実施のあり方について

2022年
1. シティプロモーションについて
2. 複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について

2021年
1 インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について
2 持続可能な財政運営と区民サービスについて

2020年
1 住民意識の多様化と自治体職員の役割について
2 若者の区政参加と地域の活性化について

2019年
1. 組織力の向上について
2. 地域コミュニティの活性化について

2018年
1. 行政運営の効率化と信頼性の確保について
2. 区民への情報発信のあり方について

2017年
1. 区民ニーズの把握と施策への反映について
2. グローバル社会の進展に伴う行政運営のあり方について

2016年
1. 区政運営における区民との協働について
2. 最少の経費で最大の効果を生む区政運営について

2015年
1. 行政におけるコンプライアンスについて
2. 地域イベント開催にあたっての住民要望の調整について

2014年
1. 区民から喜ばれる行政サービスの提供について
2. 地域社会に必要とされる公園のあり方について

2013年
1. 住民サービスとそれに係る経費について
2. 区民の声を生かした政策形成について

2012年
1.民間的な発想を生かした行政運営について
2.住民と一体となった活力ある地域づくりについて

3.エントリー時の「職務経歴内容」について

特別区の出願方式はオンラインで行います。
エントリーの際は、職務経歴内容に以下の項目を入力しますが、ここに書かれた内容について質問されるため、面接シートをエントリーの時点で用意しなければいけないようなものとなります。
したがって、思いつきで書くのではなく事前に下書きをすませておき、エントリーの際は準備したものを貼り付けて提出できるようにしておくようにしましょう。

職務経歴内容の入力項目

1.あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。(320字以内)

2.あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに入力してください。(320字以内)

3.今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか入力してください。(320字以内)

4.
【1級職】今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて入力してください。 (320字以内)
【2級職】今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を入力してください。 (320字以内)

※太字の箇所は2023年から追加された文言です。

経験者試験の倍率について

一般的に社会人経験者採用試験は「倍率が高く狭き門」というイメージがありますが、特別区の場合はどうでしょう。
競争倍率を「一次試験受験者÷最終合格者数」で算出すると、以下のような倍率となります。

・1級職 一次試験受験者数:1,146名÷最終合格者数:289名=4倍
・2級職 一次試験受験者数:720名÷最終合格者数:112名=6.4倍

これを一次試験と二次試験で分けてみると、それぞれの倍率は以下のような数字となります。

2023年実施データ

一次受験者一次合格者一次倍率二次受験者二次合格者二次倍率
1級職(事務)1,146名561名2倍524名289名1.8倍
2級職(主任)事務720名244名3倍225名112名2倍

このように、一次試験と二次試験ごとの競争倍率を算出すると、実質的な倍率に近くなります。
一次試験は論文試験対策をしっかり行い、二次試験はエントリー時の職務経歴書作成を早めにスタートし、面接対策を早めに始めておくことで合格を勝ち取ることができるととお考え下さい。

特別区経験者試験に関する よくあるご質問

年齢が28歳なのでⅠ類と1級職のどちらも受験できますが、どちらがおすすめですか?

結論から申し上げますと1級職をおすすめします。
1類は試験実施時期が4月で教養・専門試験のどちらも行われるため、学習時間が800~1,000時間程度必要となります。
1級職は300時間程度でも十分合格を目指せることから仕事との両立がしやすい試験です。
待遇や倍率などを比較しても経験者枠を受けるデメリットはあまり見受けられないと思います。
なお、Ⅰ類試験のお申込みをしてしまうと、同じ年度の経験者試験を受験できなくなりますのでご注意ください。

同じ日程で実施されている氷河期世代試験との違いを教えてください

就職氷河期世代の教養試験、課題式論文試験はいずれも経験者試験と同じ問題です。(経験論文は課されません)
倍率の高さを考えると社会人としての経験をお持ちの方は、臆せず経験者試験を受験されることをおすすめします。

最終合格しても採用漏れになることはありますか?

希望の区にこだわる方や、希望していない区からの提示を何度も辞退してしまうようなことがなければ、基本的には採用漏れとなることはないようです。

特別区経験者試験についてのまとめ

[特別区経験者試験のポイント]
・エントリー時の職務経歴書は事前に作成を進めておく
・教養試験は足切りなので科目を絞って効率的に対策を立てる
・論文、面接のウェイトが高いので早めに着手する
・Ⅰ類試験との併願はできないので要注意!

必見!特別区人事委員会ホームページ

特別区が行う試験については、特別区人事委員会ホームページに掲載されています。
仕事や試験の情報も充実していますが、特別区は過去3年分の本試験問題(一部科目を除く)が公開されているため、試験対策を進める上でも必見といえます。

試験問題及び正答の公表ページ


令和6年から試験制度にいくつかの変更点もありますので、必ずご確認ください。

令和6年試験の変更点(まとめ)

クレアールで特別区経験者試験対策を立てよう!

クレアールでは、例年特別区の経験者試験で合格者を多数輩出しています。
受験をご検討の方は、ぜひクレアールの経験者対策コースをご活用ください!
受験・学習に関するご相談に対してお悩みの方は、個別相談会も随時実施していますのでお気軽にご参加ください。

きぐまさん

教養では国語以外の数的や社会の問題、論文は課題と職場課題どちらも苦手としていました。なので、ほとんどの科目で勉強を必要としていました。教養は基本的にクレアールの講義と資料を使用しました。論文は過去テーマは全て確認し、自分なりに書けるように取組みました。また、論文は添削を何度もしていただき、自分自身にあった論文の型を身につけるようにしました。

きぐまさん[最終合格先:特別区(豊島区・1級事務)] 

sosoさん

クレアールで満足度が高かったのは、以下の点です。
・1人1担任制で、不安や疑問をすぐに先生に相談できました。試験に向けての相談、面接カード添削、面接練習を全て担任の先生に行って頂けて、一貫した指導してもらえたのが良かったです。
・わかりやすい講義ばかりでした。特に数的処理と現代文と法律の授業がわかりやすかったです。
・講義が短いので苦痛にならなかったです。見るごとに小さな達成感をもって進めることが出来ました。


sosoさん[最終合格先:特別区(中野区・1級事務)] 

t.kさん

クレアールを選んだ理由の一つ目は、やはり通信教育だったことです。仕事が窓口対応職場なので、対応内容によっては、約束があっても時間に帰れないし、家族がいるので家事を優先しなくてはならない状況でした。そのため、休みの日や隙間時間に自由に授業を受けられるシステムが本当に役立ちました。二つ目は費用が安価だったことです。年齢もあり、受かる可能性は低いかもしれないと思っていたため、子供に費用がかかる状況のなか、自己投資するのをためらいましたが、クレアールの良心的な価格と論文や面接にも対応してくれるところに魅力を感じました。

t.kさん[最終合格先:特別区(1級事務)、川崎市(民間企業経験者・一般事務)] 

この記事を監修した人
クレアール公務員相談室タニオカ
これまで、公務員試験の受験・学習を考える3,000人以上の相談に答えた実績を持つアドバイザー。「公務員 転職ハンドブック」「ココからスタート!公務員試験入門ハンドブック」などを執筆。

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