とある大学生(公認会計士受験生)からの相談【公認会計士を目指す就活開始時期が迫った大学生の悩み】

今回の記事も、最近受けた相談とその回答を一般向けに編集し、ブラッシュアップしたものになります。最近は、新型コロナウイルスの影響によって試験の実施時期が変更され(2021年度試験については短答式が年1回に変更されたことも含む)、その対応に関する相談が多くなっています。しかし、「就活や卒業を控えた大学生ならではの悩み」というのも存在し、今年もそのような悩みを含んだ相談を受けております。

お問い合わせの概要)※ いただいた質問メールの原文より一部修正・抜粋しております。

  • 短答式が8月に延期されてそしてその次が来年の5月になってどうすればいいのか困っている。
  • 今大学3年生で、2020年8月の短答式試験に落ちたら就活をせざるを得なくなるが、就活をしながら会計士の勉強を続けられるかというと疑問。だからといって、試験勉強だけに絞った場合、2021年5月の短答式試験に落ちたら就活にすぐ移行できるとも思えず困っている。
  • 差し迫った2020年度の試験(短答式は8月23日、論文式は11月14・15日)に受かればベストだが、短答科目含めてカリキュラムを十分にこなし切れていない状況(実際には、本人から各科目の詳細な進捗状況を聞いているのですが、個別的事情のため省略しています)。
  • 思う様に勉強を進められなかった自分が悪いのですが、残り1ヶ月半で何をどう詰めればいいかなど山田先生の考えを伺えないでしょうか。

このような相談に対し、以下のような内容の回答をさせていただきました。

目次

1. 人生を大きく左右することについて

覚悟を決めて決断すべき時期が迫って来ているかと思いますが、まず、現時点で行うべき・考えるべきことが2点あります。

①会計士試験を受ける目的を明確にする
②差し迫った今年度の本試験(まずは8月に迫った短答式、それに通過することができれば11月に迫った論文式)に向けて、できることをやり尽くす

2. 「会計士試験を受ける目的を明確にする」(上記1.の①)について

2020年度の試験を何とか突破するにしても、2021年度の試験で無理なく合格を目指すにしても、「心の底から、合格することを最優先に捉えて行動すること」が重要となります。
大学生活や就職活動との両立を上手く図れる超人的なマルチタスク能力を持った人もいるかもしれませんが、公認会計士試験は、基本的には、それを最優先に必死に毎日勉強に取り組んでいかないと間に合わない学習量となっているかと思います。ここまで大学生活との両立を図りながら日々頑張ってきたかと思いますが、いざ在学中に試験合格を現実的に目指す以上は、多少の犠牲を払ってでも試験対策に全力注入する期間が必要かなということが実感していただけるかと思います。
正直、かなりハードな勉強生活が必要となるのですが、それを乗り切るためには、心の底から試験に合格したい・しなきゃと思える「目的」が必要となります。目的そのものは何でもいいと思うのですが、それが本心で思えることが必須です。

本心から試験合格を望むには、「このような生き方をしたい」につながる強烈なものがあった方が良いです。ぜひ、見栄や周りに流されただけのものではなく、自分自身の生き方につながるくらいの目的を整理してみてください。また、「受かった場合に描く人生」といったプラス方向だけでなく、受からなかった場合も想像し「そうはなりたくない」といったマイナスからの脱却方向も意外と強力なエネルギーになります。

私の場合は、次のような感じでした。

  • 勉強そのものに対する自信を得たい(大学入試含め勉強での成功体験がなかったのと、そもそも勉強を頑張り抜いた経験もなく、勉強にコンプレックスを抱いてました)。
  • 周りと同じように流されて就活して流されるままサラリーマン生活をしたくなかった。
  • 商業高校時代に出会った簿記を活かして人生を切り開きたかった(簿記以外に頑張れる分野がなかったのと、簿記なら自然と机に向かうことができたので)。

まあ、流されるまま監査法人に入ってからは、正直なところ、監査の仕事を一生の仕事にしたいと思うことができず、しんどい思いをしたのですが汗(※)。そんなことも経て、少しでもテンションの上がる仕事をしたかったのと、心の奥底にほんの少しだけあった目立ちたがり精神を見い出して講師業に転身しました。

Aさんも、今考えられる範囲でも良いので、本心から思える「目的」を改めて考えてみてください。今後少しずつ考え方が変わってくることもあると思いますがそれでも良いと思います。現時点で「目的」を明確にすることで、その後の行動の方針が定まっていくかと思います。

※ だいぶ前に書いた次のリンク先の記事にもあるとおり、合格前に監査法人に採用していただく機会に恵まれた経緯があります。関係者の方々には感謝してもし切れません。ですが、私の場合には「監査法人で働き続ける」ことに向いていないと思い、別の道を歩ませていただくことになりました(^^;)

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3. 「会計士試験を受ける目的」(上記1.の①)も踏まえ、自分が進む道を決断する

質問内容からある程度分かっていると思いますが、「在学中に合格も目指しつつ、就活も並行して行う」ことは中途半端な結果を招く可能性があります。

他にも考え方や選択肢を見い出せるかもしれませんが、今の延長で考えていくならば、「公認会計士試験に合格するコース」か「新卒カードを活かして就活をするコース」のいずれかを、覚悟を持って選択することになるかと思います。

本心から思える「目的」があれば、「公認会計士試験に合格するコース」を覚悟と持って選ぶことができるかと思います。このコースを選んだ場合には、「周りの多くの同級生と同じような就活をする」といったことは犠牲にし、なんとしてでも合格を勝ち取ることが必要となります。まあ、長い人生、正しい努力を続けていけば、試験の結果に関わらず何とかなるものと思いますが、ひとまずこのコースを選んだ場合は「合格することがmustの予定」にはなるかと思います。

公認会計士になることに本心から思える目的を見い出すことができなければ、別の道を選ぶことも良い選択になりえるかと思います。試験自体がハードなことに加え、合格後の仕事にも大変なことがたくさんあります。公認会計士になるだけが人生ではありません。「新卒カードを活かして就活をするコース」を選んだ場合には、試験勉強をしているだけでは見えてこない世の中の様々な状況を知ることができたり、そのコースならではの違ったチャンスもたくさん存在するのではないかと思います。

どちらのコースを選択するか、またはこの二者択一ではない新たな方策を見い出すか。Aさんの人生ですから、Aさん自身が決断する必要があります。

私からアドバイスできるとすれば、どのような決断をするにしても、「逃げた」ではなく「自ら積極的に選ぶ」形で決めるようにした方が良いということでしょうか。そうすれば、後悔することなく、決断したコースに全力で取り組んでいくことができるかと思います。

そのためにも、ここで「会計士試験を受ける目的」(上記1.の①)を考えてみることが、決断に良い影響を与えるのではないかと思います。加えて、目下迫った2020年度の試験に残り期間でベストを尽くす(1.の②をする)ことも重要です。

4. 「差し迫った今年度の本試験に向け、できることをやり尽くす」(上記1.の②)について

現実的に、上記3.の決断は、すでに申込を行った2020年度の公認会計士試験を受け終わってからになるかと思います。残り期間は限られていますが、今年度に残されたチャンスですし、ここで「ベストを尽くすこと」が上記3.の決断を後悔なく前向きに行うための必須条件にもなるのではないかと思います。
また、「ベストを尽くすこと」で、次のようなメリットも得られます。

  • 2020年度試験で合格できる可能性も残っている。
  • 上手くいかなかったとしても、2021年度に合格する可能性を大きく高めることができる。
  • 仮に公認会計士とは別の道を歩むにしても、やり切った感を得たうえでならば、前向きに切り替えやすくなる。

5. 残り期間の学習について

(1) 大まかな方針(精神論含む)

進め切れていないカリキュラムもあるとはいえ、次の2点をもって取り組めば、まだ1ヶ月半ありますのでなんとかなる可能性は残っています。

  • 火事場の馬鹿力を発揮するくらいの勢い・スピード感・頭の回転で勉強を進める(精神論にはなってしまいますが、お尻に火が付いた状態だからこそ普段より高いパフォーマンスを発揮することができるものです)
  • なるべく合格に直結する部分に絞りながら取り組む(非常識合格法を謳ったクレアールのカリキュラムであっても、正直なところ、その中でさらに絞り込みをかけることも可能です)

(2) 残り期間で回す教材について

すべての論点を細かくつぶす必要はありません。ここ数年の傾向からすれば、7割以下の正答率でも合格ラインに乗るわけですから、落としてもよい3割のための対策は極力避けるのが良いでしょう。まずは財務会計論、管理会計論ともに、難易度Aランクの問題を高い確率で正答できるよう、過去問or答練のうち絞り込んだ実戦問題を使って練習&関連する基礎基本への立ち返りをするのがおすすめです。
「過去問or答練」は、十分に定着するくらい繰り返し回せる量まで絞り込みましょう。数をこなせばいいというものではなく、次のようなことが重要になります。

① そのレベルの問題を解けるようになること
② そのために同じ問題で良いので繰り返し練習すること
③ 関連する基礎基本に立ち返ること

私ならば、「過去問3回分」か「応用短答答練」のいずれかに絞っていくと思います(実際、受験生時代は直前短答答練や過去問まで回しきれないと判断し、応用短答答練とテキスト例題をグリグリ回して短答合格にギリギリ滑り込みました)。

(注)直前期に何を回すのが良いかは、各人が置かれた状況や科目によって変わってくるものです。ここでは、ごく一般的なアドバイスにとどめさせていただきました。受講生の方でそのあたりの詳細なアドバイスを求めている方は、お気軽に質問制度をご利用ください。

以上、まとまらない部分もあると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。

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