第154回日商2級の出題予想と直前ヤマ当て模試のご案内

1. はじめに

2020年2月23日(日)の第154回日商簿記検定まで、残り日数が迫ってきました。残り日数が少ないことから、学習が間に合わなさそうと感じ、今回の合格をあきらめかけている方もいると思います。ですが、直前期は本試験が差し迫っていることによって普段より高い集中力を発揮することができます。数日単位であっても、できることを増やして得点力を伸ばすことは可能です。

この記事では、私の個人的出題予想を示すとともに、前回(第153回試験目標)から無料で公開している直前ヤマ当て模試の活用について、ご案内させていただきます。ちなみに、なぜ前回(第153回試験目標)のものも案内しているかというと、前回はずれたヤマが今回出題される可能性も高いためです。前回の直前ヤマ当て模試の的中率がバレてしまうのですが(^^;)、今回(第154回試験)に向けた対策として解いていただきたいものもありますので、そのような問題もご案内させていただきます。

2.  第154回2級の全体的な出題予想およびヤマ当て問題出題論点

(1) 第154回2級の全体的な出題予想

第1予想 第2予想 第3予想
第1問 仕訳問題
第2問 有価証券取引 商品売買取引 連結会計(連結財務諸表or連結精算表)
第3問 損益計算書 精算表 製造業会計
第4問 個別原価計算 製造原価報告書 費目別計算
第5問 直接原価計算・CVP分析 標準原価計算 等級別総合原価計算

(2) 直前ヤマ当て模試の出題論点

今回および前回の直前ヤマ当て模試は、次のリンク先から無料で入手することができます!

【簿記検定受験対策】154回 2級 直前ヤマ当て模試 【簿記検定受験対策】153回2級 直前ヤマ当て模試

解説動画をYouTubeでも公開していますので、必要な方はそちらもご利用ください!

これらの問題で出題しているテーマは次のとおりです。

第154回目標 第153回目標
第1問 仕訳問題
① 役務収益および役務原価
② 定期預金の更新
③ リース取引
④ 本支店会計(支店純損益の振替)
⑤ 吸収合併
仕訳問題
① 債権の譲渡
② 割引した手形の不渡り
③ ソフトウェア
④ 本支店会計(支店間取引)
⑤ 連結会計(未実現利益など)
第2問 商品売買取引(勘定記入など) 有価証券取引(勘定記入など)
第3問 精算表 損益計算書
第4問 個別原価計算 本社工場会計
第5問 標準原価計算 直接原価計算・CVP分析

3. 第1問について

第1問は、毎回仕訳問題が5つ出題されます。様々な取引がランダムに出題されますし、仕訳の知識は第2問以降のほとんどの問題でも必要となります。したがって、第1問はあえてヤマをはらないことが重要です。

そのため、テキストに載っている例題に加え、可能であれば問題集の仕訳問題を一通り解き直す(決算時に行う仕訳を含む)ことがおススメです。①覚えてしまった勘定科目は略字を使う、②頭の中で仕訳ができる取引は頭の中で考えるだけにして次に進むといったやり方をすれば、復習スピードが格段に速くなります。そのような学習の生産性を高める工夫も併用すると良いでしょう。

少しでも学習量を減らしたい、重要なところに絞って対策したい場合、「これだけは難しくて本試験までに習得は難しい」というものに限定してあきらめていくとよいでしょう。出題可能性が低いものから削るのではなく、正答可能性の低いものから削るのです。

なお、直前ヤマ当て模試では、私なりのヤマを出題しています。今回(第154回試験目標)はもちろん、前回(第153回試験目標)についても、第1問の問題はすべて今回(第154回)の対策に使うことができます。前回の第1問はヤマが当たっていないということでもあるのですが( ;∀;)、どれも重要な内容ばかりですので、ぜひご活用くださいませ!

4. 第2問について

第2問は、特定のテーマを対象とした「勘定記入」、「株主資本等変動計算書」、「連結会計」など、バラエティに富んだ出題がなされます。

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第2問の出題内容 備考
第144回 商品売買取引(勘定記入など) 売上原価対立法。商品が2種類あった。先入先出法による払出計算を伴うなど、計算量がかなり多い。
第145回 株主資本等変動計算書 その他資本剰余金を財源とする配当含む
第146回 現金および預金 現金の範囲、銀行勘定調整表に関する基本的な問題
第147回 問1 吸収合併
問2 連結会計
問1は合併に関する基本的な問題。
問2は連結会計に関する仕訳問題
第148回 有価証券取引(勘定記入など) 仕訳を丁寧に考えれば高得点が可能
第149回 商品売買取引(勘定記入など) 売上原価対立法。外貨建取引に関する処理も問われている。計算量が多い。
第150回 固定資産取引(勘定記入など) 仕訳を丁寧に考えれば高得点が可能
第151回 株主資本等変動計算書 その他資本剰余金を財源とする配当含む
第152回 現金および預金 現金の範囲、銀行勘定調整表に関する基本的な問題
第153回 語句の穴埋めなど 高得点(あわよくば満点)を狙える基本的な問題
第154回の予想 ① 有価証券取引(勘定記入など)
② 商品売買取引(勘定記入など)
③ 連結会計(連結精算表or連結財務諸表の作成)

第1・2予想は、いずれも勘定記入を中心とした問題を想定しています。初見で解く場合、どこから手をつけてよいか迷う受験生も多いのですが、迷ったときは丁寧に仕訳を考えていくと良いでしょう。一連の取引を仕訳として書き起こすことで、それを転記・集計する形で大部分の解答が埋まっていくことが多くあります。

第1予想の「有価証券取引」は前回(第153回試験目標)の直前ヤマ当て模試、第2予想の「商品売買取引」は今回(第154回試験目標)の直前ヤマ当て模試で対策問題を出していますので、ぜひご活用ください。

第3予想に掲げた「連結会計」は、前回(第153回)本試験の第3問で過去最高難易度のもの(連結精算表)が出題されました。そのため、今回(第154回)での出題可能性は少し落ちますが、連結会計を全く対策しないのは危険かと思います。第1問で連結修正仕訳の一部を問う、第2問で連結精算表とは違った形式の問題を出題するといったことも考えられます。なんらかの形で連結会計の内容が問われる可能性は十分にあります。基本的なことだけでもいいので、連結会計の復習しておくことをおススメします。

5. 第3問について

第3問は決算を伴う総合問題が出題されます。第2問が特別に難しい場合を除き、基本的にこの第3問が最も解答時間を要することになります。

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第3問の出題内容 備考
第144回 精算表 標準的な問題
第145回 貸借対照表 標準的な問題(ボリュームは少々多め)
第146回 精算表 標準的な問題
第147回 損益計算書 標準的な問題
第148回 連結精算表 連結貸借対照表と連結損益計算書のみの形式。株主資本等変動計算書が無いことに若干戸惑うが、レベルは基本的
第149回 本支店会計 本店の損益勘定を記入する問題
第150回 貸借対照表 標準的な問題
第151回 連結精算表 子会社2社、子会社間取引あり。

ボリュームは超特盛級(汗)

第152回 貸借対照表 標準的な問題
第153回 連結精算表 未実現利益の取扱いを中心に、非常に難易度の高い連結修正が盛り込まれていた。ボリュームも超特盛級であり、第151回第3問と同等かそれ以上の超難問。
第154回
の予想
① 損益計算書
② 精算表
③ 製造業会計

第1予想の「損益計算書」については、前回(第153回試験目標)の直前ヤマ当て模試で対策問題を出していますので、ぜひご活用ください。

第2予想に掲げた「精算表」は、最近は出題頻度が下がっているのですが、いい具合に出題が途絶えています。対策問題を今回(第154回試験目標)の直前ヤマ当て模試で出していますので、ぜひご活用ください。

第3予想に掲げた「製造業会計」は、今のところ過去の本試験で本格的な出題はされてはおりません。前回(第153回)本試験の第3問に製造業の要素が若干盛り込まれてはいたのですが、あくまでも連結会計の知識をメインに問う問題になっていました。2018年度以降新たに出題範囲に組み込まれたものでもありますので、いつ本格的に出題されても大丈夫なように対策しておくべきでしょう。
製造業会計の対策としては、次の2つをしていただくことをおススメします。

① 工業簿記の勘定体系(原価差異が生じる場合も含む)をしっかりと学習しておく。これは、第4問・第5問の工業簿記対策にもなります。

② 製造業会計を含んだ実戦問題をお持ちの方は、それを使って練習しておきましょう。仕掛品勘定や製造間接費勘定、製品勘定といった工業簿記特有の科目については、その動きをT字フォームなどで整理するといった下書き方法の模索もしてみてください。問題をお持ちでない方は、日本商工会議所から公表されているサンプル問題が良い練習用題材になると思います。

参考 サンプル問題日本商工会議所

市販教材や専門学校の予想問題についても、このサンプル問題を参考にして作成されていることが多くなっています。

6. 第4問について

第4問と第5問は、ともに工業簿記の問題となっています。第4問は一般的なテキストの前半に載っているテーマ、第5問は一般的なテキストの後半に載っているテーマが出題されやすくなっています。ただし、標準原価計算のように第4問と第5問のどちらにも出題されるテーマもあります。
過去10回における第4問の出題傾向は次のようになります。

第4問の出題内容 備考
第144回 材料費など 材料費の計算が中心であるが、製造間接費勘定、仕掛品勘定の記入まで問われていた
第145回 部門別計算 基本的な問題
第146回 標準原価計算 シングルプラン。月初・月末の仕掛品あり。材料を中心とした内容
第147回 本社工場会計 基本的な仕訳問題
第148回 個別原価計算 「プロジェクト別」という表現が用いられていたが、内容は個別原価計算に関する基本的な問題
第149回 直接原価計算 直接原価計算によった場合の仕掛品勘定および損益計算書
第150回 費目別計算など 基本的な仕訳問題
第151回 部門別計算 補助部門費についても予定配賦を行う設定であったが、難易度は標準的
第152回 部門別計算 部門別計算に関する基本問題
第153回 本社工場会計 基本的な仕訳問題
第154回の予想 ① 個別原価計算
② 製造原価報告書
③ 費目別計算

前回(第153回)本試験では、直前ヤマ当て模試でも出題していた「本社工場会計」が出題されましたので、今回はそれ以外のテーマを、予想に掲げました。

第1予想の「個別原価計算」については、対策問題を今回(第154回試験目標)の直前ヤマ当て模試で出していますので、ぜひご活用ください。

第2予想の「製造原価報告書」については、第137回(第4問)以降、出題されていない問題形式となります。いつ出題されてもおかしくはありません(そう言い続けて何回目になるだろうか…^^;)。また、「製造原価報告書」は、仕掛品勘定に記入される内容をまとめ直したものであり、その問題に取り組むことは、工業簿記における一連の処理(原価差異が生じるような場合も含む)を復習することにもつながっていきます。予想が外れたとしても、対策したことは決して無駄にはなりません。各自ご使用のテキストや問題集などを通じて学習しておくことをおススメします。

第3予想にはざっくり「費目別計算」と掲げましたが、材料費メインの問題や労務費メインの問題、あるいは費目別計算そのものだけでなく、工業簿記の一連の処理に関する問題など、様々な出題が想定されます。もっと出題予想を絞り込んで欲しいと言われそうですが、テキスト・問題集の前半で扱われている費目別計算付近の内容は、工業簿記全般に影響する大切な基礎でもあります。あえて様々な出題パターンを想定したうえで、工業簿記テキスト・問題集の前半部分をしっかり復習しておくことがおススメです。

7. 第5問について

過去10回の出題傾向は次のようになります。

第5問の出題内容 備考
第144回 単純総合原価計算 複数材料あり(うち1つは平均的に投入)。正常仕損に評価額あり
第145回 直接原価計算 直接原価計算による損益計算書を作成する問題。

一部金額の推定あり

第146回 単純総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり
第147回 標準原価計算 パーシャルプラン。月初・月末の仕掛品あり。仕掛品勘定と損益計算書作成のみ
第148回 組別総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり
第149回 工程別総合原価計算 工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり。正常仕損に評価額あり
第150回 CVP分析 標準的な問題
第151回 等級別総合原価計算 完成品総合原価を各等級製品に按分する方法。工程途中で発生(発生点不明)した仕損あり
第152回 標準原価計算 製品が複数あり、予算を前提にした計算も盛り込まれていた。しかし、難易度は高くない
第153回 組別総合原価計算 高得点が狙える基本問題
第154回の予想 ① 直接原価計算・CVP分析
② 標準原価計算
③ 等級別総合原価計算

第1予想の「直接原価計算・CVP分析」については、前回(第153回試験目標)の直前ヤマ当て模試で対策問題を出していますので、ぜひご活用ください。

第2予想の「標準原価計算」は、前々回(第152回)で出題されたものが比較的簡単なものでしたので、バージョンアップしたものが今回(第154回)以降に出題される可能性があります。対策問題を今回(第154回試験目標)の直前ヤマ当て模試で出していますので、ぜひご活用ください。

第3予想には、頻出の総合原価計算に関連したテーマのうち、「等級別総合原価計算」を掲げさせていただきました。前回(第153回)本試験で組別総合原価計算が出題されたばかりですが、総合原価計算に関連したものが連続で出題されることは過去何度かあるのです。単に「等級別」のみに絞るというのではなく、平均法と先入先出法の両ケース、仕損・減損が発生したときの取扱いも含め、総合原価計算全般の復習をしておいていただければと思います。

8. 最後に

日商簿記2級は、第147回以降は合格率が10~20%台を推移しており、30%を下回る水準が続いています。

参考 受験者データ日本商工会議所

合格率が下がっている要因の1つには、前回(第153回)の第3問のような難易度の高い問題が出題されているという点があるかと思います。難しい問題にぶち当たると、その部分で失点が生じてしまいがちなのはもちろん、その問題に時間を多く費やしてしまったり、精神的なダメージを受けて他の問題も取りこぼす受験性が増えるためです。

しかし、だからといって「努力が報われない試験」かというと、そんなことはないかと思います。難しい問題が出たとしても、たいてい他に取りやすい問題が含まれているものです。難しい問題は後回しにしたり、まずは簡単に取れる部分のみ取って逃げ切るといった対応も可能です(※)。試験特有のテクニック的なことになってしまいますが、適切な時間配分を図るだけで、合格にはかなり近づきます。満点は逃すかもしれませんが、通常行うべき対策をしていれば、合格は十分可能です。
また、合格するためのハードルは高くなっている分、合格者に対する社会的評価も高くなっている傾向にあるかと思います。合格後も含めた長期的なスパンで見れば、本当の意味で「努力が報われる」試験に変わりつつあるということもできます。
楽ではないかもしれませんが、希望をもって、最後までベストを尽くしていただければと思います。
※ 連結会計の超難問が出題された第151回・第153回の第3問について「超速逃げ切り術」というYouTube動画も挙げていますので、もしよろしければ参考にしてみてください。