【電卓の使い方シリーズ】その① 電卓の選び方

目次

1. はじめに

簿記の学習においては、暗算やそろばんができる方を除き、電卓は欠かせないツールとなります。
電卓はコンビニや100円ショップなどで安く販売されています。また、携帯電話でも電卓の機能が使えたりします。このように、電卓は日常生活において気軽に使用できるようになっています。

しかし、いざ簿記の学習に用いる場合には、廉価な電卓や携帯電話では使い勝手が悪いことが多くなります。また、検定試験では携帯電話を使用することはできません。

簿記を学習する際は、ある程度本格的な電卓を用意する必要があるといえます。また、日常生活ではあまり使用しない機能を使うこともあります。そのため、受験生の方からは電卓の選び方や使い方について相談を受けることも多くあります。
そこで、今回から5回にわたり、電卓の使い方シリーズとして電卓の選び方や使い方に関する記事を書いていきたいと思います。各回の内容は次のとおりです。

ひとまず、今回(第1回)は電卓の選び方について紹介していきます。これから簿記を学習する方、簿記の学習を始めたものの電卓選びで悩んでいる方の参考になれば幸いです。

2. 一般的なサイズ、メーカーについて

(1) サイズについて

コンビニや100円ショップで販売されている電卓は、比較的コンパクトなものが多くなっています。簿記の学習で用いる場合は、それらよりも大きい方が使いやすいのではないでしょうか。

一般的には、「縦17cm×横11cm程度」のものを使っている受験生が多い状況です。さらに、「縦17cm×横11cm程度」よりも大きいサイズの電卓もあります。手の大きい人など、より大きい方が使いやすいという方もそれなりにいます。

ただし、試験では大きさに制限が設けられていることがあります。制限に引っかかる電卓はよっぽどの大きさと言えますが、必ず目指す試験の受験案内も確認しておくようにしましょう。

(2) メーカーについて

電卓は使い方の観点から、大きく「カシオタイプ」と「カシオ以外のタイプ(シャープ、キャノンなど)」に分けることができます。特殊な機能を使う際、カシオとそれ以外とで使い方が若干変わってきます。カシオ以外については、基本的に各社共通した使い方になります。

どちらにも慣れていないうちは、なんとなくの好みで選んでしまって大丈夫でしょう。慣れてしまえば、どちらの電卓でも使い勝手の良いものになります。

ただし、片一方のタイプに慣れてしまうと、もう片一方のタイプが使いづらくなる人が多いようです。私自身、カシオの電卓には慣れていますが、カシオ以外の電卓を使おうとするとあたふたしてしまいます(^_^;)。逆に、シャープやキャノンなどの電卓に慣れている人がカシオの電卓を使うと、思うように機能を使いこなせずあたふたすることが多いです。

3. 必ず備えておきたい機能

いざ電気屋などで電卓を探してみると、様々な種類の電卓があります。サイズやメーカー、キーの配列など、最終的には、ある程度好みに応じて選ぶことになると思います。

そのような中、簿記の学習を始めるにあたっては、必ず次の4つの要件を満たすものを選ぶようにすることをおススメします。

(1) 12桁表示

日商3級であれば10桁の電卓で間に合う問題が多くなっておりますが、日商2級よりレベルの高い試験を受けるなら12桁が必要な問題も想定されます。試験だけでなく、その後実務に就いたときにも試験で愛用していた電卓を使う人は多いと思います。将来のことも考えると、12桁表示にしておくことをおススメします。

(2) メモリー機能(GTメモリーと独立メモリー)がついていること

メモリー機能とは、画面表示しているものとは別で数字を記憶しておく機能といえます。メモリー機能には、GTメモリーと独立メモリーの2種類があります。

GTキーが付いていれば、GTメモリー機能が備わっています。
また、M+、M-、MR(またはRM)、MC(またはCM)などのキーが付いていれば、独立メモリー機能は備わっています。電卓によっては、MRとMCをまとめてMRCまたはR-CMといなっていることもあります。

メモリー機能の使い方は別の記事(シリーズの第5回を予定)で紹介しますが、簿記の学習にあたって非常に便利な機能となっております。

(3) 早打ちに対応していること(キーロールオーバー機能)

この機能が備わっている場合、パッケージに「早打ち対応」と書いていることが多くなっております。この機能が備わっていないと、1つのキーを打った後、そのキーを離してからでないと次のキーが反応してくれません。

簿記の学習を始めると、数ヶ月しないうちにブラインドタッチかそれに近い形で電卓を早く打てる人が多くなってきます。そんなとき、早打ち対応していない電卓では学習上のストレスが溜まることでしょう。

(4) √(ルート)キーがついていること

√(ルート)キーは、日商1級や公認会計士試験で使うことがあります。日商1級や公認会計士試験を受けない場合は使う機会がほとんどありません。

しかし、はじめは日商3級や日商2級だけを目指していても、簿記の面白さにハマって日商1級以上を目指す人は多くいます。将来のことも考えると、√キーがついたものを選ぶことをおススメします。

4. 簿記の試験で関数電卓は使えません!

本格的な電卓を探していると、sin、cos、tanをはじめとして、微積分など理系分野で活用できる関数電卓というものを目にすることがあるかもしれません。関数電卓は、簿記の学習で用いるよりも多くの機能を備えています。

しかし、日商簿記検定試験、公認会計士試験、税理士試験などの簿記に関する試験では関数電卓の使用が認められておりません。簿記に関する試験対策では、関数電卓を選ばないように注意しましょう。

5. 各種試験における使用制限の概要

日商簿記検定、税理士試験、公認会計士試験での電卓の使用制限の概要は次のようになっております。ただし、ここに表記したのはあくまでも概要です。必ず各試験の受験案内を確認するようにしてください。

(1) 日商簿記検定

計算機能(四則演算)のみのものに限り、例えば、以下の機能があるものは持ち込みできません。

  • 印刷(出力)機能
  • メロディー(音の出る)機能
  • プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶機能がある電卓)
  • 辞書機能(文字入力を含む)

※ ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とされています。

  • 日数計算、時間計算、換算、税計算、検算 (音の出ないものに限る)

(2) 税理士試験

  • 26cm×18cm以内
  • 演算機能のみを有するもの(紙に記録する機能、計算過程をさかのぼって確認できる機能、プログラムの入力機能等を有するものは使用できない。ただし、消費税の税込み・税抜き計算機能のみを有しているものは使用できる。)

→ 訂正・修正キーのあるものは使用できないが、検算キーは大丈夫

(3) 公認会計士試験

  • 外形寸法がおおむね20cm×20cm×5cm以内
  • 計算機能以外の機能を有しないこと
  • プログラム入力・記憶機能、関数電卓機能、紙に記録する機能、漢字・カナ・英字入力機能を有しないこと
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