日商簿記1級の次は公認会計士!

目次

はじめに

前回の記事では、公認会計士試験の前に日商簿記検定の学習・受験を行う意義を書かせていただきましたが、こちらは公認会計士そのものを目指している方に向けた内容でした。

2. 公認会計士とはどんな資格なのか?

公認会計士がどのような資格であるか、簡単な概要は次のとおりです。詳細は公認会計士試験ガイドで確認することができますので、気になった方は併せてご覧ください。

(1) 公認会計士が行うことのできる業務

公認会計士を一言で表すと「会計及び監査の専門家」(公認会計士法第1条より)ということができます。公認会計士は、上場企業などが作成した財務諸表(一般的には決算書ともいいます)の監査を行うことができます。つまり、公認会計士の独占業務(その資格を持っていないとできない業務)は監査業務となります。 上場企業など社会的に影響力のある企業の財務諸表は、利害関係者によっては非常に重要な情報となります。そのような情報が企業活動の実態に応じて適正に作成されているかチェックし、お墨付きを与えるのが監査業務の役割です。その活躍ぶりが世間でもてはやされることは多くありませんが、健全な経済社会を成り立たせるための重要な役割を担う「市場の番人」といえます。 また、「監査」を行うためには、その対象である「会計」についても専門知識を有する必要があるのですが、その専門知識を活かして監査以外の業務(税理士業務、コンサルティング業務、一般事業会社の経理や財務など)で活躍する公認会計士も多数います。

(2) 公認会計士登録までの流れ

公認会計士試験に合格し、公認会計士登録を行うまでの流れは次のようになっております。

公認会計士試験合格から公認会計士登録までの流れ

  • ① 公認会計士試験(短答式試験、論文式試験の2段階)の合格
  • ② 2年以上の実務経験
  • ③ 実務補修
  • ④ 日本公認会計士協会による修了考査の合格

最もハードルが高いのは①の公認会計士試験に合格する段階といえるでしょう。また、②の実務経験を経るのと同時並行で③④をクリアしていくことができます。一般的には、①の公認会計士試験合格後は1人の専門家(またはその卵?)として仕事を行っていく状況となります。

(3) 公認会計士試験の試験科目

公認会計士試験の試験科目は、会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、統計学、民法の中から1つ選択)の5科目(財務会計論と管理会計論を分けて考えるならば6科目)となっております。このうち、租税法と選択科目は論文式試験のみの実施となります。  

3. 日商簿記1級受験後に公認会計士試験を目指す意義

(1) 日商簿記1級受験までに得た知識が公認会計士試験対策でも大きなアドバンテージになる

公認会計士試験のうち会計学の配点は、短答式試験では500点満点のうち300点(財務会計論200点、管理会計論100点)、論文式試験でも700満点中300点を占めておりとなっており、会計学は合否を大きく左右する重要な科目となっております。 会計学では、計算問題と理論問題がそれぞれ出題されますが、日商簿記1級の学習範囲は、公認会計士試験の会計学で対策すべき計算内容の約70%を占める感じになります。もちろん、上乗せしていくべき内容はありますが、計算内容の大半が日商簿記1級までに学習済みとなっている点はかなり有利な状況といえるでしょう。 そして、気になる理論部分についても、計算内容やその背景にある考え方を文章で学んでいくのですが、計算ができれば理解していくことにはそれほど苦労は伴いません。

(2) 日商簿記1級合格のために鍛えてきた現場対応力が公認会計士試験でもキーとなる

日商簿記検定は、単に問題のパターンを単純暗記していくだけでは解答しづらい問題がどの級においても出題されます。その中でも1級は、初見の問題に対する現場対応力を十分に鍛えておくことが合格のためには重要です。逆に言えば、最小限の基礎知識とそれを活用する現場対応力を鍛えることを意識すれば、それほど苦労せずに合格できます。 そして、そのような現場対応力(思考力)は公認会計士試験においてもより重要となります。日商簿記1級に合格できるだけの対策をする中で、単なるパターン暗記ではない現場対応可能な実力・思考力を養ってきたことが、公認会計士試験においても多くの受験生から一歩飛び抜ける貴重なスキルとなります。

(3) 公認会計士試験の合格が人生を切り開く大きな武器となる

難関国家資格の1つとされる公認会計士の試験に合格することは、その後の職業選択・業務を一変させるチャンスとなります。公認会計士試験に合格することは、例えば、次のようなメリットを得ることができます。

公認会計士試験合格のメリット

  • ① 大学の新卒でなくとも監査法人や優良企業への就職・転職の機会を得られる
  • ② 公認会計士試験の合格までの努力が貴重な経験・自信となる
  • ③ 公認会計士の登録はもちろん、公認会計士試験に合格するだけでも社会の多くの人々か専門家として見られることが多く、発言力・影響力を発揮しやすくなる

4. 最後に

公認会計士試験にチャレンジすることは、ある程度のコスト・時間が必要となります。しかし、私がこれまで出会ってきた公認会計士試験合格者のほとんどは、「定年まで会社にしがみつく人生」ではなく、常に「自分のやりたいことを実現していこうとする人生」を歩んでおります。 そして、そのような人生を歩めるだけの社会的信頼と自信は、公認会計士試験に合格したことが少なからず影響しているものと思われます。 一度きりしかない人生、より満足と幸せを得る手段として、公認会計士という選択肢があることを知っておいていただけると幸いです。

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