計算科目は、これさえやれば大丈夫

はじめに

簿記1級を必ず合格する覚悟

受講序盤で計算を重視するクレアールのカリキュラムは、現行の会計士試験対策として非常に合理的です。習得に時間がかかる計算を重点的に学習し、仕上がってから理論科目に集中することは、短答のみならず、論文の深い知識を習得する際にも有効だからです。

今回は、特にクレアールの教材をベースとした具体的な教材の活用方法を中心に、クレアールのカリキュラムと通信講座のメリットを最大限活かした学習方法をお伝えします。

1.初回講義と問題演習を進める

講義は必ず倍速で聴く

計算科目における最終目標は、本試験の問題を解く実力を養うことです。そのため、学習のメインは問題演習である、という点が重要です。一方、講義は問題に対する解答方法の解説で、あくまで問題演習の準備段階に過ぎません。クレアールではすべての講義で倍速再生が可能なため、「準備段階」の講義時間を短縮する方法として倍速再生を強くおすすめします。ほとんどの人は30分くらいで耳が慣れるため、ぜひチャレンジしてみてください。
さらに万が一、理解が追いつかない場合、倍速再生はそのままで同じ講義をもう一度聴いてください。時間にすると通常再生1回と同じですが、ゆっくり1回聴くより多少わからなくても倍速で2回聴いた方が、私は理解しやすいと感じました。

講義は、「1章ごと」に聴く

クレアールでは単元別講義を実施し、細切れ時間にも進められる構成になっています。しかし、細かく区切りすぎて同じ論点の内容の続きを時間がたってから始めるのでは、前回の内容を忘れがちになり、あまり効率的とは言えません。そこで私がおすすめしたいのは、可能な限り、一つの単元のまとまりごとに講義を視聴することです。たとえば、分量の少ない「現預金」の単元であれば1回ですべて視聴する、「退職給付会計」であれば半分で分けるといった具合です。

また、講義受講時にはできるかぎりテキストを用意し、ポイントをテキストに書き込みましょう。移動時間で聴く場合は工夫が必要ですが、メモをとると講義の印象を記憶しやすく、問題演習の際にポイントを思い出しやすくなります。

講義後は、必ず問題を解く

なるべくまとめて講義を受けるメリットは、復習の質にあります。知識の定着には復習が欠かせませんが、なによりそのタイミングが重要です。講義受講後の1時間は、知識定着の「ゴールデンタイム」と言われるほど、復習の効率が良いのです。特に計算科目は講義ではなく問題演習によってはじめて実力がつく分野であるため、講義後の復習は必ず心がけてください。理論分野についても復習の重要性は変わりませんが、単に教科書を読み返すだけではなく、問題形式のスピーチ課題を見て内容を思い出したり、過去問題集を解いてみるのも有効です。このように復習とセットで講義を受講すると、私個人では繰り返し問題演習をする際に知識が定着しやすくなる傾向がありました。

2.過去問を解く

簿記1級の過去問で、体系理解する

短答を目指す方にまずおすすめしたいのが、簿記1級の過去問を繰り返し解くことです。簿記1級の範囲は短答計算科目の8割程度をカバーしているだけでなく、総合問題を解くことで各論点の体系理解が加速します。一見、短答式試験と形式が違うため敬遠する受験生も少なくありませんが、簿記検定おなじみの決算整理前試算表から解くスタイルの総合問題は、会計処理の全体像がつかみやすく、基礎力の習得にはもってこいの教材です。また、難易度自体は会計士試験に匹敵するレベルですが、わからなければ随時答えを見てどんどん先に進んでください。大切なことは、答えを見ずにすらすら解けるようになるレベルまで、同じ問題を繰り返し解くことです。目安としては、3、4回分の過去問を一通り解けるようになれば、実力がついたと言えるでしょう。あとは1級の本試験や短答式答練の結果を見ながら弱点を補強し、問題なければ次に述べる短答式試験の過去問にチャレンジしてみましょう。

試験合格のカギは、過去問にある

受講生の皆さんは、過去問をどのように活用していますか。本試験前の力試しだけ、という方は非常にもったいないです。過去問の重要性については当ブログで繰り返し述べていますが(短答に受からない原因の8割は、簿記の基礎にある)、過去問は本試験のレベル感を体験できるだけでなく、各論点の良問が集まった最高の復習教材です。ここで特に強調しておきたいのが、クレアールの単元別過去問題集(短答式)の存在です。7年、14回分の分量、旧基準の問題は現行基準に改題してある点、さらに単元別に編集してあることから、非常に効率的よく復習ができるようになっています。短答まで、この問題集がボロボロになるくらい復習を重ねれば、必ず合格の実力が効率的に磨けます。もちろん本試験問題のため、なかには絶対解けないような難問もありますが、あくまで「基礎力の習得」に焦点を当てた使い方をすることをおすすめします。なぜなら基礎レベルの良問を繰り返し解くことが、会計士試験合格の最短距離となるからです。後述する理論部分についても同様に復習を繰り返すことで、計算科目合格レベルの実力が必ずつくでしょう。

3.理論との相乗効果を発揮する

理論習得のコツは、テキストの「流し読み」

理論部分も基礎を問われている問題が多く、正答率も8割程度を目標にすべきです。そして、そのため最も重要なのがテキストの読み込みですが、講義の重要なポイントと選択式の問題演習で明らかになった必要最低限の知識を中心に「流し読み」することを私はおすすめします。そのための準備として、章、節、括弧などの各章立てに異なる色でマーカーを引き、そのうえで読むべき重要なポイントに印や下線を引いてください。そうすることで、無味乾燥なテキストが立体的となり、「今、どのあたりを読んでいるのか」が明瞭になります。

そして読み込む際に大切なことは、はじめは最重要ポイントだけに絞り、その他はほとんど飛ばしてしまうことです。最初は不安に思うかもしれませんが、重要なのは繰り返し読む「回数」のため、読む内容については2回目、3回目以降で少しずつ増やしていけばいいのです。この方法は、受験生時代に読んだ『短期合格者だけが知っている! 「一発合格!」勉強法』(超速太朗著、2007年、日本実業出版社)に書いてあることをそのまま実践し、実際にとても効果があったため皆さんにおすすめしました。興味がある方は直接こちらの本を読んでみてください。

理論は、これさえ読めば大丈夫

最後に、短答式に向けて理論部分で外せない読み込み対象の教材をお伝え致します。注意点としては、ただ読み込むだけでなく、答練や問題演習と組み合わせて行ってください。読み込むだけでは網羅的な知識を得られませんので、読み込みで基礎を固めたうえで答練でプラスαの知識を補い、短答合格レベルへ仕上げてください。

【財務会計論】

  • 基礎テキスト、応用期テキスト、概念フレームワーク(要点のみ)

私個人のおすすめは、財務諸表論テキストの読み込みです。短答で問われる知識すべてを網羅しているわけではありませんが、骨格となる基礎を養うのには最適だと思いました。2冊で300ページ程ありますが、工夫次第で1~2時間くらいで読み通せるのではないでしょうか。繰り返すほど読むスピードも上がり学習効率も向上するので、ぜひ何度も読んでみてください。概念フレームワークは短答で必ずといって良いほど出題されるので、重要なポイントのみ、何度も繰り返し読み込んでください。

【管理会計論】

  • 原価計算基準

個人的なおすすめとして行ってもらいたいのが、効率的に読み込むための2つの工夫です。一つ目は、ネットにあるPDFファイルを2ページ両面印刷にして、分量を少なく感じさせることです。というのも、分厚い会計法規集をこのためだけに持ち出すのは非効率ですし、PDFを通常印刷しても10枚近い分量になり、復習の意欲が低下しやすいからです。二つ目は、先述した章立てごとにマーカーを引き、どこを読んでいるのかを明確にすることです。量の多い原価計算基準の、どの部分を読んでいるのかを意識しながら読み進められるため、退屈しにくいだけでなく体系的な理解につながりやすくなるからです。

管理会計の分野については、私はあまりテキストを使わず、テキストの最低限の知識をもとに答練を繰り返し解いていました。テキスト知識はそれほど多くないので読み込む必要はないかと思いますが、不安な方は復習の際に使うくらいでよいかと思います。

おわりに

潜伏期間を経て、ジワジワと伸びる計算科目

問題集を繰り返し解いてもなかなか点数が伸びない、1級の過去問を解けるまで復習したのに答練で点数が取れないなど、計算科目で得点が伸びづらいという相談を頻繁に受けます。自分は無駄な努力をしているのではないか、このままでは短答に間に合わないのではないかと心配になる気持ちはよくわかりますが、「正しい方向の努力」を行っている限り、必ず実力がつきます。昔から受験業界では、簿記は習得に時間がかかると言われており、現在でもその傾向は変わりません。「正しい方向」を見定めるのは難しいですが、基礎の習得という大枠を外さなければ間違いありません。また、効率を意識しつつも、時には弱点分野に腰を据えて取り組むことも知識定着に役立ちます。大切なことは、トライアンドエラー、まずやってみることです。勉強方法の情報収集もほどほどに、地道に日々前進していきましょう。