短期集中で仕上げる、理論科目攻略法

目次

はじめに

準備があれば、1ヶ月で十分勝負できる

私が考える理論習得のポイントは、1日の学習時間の9割以上を理論に費やす集中特訓型で取り組む点です。企業法の肢別問題集はやればやるほど得点に結びつき、短期間で繰り返し解くことが有効ですし、監査論のテキスト読み込み、答練復習も同じく短いサイクルで復習を重ねることが効果的です。だからこそ、計算科目を簿記1級レベルまで習得し、ある程度学習頻度を減らしても忘れない程度に体に染み込ませて置くことが必要です(「計算科目は、これさえやれば大丈夫」)。

そのうえで、理論の講義を一通り受け終わってさえいれば2,3ヶ月、最短で1ヶ月程度あれば短答合格レベルを目指すことが可能でしょう。今回もクレアールの教材及びカリキュラム活用法を中心に、理論科目の効果的学習法をご紹介いたします。

 

1.講義、問題演習、テキスト読み込みの順

理論攻略の基礎は、理解暗記

理論科目の最終ゴールは暗記ですが、理解は暗記を加速させます。したがって、どちらが大事ということでなく、どちらも重要です。当たり前のようですが、意外とこの点を軽視して暗記のみ、あるいは理解に固執する受験生は少なくありません。私のおすすめは、初回講義時点では50%程度の理解で先に進み、肢別問題集やスピーチ課題(暗記までは不要)の復習を繰り返してもなお不明な場合は質問、それでもわからなければ暗記に頼る、というやり方です。はじめのうちは復習をしたうえで、どんどん先に進む意識が大切です。

初回講義は倍速かつ復習とセット

計算科目同様、理論においても講義の受講方法は同じです。初回講義を復習の準備と捉え、時間を短縮するとともに必ず復習とセットで行ってください。その際に注意すべき点は、復習の際は問題演習の形式で行ってください。該当単元の過去問題集や、監査論なら章末のスピーチ課題のように、問題を解く形式の復習が講義後の復習として最も効率的です。理想としては、講義直後から試験直前までは問題演習中心、直前期に答練と並行してテキストの読み込みを行えると良いでしょう。

 

2.過去問を解く

過去問から肢別問題集へ

理論の短答式過去問題集は、第一の復習教材として最適です。その理由は、①進捗に応じて単元ごとに学習可能、②本試験レベルを学習初期で体感できる、という2点です。特に②は重要で、学習初期に本試験レベルを抑えることで、その後の肢別問題集や答練の際に難易度や重要度を意識して効率的に復習を行うことができます。なお、企業法については網羅性を担保するため、一通り解き終わった段階で肢別問題集へと切り替えていくのがおすすめです。

論文の過去問を、テキストとして活用する

論文の過去問は基礎論点を深く問われている点が多いため、実は短答対策の理解目的で活用することが可能です。特に監査論は、企業法のように条文を覚えるまで肢別問題集を回せば比例的に得点が伸びるわけでもなく、短答において理解重要性の比率が高い科目のため、この戦術が有効でしょう。たとえば、平成27年度試験では、「監査とレビューの保証水準の違いとは」という趣旨の出題があります。こうした基礎的な論点を一言で答えられる程度の理解を得ておくと、短答においても非常に強力な武器になります。網羅的に基礎論点を固めたい方は、監査論基礎テキストの章末スピーチ課題が最適です。模範解答ではなく一言解答を意識して繰り返し解くと、効率的に理解が深まります。

 

3.これさえやれば、大丈夫

企業法は、王道の問題演習に励む

【復習のメイン】
短答式過去問題集(1~2周)
一問一答短答過去問集(覚えた条文以外、できる限り)
【理解補助】
・短答対策テキスト(肢別問題集の解説、論点復習)
・基礎テキスト(直前1週間の読み込み用)

先述のとおり、まずは過去問題集を、そのうえで肢別問題集を繰り返すのがおすすめです。注意点としては、重要性と自分の弱点を意識しながら強弱をつけて解くことです。当然、Aランクを中心に習得を目指し、Bランク程度までだったら弱点補強を繰り返す、Cランクの弱点はある程度無理ならあきらめる、といったメリハリが必要です。また、問題演習の際に理解が乏しかったり内容を忘れていた場合は、短答対策の条文別テキストや基礎テキストを利用しましょう。理解暗記の相乗効果で、効率性が飛躍します。

そのうえで、答練を「弱点探し」のツールとして活用しましょう。答練自体の復習というよりは、テキストの復習や肢別問題集の弱点リストに追加することで、間違えた問題を復習するイメージがよいかと思います。

最後に、試験直前は流し読みでよいので基礎テキストを繰り返し読んでみてください。そうすることで、知識の断片が体系理解へ進化し、学習の集大成となるからです。なお、私のおすすめである「流し読み」については前回の計算対策のブログ(3.理論との相乗効果を発揮する)をご参照ください。

監査論は、理解と監査基準を重視する

【復習のメイン】
短答式過去問題集(2~3周)
・監査基準(「監査基準」前文と本文、「レビュー基準」「不正リスク対応基準」「内部統制基準」監査の基準を通読する)
・基礎テキストのスピーチ課題(要点整理用)
【理解補助】
・監査委員会報告書(問題集及び答練の復習用)
・基礎テキスト(直前1週間の読み込み用)

監査論は、より理解が重要な科目であるため、短答式過去問題集を繰り返すだけでは得点につながりません。大切なことは、スピーチ課題を一通り一言で解答できるくらい基礎論点を理解すること(暗記ではなく要点整理として)と、監査基準を通読することです。そのうえで、短答式過去問題集を繰り返し解くと、短答試験の肢に対して細かい知識ではなく理論で戦うことができるようになります。出題のもととなる監査基準委員会報告書を通読する方法もありますが、私は非効率だと思うのでおすすめはしません。ただし、問題集や答練の復習教材としては活用すべきでしょう。会計士が行う実際の監査手続の際に利用する「教科書」でもあるため非常に詳細に記載されており、深く復習したい場合には最適の教材です。

試験直前の基礎テキスト読み込みについては、企業法と同様です。特に監査論は直前期の体系理解が重要なため、テキストにはマーカーや復習時のメモなどをたくさん記載し、最後の復習を効率よく行えるための準備を日頃から行っておくことを強くおすすめします。問題集でいつもつまづくポイントや答練で得た知識などをテキストの該当部分に書き込むと、直前期の読み込みでそれらすべてを復習できるからです。

おわりに

合格には、戦略と戦術の軌道修正が不可欠

戦略とは目的を達成するための大きな方針、戦術とは戦略を実行するための手段です。会計士試験における戦略及び戦術とはそれぞれ、試験合格のための大きな学習計画、学習計画に従った科目別攻略法です。ではなぜこのように整理するかというと、学習計画を完璧に実行できる人は少なく、試験合格のためには当初の計画からの軌道修正が不可欠だからです。戦略と戦術を区別すれば、「計画通りやったのに成果があがらない」「ノルマがきつすぎて全然達成できず、むしろモチベーションが下がる」といった不満が解消できるのです。

そのためには、まずは計画を実行し、上手くいかなかった部分については他のやり方を試してみる。それでもダメなら計画の内容自体を変えてみるというように、トライアンドエラーを繰り返してください。失敗を恐れずまず行動をし、必要に応じて修正をする。このスタイルを確立できれば、合格へ大きく近づくことでしょう。

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