公認会計士を目指す方へ & 予備校の活用法

目次

1. はじめに

初めまして。平成28年度公認会計士試験合格の森 大地と申します。
クレアールでは、日商簿記2級講座から公認会計士講座まで約2年半お世話になりました。模試や一部の問題集を除き、受験期間を通してクレアールのみで勉強しました。

このブログでは、これから受験を始めようと考えている方、受講生の方の役に立つ情報を発信していきたいと考えています。具体的には、簿記や会計の魅力から科目・論点ごとの勉強法、モチベーションアップ法などです。受講生の不安や疑問などにもお答えしますので、ご意見やご質問がありましたら、ぜひお知らせください。

2. 簿記検定に興味を持った方へ

簿記検定とは

簿記とは帳簿記入の略であり、簿記検定とは、企業の成績表である財務諸表の作成方法を習得する資格です。

財務諸表について

財務諸表は企業の経営成績や財務状態を表し、事業活動の内容を数値化した書類です。作成の主目的は投資家への情報提供ですが、法人税計算、債権者(銀行や仕入れ先など)との利害調整、競合他社分析などにも活用されます。

簿記検定を取得するメリット

著名な会計学者の伊藤邦雄先生は、「会計とは事業の言語である」と定義付けています(新・現代会計入門、日本経済新聞出版社)。
つまり、語学を習得すると交友関係や情報量といった日常世界が広がるのと同様に、会計の基礎である簿記を理解するとビジネスへの広い視野を手に入れることができます。

具体的には、簿記2級の知識で財務分析ができるようになります。勤務先の財務状態や競合他社の収益動向、そのほかAIや宇宙産業といった話題の業界のビジネス動向も、財務諸表分析を通じてより深く理解することができます。

以上より、簿記2級を習得すると、事業の言語である会計への理解が深まり、ビジネスの世界が広がるでしょう。経理の方はもちろん、それ以外の社会人の方にとっても大きな価値があると考えます。

3. 公認会計士を目指す方へ

社会における公認会計士の役割

公認会計士とは監査及び会計の専門家であり、その独占業務として企業の会計監査業務を行い、フェアな資本市場・事業活動を支える社会のインフラとしての役割を担っています。

さらに会計監査で得た専門知識を応用し、会計の専門家として経理業務やコンサルティング業務を行うことも期待されています。

公認会計士が国家資格である理由

会計監査においては、複雑かつ大規模化した企業活動に伴い高度な専門知識が求められます。そして、社会のインフラとして個々の会計士の専門知識を担保するため、国家試験として公認会計士試験を実施しています。

会計と簿記の違い

会計士試験の勉強をこれから始めようという方に向けて、会計と簿記の違いを試験科目や実務と紐づけながら述べたいと思います。

簿記とは

簿記=財務諸表の基礎となる帳簿の具体的な作成方法

簿記とは、会計基準に従って行う会計処理方法であり、帳簿の計算方法(帳簿作成方法)です。公認会計士試験では、財務会計論と管理会計論の計算部分が該当します。
財務会計論では各経済事象に対する会計処理方法を、管理会計論では売上原価を算出するための原価計算や経営管理の内部情報の作成方法を学びます。

実務のイメージ(簿記)

小規模会社の経理部長に就任したと仮定し、会社の事業活動を正しく会計処理に落とし込んでいけるかを考えてみてください。
(例:競合の新製品によりA事業部のシェアが激減し、今後数年間は赤字見込みである。昨年度に導入した外部システムの利用を当期から中止したが、解約不能契約のためあと2年間利用料を払い続ける予定である。前期の期末日付近に売り上げた商品が翌期首の数日後に大量に返品された。など)

会計とは

会計=事業活動を数値化する(財務諸表作成)プロセス及びその背景

一方、会計とは、仕入・製造・販売といった事業活動を数値化するためのプロセスと考え方です。公認会計士試験では、財務会計論及び管理会計論の理論部分が該当します。

財務会計とは投資家などの利害関係者への外部報告、管理会計は経営効率向上のための内部管理を目的とした会計です。一般的に会計というと、財務会計を指すことが多いです。

論文式試験では、日本の会計基準と国際的な会計基準の論拠の比較や、会計処理方法がなぜそのように行われるかの理由など、会計理論の深い理解が求められます。

個人的に興味深いと感じたのは、会計では経済的実質を重視するため、企業の環境や規模によって同一事象に対しても複数の会計処理が認められる点です。代表的な例としては、固定資産の定額法と定率法、売上計上の出荷基準と検収基準、原価計算の先入先出法と平均法などです。そのほか、経済的実質を重視するという点では、法的に所有していないのに会計的には所有したことにするファイナンスリース取引も会計独特の発想で、考え方が面白いと思います。

実務のイメージ(会計)

監査チームの主査になったと仮定し、あるべき会計処理を行わない経理部長を説得する方法を考えてみてください。
(例:棚卸資産の低価法がなぜ必要なのか、固定資産の減損会計を行わないとどうなるか、収益費用認識について現金主義でなぜいけないのか、など)

4. 予備校の選びと活用法

最後に予備校選びについて述べます。ハッキリ言って、受かる人はどこでも受かると思います。そのため、大事なのは予備校選びではなく予備校の活用法だと私は考えています。以下、私が経験して身に着けた、クレアールの活用法について述べていきます。

クレアールをフル活用する

クレアールは通信専門で、学習する論点を絞った独自のカリキュラムが特色です。特に、すでに受講されている方は、この点をもう一度思い出して学習に役立てていただけたらと思います。個人的なおすすめとしては、

  • ①必ず講義を倍速で視聴し、余った時間を問題演習に充てる、
  • ②限られた範囲をひたすら繰り返す、の2点です。

①講義を倍速で視聴&問題演習に重点を置く

学習のゴールである合格とは、問題を解けるようになることです。講義はというと、問題を解くための予備知識を解説しているに過ぎません。合格するために大事なことは、問題演習(またはテキストを読むこと)をひたすら繰り返すことです。したがって、講義の受講時間を短縮することが短期合格への近道だと思います。

②学習のメインは基礎をひたすら復習すること

大学受験でも国家試験でも、本試験問題のほとんどが標準レベル以下です。ここで大事なのは、基礎を徹底すること=限られた範囲を確実にすることです。そのためには、①の問題演習をする範囲を限定すべきだと思います。具体的には、各論点のテキストの例題レベルを文字通り100%、1/2の所要時間で解けるレベルで日商簿記1級は合格できます。私はここまで完璧ではなかったものの、範囲を絞るということ、とにかく繰り返すということは常に考えていました。少しでも多くの時間を基礎の復習に充て、例題を解ける範囲を地道に広げていくことが大切です。

サポートを使い倒す

上記のほか、サポート制度をフル活用することも合格への近道です。

①たくさん質問する

特に簿記を学習して間もない頃は、出てくる用語、論点、問題の解き方などわからないことだらけです。私の場合は東京在住だったため、何度も水道橋の校舎に質問しに行っていました。そこで感じたのは、質問すると理解度が格段に上がるということです。公認会計士である講師の方に直接聞いてみると、問題の解説だけでなく実務上の処理や関連する最近の会計ニュースなども教えてくれます。一見、試験に関係なさそうなこれら知識も、案外、理解を深めるのに役立ちます。さらに気分転換にもなるのでとてもおすすめです。遠方の方は、電話でもできますので積極的に質問してみてください。

②学習相談する

通信専門なので、一人で学習される方も多いと思います。私もその一人でしたが、最大のリスクはペース配分の失敗ではないでしょうか。公認会計士試験では、短答式だけでも4科目、論文式ではさらに2科目増えるなど試験範囲が膨大です。適切な学習計画と計画の実行状況は非常に大切ですので、答練の点数などを参考に、遅れている科目の学習相談などはとても有効だと思います。私は①の質問をする際に、悩んでいた科目の勉強法などをよく聞いていました。あとは、初めて短答式試験を受けるときや論文式試験へ向けての勉強法を相談していました。勉強のモチベーションにもなりますので、ぜひ積極活用してみてください。

5. おわりに

私は試験勉強を通じて会計がとても好きになりました。先述のとおり、会計には独特の考え方があるほか、国際的に対立する論点があるなど答えのない学問です。会計士試験では会計以外の科目もありますが、どの科目も関心を持てば面白い点があるはずです。学習中は多くに興味を持ち、会計を学ぶ楽しさをぜひ味わってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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