学習スタートから合格までの軌跡
2021年8月 簿記3級学習開始
2021年10月 日商簿記3級⇒合格
2022年2月 日商簿記2級⇒合格
2022年6月 日商簿記1級⇒合格
2022年7月 公認会計士講座の学習開始
2022年12月 短答式試験⇒不合格
2023年5月 短答式試験⇒合格
2023年8月 論文式試験⇒不合格(会計学は科目合格)
2024年8月 論文式試験⇒合格(会計学は免除)
はじめに
大学1年生の夏から簿記の勉強を始め、3年生に短答式試験、4年生に公認会計士試験に合格しました。
以下において、合格までの軌跡、会計士を目指した理由、クレアールを選んだ理由、勉強方法等について合格体験記として執筆させていただきました。
公認会計士を目指した理由
今の時代、将来に向けたキャリアを考えることは大切なことです。大学生活の中で講義やアルバイト以外の時間を有効活用したいと思っていました。そのため具体的な目標を設定し、それに向かって努力することが必要だと感じていました。
その中で簿記検定の資格取得を目指した簿記の勉強を始めました。その際、数字や会計の知識に対する適性が自分にあることに気付きました。そこでさらに専門性を高めたいと思い公認会計士を目指すことにしました。
クレアールを選んだ理由
私は効率的に学習を進めるうえで、クレアールの合格に必要な内容に焦点に絞った「非常識合格法」の学習コンセプトに惹かれました。
公認会計士試験は相対評価の試験である以上、「他の人も正解してくる問題は必ず自分も正解する」ことが重要であり、各論点の重要度や出題頻度の高いものを効率よく学習し合格するというコンセプトに惹かれたためクレアールを選びました。
また、他の予備校と比較して、圧倒的に低価格である点にも魅力を感じました。
学習方法
総論(総学習時間:約3300時間)
公認会計士の試験は計算問題の比重が大きく、そのうえに知識が定着するのには時間がかかってしまうため、まず計算の知識を確立してから理論はテキストなどで反復することが重要です。
また、計算・理論ともにテキストでインプットするだけでは知識は身に付かず、問題集や答練、過去問などでアウトプットすることで知識は効率的に身に付けることができます。
簿記検定対策(合計約640時間)
テキスト・問題集は2~4周しました。1周目は講義を聴きながらテキストを進めます。
まずは自分で解いてみて講師の方の解説を聞きます。そしてそれに対応する問題集を解きます。
2周目は問題集を解いてから、分からなかった・理解できていないものはテキストに戻り、その論点に印をつけます。また私は問題集を解き終わった際、カラーシールを使っていました。
具体的な使用方法としては、青・黄・赤色のシールを使いそれぞれの役割(以下参照)を決めます。A~Bランクの問題がすべて青にできるように期間(目安は前回の学習から1~3週間)を空けて繰り返し解きます。
・青→理解できている・問題を見るだけですぐに解法や仕訳の形をイメージできる
・黄→正解はできたが自信がない・解法がすぐに思いつかなかった
・赤→正解できなかった・自力で解けず解答を見た・分からなかった
これは〇△×など視覚的に進捗度が分かれば何でも大丈夫です。
2周目後、答練や過去問を解きます。それにより苦手な論点、問題形式を把握することができます。
私は2周目後に過去問を使い始めましたが、学習初期に過去問を解くのではなく「読む」ことで自分が目指している資格のレベル、どういったことを問われるのかを知ることができるため、過去問に触れる時期は早ければ早いほどいいです。
3周目以降も問題集→テキストの順で解き、答練や過去問を制限時間の半分から4分の3程度の時間ですべての問題が正解できるまで繰り返すことで、より早くより正確に解くトレーニングになります。
学習初期は理解できず、躓く場面が出てきます(特に減価償却、経過勘定科目などは日常生活で目にすることがほぼないためです)。それでも先に進み、テキストを1周してから戻ることをおすすめします。
学習を進めていくうちに他の個別論点と関連して気付くことがあり、簿記の勉強は反復することが最重要事項であるため、1周ですべてを理解し暗記しようと思ってはいけません。
短答式対策(合計約980時間)
◆ 簿記
簿記検定までと同じ勉強方法でした。財務会計論の計算部分は1級までの内容に対してほぼ延長線上にあるので、クレアール会計士講座のテキストは1級+αの「α」の部分がほとんどでした。
そのため1級と会計士講座の問題集をベースに反復し、答練の配信ペースに合わせて答練を解き、初見で間違えた問題だけを繰り返し解きました。
◆ 財務諸表論
短答式試験の財務諸表論では、暗記はそれほど必要なく、テキストでまず理解に努めました。
理論問題では会計の背景や歴史だけでなく、仕訳の方法を説明したものもあります。そのため理論は計算と関連付けることで効率的に理解できます。
また、アウトプットが重要なので問題集、過去問、答練、模試を繰り返し解きました。
◆ 管理会計論
簿記検定と同様の勉強方法です。管理会計論(計算)は早く・正確に解けるように時間を測って問題集や答練を反復しました。
管理会計論は短答式試験の中で最も相対試験の特徴を一番受ける科目だと思っており、基礎的な問題を解くための早さと精度を高めるようにしました。
計算問題は全部解き切ることはできず、解ける問題と解けない問題の見極めと時間配分が重要なので、問題を解く前に解法が瞬時に思い浮かぶかどうか、どれくらいの時間がかかりそうなのかを意識しました。
理論は、テキストの理解を優先させるとともに、原価計算基準を印刷し、それをスキマ時間に何度も読み込みました。原文のまま出てくるものが多く、基準全体の量も少ないので得点源として安定させることが重要です。
管理会計論は試験ごとに難易度にばらつきがあり計算は特にばらつきがあるため、財務、管理の計算が固まってきたら原価計算基準を優先的に覚えた方がいいです。
◆ 監査論
監査論については、圧倒的に理解が重要です。実務に携わったことがないために理解できないことも多く、もう一度講義を聞きなおす、実務をイメージしながらテキストを何度も読むことで理解を最優先に置きました(論文式試験合格までいっても完全に理解できてはないですが)。
監査論はまず根底の部分をしっかり理解することが大事です(二重責任の原則、監査の目的、監査人の人的要件など)。
これが理解できていると短答式で監基報の内容を知らなくても、なんとなくでも選択肢を切る・選択することができるようになります。
おかげで監査論の答練で50点しか取れず伸び悩んでいましたが、根底の理解ができた途端に回を重ねるごとに点数が右肩上がりに伸び、本番では85点を取ることができました。
◆ 企業法
理解は必要ですが、短答式の監査論よりも暗記の比率は高めです。1周目は講義を聴きながらマーカーなどを使い、定義・趣旨・条文などを色分けしてテキストを回しやすくしました。特に趣旨は条文に書かれておらず、条文理解につながりますし、論文式の解答に書く要素でもあるため、この色分けは論文式試験でも重要になります。
その後は問題集を回し、覚えていなかった・理解ができていなかったところはテキストに戻って確認するようにしていました。
また、短答式対策の段階でも条文を読むことは重要です。
「条文を読むことは本当に重要です!」
論文式試験では、条文が貸与されるので、条文をその場で見ることが可能ですが、条文を探している時間はほとんどありません。
そのため細かい条文番号まで覚える必要はありませんが、どの辺りにどういったことが書かれているのかは知っていた方が有利になります。
テキスト、問題集、答練(せめて問題集と答練)で条文が出てきたときには都度条文に立ち返るようにしましょう。
かくいう私は、最初は時々しか使っていなかったのですが、短答式1回目の不合格後から頻繁に使うようになりました。
論文式では根拠条文がある場合には書かないとその分の点数がつかず、また条文を知っているだけで答案を書くことができる問題も出るのでその条文を自分だけ知らない場合、周りに大きな差をつけられてしまいます。
令和6年論文式試験第1問の問題2において、株式併合の買取請求の問題が出題されました。根拠条文(116条)は株式併合の条文(180条以下)の近くにはなく、株式-総則の部分にあります。
今回は他の受験生も気づかなかった人が多く救われましたが、もし多くの受験生が知っていた場合には大幅な遅れをとっていたかもしれないと考えると怖いと思いました。
もし受験生時代に戻ってやり直すとしたら企業法の条文を積極的に読みます。
論文式対策(合計約1650時間)
◆ 会計学
計算は、簿記検定からの勉強方法を継続し、答練中心で定期的にメンテナンスすることで計算については十分です。
理論は、論文対策用のテキストを読み込みました。5月短答で8月論文だったので2~3周くらいしかできず、定義や理由などをマーカーで色分けし、主にキーワードを覚えるようにしました。
そして科目合格時は基準集で対応できる問題や短答式までの理解で何とかなる問題も多かったため、十分対応できました。
◆ 監査論
テキストの理解に努め、覚えるところ・監基報を使うところを明確に分け、メリハリをつけて学習するようにしました。
答練を解いた後はテキストに印をつけたり、答練を切り取り、テキストの関連ページに挟んですぐに復習できるようにしたりしました。
事例対策は論文対策講義で学習・解答のコツを知り、各アサーションの代表的な監査手続は一覧にして覚えました。
◆ 企業法
テキストで重要条文の番号、条文の趣旨、判例など条文に書かれていないものを中心に覚えました。決して論文対策テキストの問題や答練の解答を丸暗記してはいけません。
論文式の企業法は、法的三段論法という「枠」とその他は「ピース」として一種のパズルとして考えました。
まず大前提である法的三段論法を覚えます。
問題によって若干変わることもありますが、基本的には規範定立→あてはめ→結論の流れで書いていきます。問題提起で問題となっている条文を「事例」からはっきりさせ、規範定立に「事例」を適用し、問題提起に対する「結論」を書きます。
ここまでその場で導き出せるものがほとんどです。そのため私たちが覚えるべきなのは規範定立の中の条文に記載のない趣旨や解釈のみです。こう考えることによって丸暗記よりも格段に楽に覚え、さまざまな問題に対応することができます。
◆ 租税法
計算は、テキスト、過去問、答練などで反復し、理論よりもまずは計算を固めることが重要です。また時間がない場合は別ですが、消費税は貸倒れ・返還など以外は捨ててもいいといわれますが、推奨はできません。
最近は分量も減ってきており、余裕をもって計算を一通り解くことができる回もあるため大きなアドバンテージとなります。
理論は、計算が固まってきたら計算上の取り扱いとの差に留意しながら、計算と関連させて理解するようにしました。租税法も企業法と同様に条文を都度見ることは大事です。
◆ 経営学
計算・理論ともにテキスト、答練、過去問を中心に勉強しました。経営学においても計算を先に固め、理論は用語・他の用語との関連・定義(他の理論科目のように正確に覚える必要はなく自分の言葉で説明できる程度)を覚えるようにしました。
クレアールで学習してよかった点
・「非常識合格法」で効率的に勉強できた。
・質問や相談が常時可能で、分かりやすい回答がもらえる。
最後に
公認会計士試験は難しい試験であり、長期間の戦いとなりますが、継続的に勉強をし、内容を理解・暗記することで合格できる試験です。
長期間の戦いである分、モチベーション管理が最も重要といっても過言ではありません。そのため、勉強だけではなく休息やリフレッシュも定期的にとることが大事です。
また、私がモチベーション維持において、好きな漫画で救われた言葉があります。
「できるまでやればできる」
精神論的にも思えますが、すべてはこの言葉に詰まっています。試験勉強中、正しく継続していればいつかできるようになる、とメンタルが落ち込んだ時こそあえて楽観的に考えることで私はモチベーションを保つことができました。
最後になりますが、自分に合う勉強方法は人それぞれであり、私の勉強方法は一例にすぎません。そのため、すべて真似するのではなく、自分なりの勉強方法を確立していくための参考として皆様の一助となれば幸いです。