山本 剛大さん
- 試験短期合格のための勉強法
はじめに
2018年の2月から公認会計士試験の勉強を始め、1年半の勉強期間で合格することができました。 私自身は、過去に税理士試験の簿記論、財務諸表論に合格していたため、短答式の財務会計論が免除だったこと、又、税理士法人の勤務経験があり、租税法でアドバンテージがあったこと等、完全な初学者ではなかったのですが、私の合格までの勉強方法等が今後公認会計士試験に望む方の参考となれば幸いです。
公認会計士を志した動機
私は北海道十勝の農村地域に住んでいます。都市部と異なり農村地域には会計・財務の優れた知見を持つ人間はごく少数しかいません。地方の企業の経営力を高め、地域経済を発展させていくためには地方にこそ財務・会計のプロたる公認会計士の役割があると考え、公認会計士を志望しました。
クレアールを選んだ理由
①価格が安いこと ②非常識合格法に書かれているノウハウが非常に説得力があり、自分に合っていると感じたことです。実際に受験した実感からしても、公認会計士試験に臨むにはその膨大な試験範囲を網羅的に勉強するよりもポイントをいかに絞って効率良く勉強するかが大事だと感じました。
科目別学習法
●財務会計
前述のとおり短答式は免除だったのですが、勉強していたのは5年以上前だったため、知識はかなり抜け落ちていました。
簿記については、すべての論点を完璧にするには時間効率が悪いと考え、第3問で出題が見込まれる日商1級の論点と連結の基礎論点に絞って勉強しました。連結の総合問題に関しては、集計の多い非支配株主持分、その他資本剰余金、当期純利益等は最初から捨て、B/S中心に回答の出しやすい科目を取りこぼさないことに注力しました。
また、論文式においては理論の配点が多いため、直前期は理論を集中的に学習しました。特に、様々な論点に関係してくる概念フレームワークや各基準に書かれていない部分に絞ってスピーチを繰り返しました。
●管理会計
短答①57点⇒短答②75点⇒短答③78点
一通り講義を視聴した後はひたすら短答の過去問を中心にひたすら問題を解いていきました。また、試験直前期には理論で配点の高い原価計算基準を読み込みました。短答においては時間との戦いになるため、文章量の多い原価計算基準の理論問題を素早く判断できるよう、基準をしっかり頭に入れること、計算の取捨選択を間違わないことが最重要だと思います。
解く順番としては、まず理論を15~20分で全て解き、残りの40分で計算を5~6問選んで解く、という流れで合格点が取れると思います。
論文については、短答の対策で対応できるため、特別な対策は不要でした。
●監査論
短答①50点⇒短答②60点⇒短答③75点
クレアールのテキストが非常にコンパクトかつ分かりやすくまとまっているため、まずはテキストで全体像を把握して、短答対策のために過去問題集、答練で細かい知識を補充していく、という学習方法がベストかと思います。
論文に関しては、法令基準集に載っていない監査基準や他の基準の前文、改訂前文、本文についても問われるため、論文試験前にはこれらを読み込み、理解しておくことも非常に有効でした。
●企業法
短答①80⇒短答②50⇒短答③50
短答1回目はまぐれ。結局最後まで得点を伸ばすことができませんでした。とにかく条文の知識を確実に覚えていくことが必要ですが、一度覚えた知識の維持が難しかったです。
一方、論文は条文を読めさえすれば正確に覚える必要はありません。クレアールの論文テキストを回して回答の作法を身に付け、法令基準集を素早く引くことができれば対応できます。その条文がどの辺に載っていたか、という理解は必須です。
●租税法
私の場合は税理士法人で実務を経験しており、基礎的な知識があったため、答練を解いて問題形式になれること以上はしていません。時間配分がきついので、計算問題の取捨選択をいかにするかが勝負だと思います。消費税の仕入税額控除以下は捨て論点として法人税、所得税の知っていればすぐ解ける論点をいくつ正解できるかが重要でしょう。
●経営学
財務管理論の計算について過去問と問題集を繰り返し解き、確実に解けるようにすることが最重要だと思います。解いて覚える感じが感覚的には管理会計の計算に近いです。 経営管理論については、直前期にひたすら用語を暗記しました。社会経験のある方でビジネス書等を読む機会の多い方であればなじみのある話も多いため、アドバンテージがあるように思います。
試験当日に臨むにあたって
短答、論文共に、試験当日にとにかく最後まであきらめずに全力で回答を埋めることが求められているように感じます。合格、不合格が紙一重の試験なので、試験終了の声がかかる最後の瞬間まで全力を尽くすことで合格可能性はぐっと上がると思います。
最後に
資格はあくまでもパスポートでしかなく、公認会計士試験に合格したからと言って急に自分の能力が上がるわけではありません。それでも試験合格者が評価されるのは試験合格までの道のりで積み重ねてきた努力が評価に値するからです。たとえ試験に合格できなくてもあきらめずに努力を積み重ねることこそが最も尊いと思います。
これから試験に臨まれる方の努力が報われることを願います。