「大学受験の敗者復活戦」後藤 光佑さん

後藤 光佑さん

  • 大学受験の敗者復活戦

 

目次

はじめに

 公認会計士試験の勉強を始めるにあたって、なぜわざわざ難関と言われているこの試験を目指すのかを考えてほしいと思います。平均で2から3年間を費やしてまでこの資格を取る理由を、特に社会人経験がない方に熟考してもらいたいです。なぜなら、それが合格につながる最大のモチベーションとなるからです。具体的でなくても構わないので、なんとなく自分が思っていることを考えていただきたいです。それを定期的に見直すことでモチベーションが維持され、ひいては短期合格にもつながるであろうと感じています。

公認会計士を志した動機

 私が公認会計士を目指した理由は、自分の武器が欲しかったからです。大学受験では、自分の掲げていた目標通りにいきませんでした。それから、優秀な難関大学生や自分の周囲にいる高い能力を持った人達と同じようなキャリアを歩むことが出来ないのではないかという不安を感じました。

 このような経験から、学歴に関係がなく自分の武器を身につけられる職種に興味を持ちました。また、その中でも公認会計士を目指した理由は、大学の簿記の授業を受けて興味を持てる内容だったことと、もともと数字には自信があったからです。

クレアールを選んだ理由

 私がクレアールを選んだ最大の理由は、金銭的な面です。また、試験に合格すると受講料が返金されるパックもありましたので、他の大手予備校とも迷いましたが、クレアールで勉強をさせてもらうことにしました。

科目別学習方法(短答式試験)

<監査論>

  • 使用したもの:テキスト、答練、過去問題集

監査論は講義を受講し、テキストを何回も読み直しました。クレアールのテキストは図表が多用されており、フローチャートをそのまま覚えました。また、分からない箇所に関しては、講義を2~3回視聴しました。監査論は理解の土台が出来るまでは苦労しますが、そこを超えれば、細かい論点は除いても70%程度は取ることが可能です。また、短答式の監査論で非常に有効だったのが、「監査基準委員会報告書」です。この中から実に多くの肢が出題されています。この点について、クレアール生であれば配布される過去問題集で十分です。それなりの厚さのものですが、その一冊さえ完璧にすれば短答式試験では高得点を取ることが可能です。

<管理会計論>

  • 使用したもの:テキスト、答練、過去問題集

管理会計は近年の短答式試験では非常に難しくなっており、平均点が足切りである40点を下回ってくるほどです。そのため、足切りがなくなるという回もありました。このような場合こそ基礎を確実にすることが大切だと感じます。計算に関しては半分程度の正答率でいいので、基礎的なAランクの正答率をほぼ100%にすることが大切です。合格者とそうでない人の違いは、このAランクの問題の正答率に如実に反映されていると思っています。原価計算の体系を意識しながら解くと、全体的な視点から見直すことが出来るのでお勧めです。また、原価計算基準のほぼ全ての条文の意味が分かるようにしました。計算問題が難しいからこそ、理論問題でいかに落とさないかが肝心となってきます。

<企業法>

  • 使用したもの:テキストⅠ・Ⅱ、答練、過去問題集

 企業法は講義を集中して聞く事に専念しました。できる限り理解しようと努めましたが、途中からはある程度割り切って問題集を解きながら、アウトプットからインプットすることを心がけました。企業法に費やしたほとんどの時間をテキストを覚えることに集中しました。短答式用のテキストは条文通りに並んでおり、論文式にも利用できると思ったので時間の許す限り覚えました。

<財務会計論>(理論)

  • 使用したもの:テキスト、補講レジュメ、会計法規集、過去問題集

 会計法規集を多用していました。「結論の背景」を抜けば覚えることはかなり少なくて済みます。ただし、理解のために「結論の背景」部分を読み込むことも大切です。最近の短答式試験では、企業会計原則の注解や財規からも出ている傾向があるので、パラパラと見ておくのもよいと思います。試験委員は原文を基準にして問題を作成しているはずなので原文にあたることはとても効果的だと感じました。

<財務会計論>(計算)

  • 使用したもの:テキスト(5冊)、答練、過去問題集

 個別論点に関しては、1級までとそれほど大差ないので、今までやってきたことの質とスピードを上げることを意識しました。また、例題を徹底的に解きました。連結に関しては、藤橋先生の補講を何回も視聴し、自分のものになるまで繰り返しました。最終的に連結問題は大方10分で解けるようになりました。また、企業結合・事業分離に関しても藤橋先生の補講を視聴し、自分のものにしました。受験生の多くが苦手としている論点を得意にすることが出来たのは非常に強みとなりました。また、過去問題集(Cランクは除く)を完璧になるまで繰り返しました。

科目別学習法(論文式)

<監査論>

  • 使用したもの:テキスト、問題集、答練

 論文式の監査論は良かったり悪かったりとあまり安定せず、得意な方ではありませんでした。そのため、偏差値50~52を目標としていました。この程度を目標とするならば、やるべきことは限られており、監査論に使う時間を他の科目に充てていました。ただし、フローチャートや事例問題の対策は最低限やるべきことであるためやりました。

<租税法>

  • 使用したもの:テキスト、答練、問題集

 租税法の試験はどの科目よりも時間がシビアな試験になります。そのため、法人税は主要7大論点を中心に勉強しました。川北先生は受験生が理解しやすい授業をしてくれるため、講義を集中して聴いた後にすぐ復習を行うことで定着を図っていました。所得税に関しては、自分は中々体系がつかめずに苦労しました。それでも、答練等をこなしていくうちにある程度こなせるようになっていきました。また、消費税は時間がない受験生にはお勧めです。計算手順が分かりやすいため短期間での習得が可能です。ただ一点、消費税に関しては雪だるま形式の出題となっている為、最初の計算段階で間違えると点数に結びつかないことがあります。この際に、「仕入れ税額控除」と「税額の計算」を飛ばして説くのがおすすめです。それでも半分以上の点数がもらえます(平均的な受験生は1-2割程度だと思われます)。

<管理会計論>

  • 使用したもの:テキスト、理論問題集、答練

 管理に割く時間はあまりないため、答練や公開模試で出された良問をピックアップして繰り返しました。短答までに基礎が出来ている人はそのレベルの維持で事足りると思います。理論はAランクのみを覚え、後は現場対応に努めました。論文式試験の管理は大問で4題出題されますが、この解く順番が非常に重要となってきますので、得点の最大化を常に意識して取り組んでいました。

<財務会計論>(理論)

  • 使用したもの:論文対策テキスト、答練等

 短答までは法規集を使っていましたが、藤橋先生が作成した論文対策テキストが丁寧にまとめられていたので、それを利用しました。実際の試験ではキーワードが入っているか否かが肝となるため、一旦理解した後、キーワードを思い出せるような訓練をしました。例えば、ある問題を見た後にキーワードは○○と△△と××と思い出す(又は予測する)。それが浮かべば、あとは既存の知識やその問題の周辺知識と結びつけて作文すれば合格点の答案を作成することが可能です。私はこの方法を取っていたため、スピーチはしませんでした。どれだけ効率よく点数を最大化できるかという目的さえブレなければ、手段は一人一人違ってよいと感じます。

<財務会計論>(計算)

  • 使用したもの:テキスト(5冊)、答練、公開模試

 計算の答練がかなりの回数あるので、それを解いて分からなかった(できたけど怪しかった)論点についてテキストに戻り、復習をしていました。短答式を突破するレベルの基礎力がついている方ならこの程度のメンテナンスで十分だと感じました。連結の総合問題は難易度が非常に高くなっているので、余裕がある人は細かい論点までやるのもいいと思います。しかし、大部分の受験生はそのような時間はないので、短答合格レベルの維持で足りると感じます。

<企業法>

  • 使用したもの:論文問題集、答練、公開模試、テキスト

企業法に関しては、問題へのアプローチ方法を習得することが必要です。問題提起→規範定立→あてはめ→結論といった流れが存在するので、実際に問題を解いて慣れることが必要です。同じ問題でいいので、何度も何度も反復することが最大の近道だと感じます。また、条文がどのあたりに存在するのかはある程度把握しておいた方が良いと感じました。本試験では初見の問題が出されたりするので、条文を引く力や条文から説明したりと理解の一助となることもあります。論証部分についても、そのまま覚えるのは苦痛だったため、こちらもキーワードで覚える方法を取りました。

<経営学>

  • 使用したもの:テキスト、問題集、答練

 経営学に関しては、ファイナンスを勉強する際、理解することに重点を置きました。ファイナンスは基礎を理解しさえすれば、大方の問題が解けるようになるので理解に重点を置くことが合格への最大の近道だと感じます。理論は割り切って覚えることに集中しました。

勉強方法のまとめ

 短答式の理論科目は一旦講義を聴いた後、問題集でアウトプットしていくのが一番効率的だと感じます。その反面、計算科目については、理解を重視することをオススメします。会計学は理解がしっかりしていると論文式試験でも維持程度で済みます。しかし、そこをおざなりにしていると論文式試験でまた一から勉強しなおすことになってしますので、二度手間となってしまいます。

 また、最終的には科目間のみならず科目を超えた理解が出来たなら怖いものはなくなります。本試験では初見の問題がでますが、その場合、自分の会計に関する知識を総動員すれば太刀打ちできることが少なくありません(例えば、本支店会計で分からないことがあった場合、持分法の考え方を駆使して解く等)。  論文式試験においては、短答式試験と異なり、合格の指標が偏差値ベース(合格偏差値52)となるため、他の受験生の大半が解ける問題を落とさなければ合格することが出来ます。そのため、正答率50パーセント以上の問題を確実に拾うように心がけていました。

経験から言える2つのポイント

 公認会計士の勉強を始める際に簿記から取り組むと思いますが、この試験は範囲が膨大であるため、すべての講義を見終えるまでにやめてしまう人が一定数います。実際、私も簿記2級から1級の勉強に移った際、最初にやった論点が「特殊商品売買」で挫折してしまい、一旦この試験から離れてしまいました。

 それでも、このまま逃げては一生逃げ続ける人生になってしまうと感じ、この試験にリトライしました。まずは一旦講義をすべて視聴し、1回転させることを目標としました。途中で分からないことは多々出てきましたが、質問等しても分からないことは一旦飛ばして進めました。

 よく言われることなのですが、勉強を進めていくうちに違う論点の理解が一助となって今までわからなかったことが分かるようになるということはよくありました。そのため、多少分からなくてもとにかく1回転をすることが大事だと思います(最終的に理解をすることはとても重要)。

 本試験に何回も落ちている受験生を見ていると、Aランク問題の正答率が60~80%程度で満足している人が多いです。これが合格できない最大の原因であると私は感じております。自分は一問でも落としたら合格できないという気概をもってやっていました。実際に合格している人たちを見ていると、かなりの高確率で正答しています。

 また、答練は出来るのに本試験で点数を取ることが出来ない人は、予備校の答練に慣れて解けているだけの可能性があります。他校の公開模試等を受験することをオススメします。

 また、理解しているつもりになっている可能性も考えられます。自分は本当の意味でのケアレスミスなるものはほぼ存在しないと思っています。ケアレスミスだと思っている論点は毎回似ている論点であったり、潜在的に苦手と思っている論点にありがちです。そういうところの意識を変えると合格に近づくと感じます。

最後に

 この試験は諦めなければほとんどの人が合格することが出来る試験だと思います。合格している人は全員必要なことを愚直にやっていますので、泥臭くやることが大切であると感じます。受験生の合格を心から願っております。

 また、自分一人ではこの試験の合格を掴む事は出来ませんでした。親から金銭的な援助をしてもらったり、友人に支えてもらったり、クレアールの講師の方々に適切なアドバイスをいただいたりして合格を果すことが出来ました。本当にありがとうございました。

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