「感謝する力」が、合格を近づける

目次

はじめに

感謝できる人には、また感謝する機会がやってくる

『「ありがとう」が口癖の人には、ありがとうと言うべき状況が次々とやってくる』。私はこの言葉を強く信じ、感謝を習慣とすることで、受験生時代から今に至るまで多くの人に支えられてきました。しかし、本人は感謝しているつもりでも、相手にはその気持ちがうまく伝わらないことがあります。たとえば、先輩会計士の様々な助言やサポートに対し恐縮しすぎてしまい、「申し訳ない」という言葉が口癖になってしまうことです。これでは、後輩を応援したいという自発的な思いやりも、「わざわざそこまでやらせてしまって申し訳ない」という気持ちによって拒否されてしまいます。この場合、感謝の力は十分に発揮されず、残念ながら幸運が訪れることもなくなってしまいます。そこで今回は、「感謝する力」をテーマとして、相手に正しく感謝を伝えること、そしてそれらを通じて合格を近づける方法について、ご紹介いたします。

 

1.「ありがたい」を、受け入れる

まず、喜ぶ

「ありがとう」を言いたくなる瞬間とは、どんな感情でしょうか。おそらくほとんどの場合、嬉しい、楽しい、幸せといったプラスの感情なのだと思います。感謝する力を向上させる第一歩は、これらの感情を素直に受け入れることです。たとえば、思いがけず久しぶりに会った友人に2千円程度のランチをごちそうになった時、まず「ありがとう!」と喜んでみることです。友人としては、久しぶりに会えたことに喜び、その事実への感謝として、あなたにごちそうしてくれたのです。その思いに対する誠意とは、まず喜んでそれを受け取ることです。逆に、「いや、そんなの悪いよ」などと言っては、友人の粋さが台無しになってしまいます。

自分には、「ありがたい」を受け取る価値がある

もう一つ、感謝するために大切なのは、自分は「ありがたい」を受け取る価値があるという、自分への信頼感です。自己評価が低い人は、自分が「ありがたいこと」を受け取るに値しない、という評価をしがちで、「ありがたい」を受け取ることが苦手な傾向にあります。その差が表れる典型例は、人から褒められたときのリアクションです。初対面の人に「イケメンですね」と言われて、①ありがとうございます、と満面の笑みの人、②いえいえ、と言いつつ照れ笑いをする人、③全力で首を振り、眉間にしわが寄ってしまう人がいます。この差が、自己評価の差なのです。この差を埋めるためには、一度、謙遜を忘れることです。褒められたら、とにかく「ありがとう」と言う訓練をすること。いつも③の人にとって、これくらいがちょうどいい振る舞いです。感謝する力の向上に向けて、まず「喜ぶ」習慣をつけましょう。

 

2.喜びを、相手に伝える

「ありがたいこと」を運んでくれた理由を考える

相手に喜ばれる行動の裏には、必ず理由があります。異性関係であれば相手への好意として、職場の後輩へのコーチングであればプロジェクト成功の手段として、師弟関係においては一人前に育てるという責務として、それぞれ「ありがたいこと」を運んでいるのです。つまり、他者への貢献の見返りは、間接的に求められているのです。最初の異性関係で言えば、プレゼントを贈るのは、プレゼントを贈り返して欲しいからではなく好意が欲しいから、コーチングの場合は感謝されたいからではなくプロジェクトを成功させたいから、師弟関係ではお礼をしてほしいからではなく成長した姿を見せて欲しいからが、本当の理由です。

感謝の伝え方に、こだわらない

たくさんお世話になった人に対して、小さな贈り物をしたり、食事をごちそうしたりすることがあります。こうした感謝の伝え方は、「ありがとう」の言葉プラスαとしての表現方法です。感謝の本質が「喜ぶ」ということであれば、恩返しとしての感謝も、相手に喜んでもらえれば何でもよいのです。私の受験時代の先輩方への一番の恩返しは、早期合格とその後の監査人としての成長を見せることでした。結果として2年半で合格し、今ではお会いした際に同業者として会計・監査についての意見交換を行うなど、自分の成長を報告する機会も増えてきました。究極的には、「ありがとう」という台詞がなくても、表現さえできればその形はなんだって良いのです。

 

3.誰かに感謝される存在になる

感謝の輪を広げる

感謝する力を高めると、自分を助けてくれる仲間がどんどん増えていきます。それは、相手の行為へお礼をするという行為自体が、相手を喜ばせるからです。会計士受験生で言えば、まずは講師の先生、予備校事務局の方、家族、先輩会計士などから始まり、監査法人に就職してからは同僚や先輩、後輩や事務スタッフの方、あるいはクライアントの方まで広がっていきます。「ありがたいこと」をしっかり受け止め、喜び、そしてお礼を伝えること。これらをシンプルに続けられれば、ふと振り返った時に多くの仲間の存在に気づくことができるはずです。

自分ができることに全力を尽くす

自発的に行動を起こし、他者の役に立つためには、自分のできることに全力を尽くす必要があります。ここで大切なことは、苦手分野はある程度割り切り、得意分野を集中的に使い倒す心構えです。私の例で言えば、同期や社内の先輩との人付き合いや根回しが不得手ですが、目の前のプロジェクトの成功のためにあらゆる角度から改善策を考えることや、後輩やアシスタントの方に協力を仰いで仕事を進めていくことが得意です。そこで、今私が取り組んでいるのが、自らを「アシスタント担当主査」と称してはじめた自主的なタスク整理プロジェクトです。ここでは、会計士の専門業務とアシスタントができる作業を徹底的に仕分け、アシスタントへの作業依頼内容、時期、方法などを詳細に検討しています。これが上手くいけば、会計士の職業的専門家としての判断に費やす時間の確保、それに伴う監査品質向上につながり、監査チーム全体へ貢献することができるのです。もちろんこれらは業務の一環としての改善活動であり、誰かに感謝されるために行っているわけではありませんが、自分ができることに全力を注ぎ、本気で何かを成し遂げようとしたとき、自然とたくさんの感謝の声があがるのではないでしょうか。

おわりに

究極の感謝とは、GIVE&GIVEの精神

『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(アダム グラント 著、 楠木 建 監訳)によると、世の中には、次の3種類の人がいるといいます。①GIVER:惜しみなく与える人、②MATCHER:ギブとテイクのバランスをとる人、③TAKER:得ることだけを考える人。世の中のほとんどの人は、②のMATCHERであり、真の成功者には①GIVERが圧倒的に多いのだそうです。それでは、会計士受験生にとってのGIVEとは、なんでしょうか。それは、難関資格を目指す姿によって周囲に与える希望であり、お世話になった予備校関係者に与える合格実績であり、応援してくれた先輩会計士に見せる成長でもあります。今の自分にできるGIVEとは、何か。自分一人のためじゃないからこそ湧き出る大きな力を、全力で試験にぶつけましょう。

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