『折角地元に戻ったので、地元の企業に関わる仕事がしたい』
橋本 浩史さん
- PROFILE
- 公認会計士。2008年公認会計士登録。富山県出身、東京大学経済学部卒。2004年度に在学中合格。あずさ監査法人第5事業部(主に株式公開関連の監査業務を行う部門)を経て、現在、同法人北陸事務所富山オフィスに在籍。主に、富山県内の株式公開を目指す会社の監査業務に主査として携わる。24歳。
会計士として求められる資質とは何でしょうか?
私はまだ経験の浅い身ですので、資質を語ることは出来ません。あえて、私が日常で痛感する「自分にまだまだ足りぬもの」で代替するとすれば、①基準等を解釈する力(文面をそのまま捉える意味、ではなくて)、②ある事象から別の問題点に気付く力(一見無関係なことから別の問題点が発見されることもよくあります)、③クライアントと話す能力(話題を合わせることではなく、必要な情報を聞き出すこと)だと思います。
受験勉強では、兎角暗記や素早い計算を求められると思われがちですが、それはあくまでも基本知識の部分の話です。試験合格に合格するために必要な応用力は、例えば、用語の定義を解釈したり、別の基準等との比較衡量をしたりすること(これは上記の①に関連)や、簿記の問題で売掛金の残高を修正した場合、連動して貸倒引当金が変化することに気付くこと(これは②に関連)、与えられた情報以外に必要となる情報は何かを整理すること(これは③に関連)に代表されるように、いずれも上記の能力をつけるための必要条件となっていると思います。
会計士になった今ではどう変わりましたか。 会計士の魅力についてお願いします。
資格の変化によって何かが変わったかと言うと、あまり変化はなかったように思います。強いて言えば、クライアントからの「見る目」でしょうか(笑)。
しかし、これで名実共に「一人前」になってしまった以上(なる前からもそうですが)、会計のプロとして不退転の覚悟で一日一日を過ごしていかなければならないのと同時に、それだけの仕事の質を各所に提供出来るようになるのは、プロとしての何よりの喜びです。
今後のキャリアプランについては?
折角地元に戻ったのですから、地元の企業に関わる仕事がしたいです。東京には会計士は掃いて捨てるほどいますが(失礼!)、富山には税務しかしない人を含め数十人、株式公開に関わる会計士は片手で数える程度しかいないのが現状です。私の異動のきっかけとなった「お前が帰って来れば、20社ほどの富山の上場企業にまた新しい会社が加わるかもしれない」という言葉ではありませんが、「一隅を確かな存在感をもって照らす」ことが出来るのは、地方ならではの魅力だと思います。これからも、株式公開業務を中心に、富山から何かを生み出す仕事を続けていきたいと存じます。
これから勉強をはじめられる方へのメッセージをお願いします。
【学習】
DVDの進化や普及で、東京での授業を何処でも何をしながらでも受講できるようになり、また「働きながら合格」といった方が増加し、会計士試験は既に「東京にいなければ合格できない試験」ではなくなりました(もっとも、クレアールの「非常識合格法」によれば昔からそうでしたが)。皆様の弛まぬ努力があれば、何処でどのように学習なされようと十分可能だと思います。
【就職】
地方の情報はなかなか入手しづらいもので、よく「地方では雑用ばかり」とか「変化の無い会社ばかりでキャリアにならなさそう」という誤解をされます。はっきり申し上げて、これは「逆」です。私は、2008年1月から異動しましたが、これほど「会計」「ビジネス」を意識して仕事が出来、普段自分ごときが顔も合せられない方々とお話しし、困難な判断に主体的に関わった時期はありませんでした。少なくとも私は、本当に地方に行ってよかったです。会計士として求められる資質とは何でしょうか?
北陸事務所富山オフィスの例
8:30
8:45 |
事務所通勤。 事務所のほぼ全員が顔を合わせる。 (東京では無かった光景) |
9:30
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雑務を終えた後、事務所を出てクライアントに到着。 1人のときもあれば、4-5人となることもある。 |
9:45
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監査開始。 監査調書作成作業は、代表社員からスタッフまで全員で行う。 (これも東京では無かった) |
12:00
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昼食。 クライアントとの大切なコミュニケーションの場でもある。日によっては、会社の上席者(地元の名士であることが多い)とご一緒することも。 |
13:00
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監査業務の続き。ディスカッションを大切にするため、監査上の論点となるところについては、こまめにクライアントと話し合う。 |
17:00
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多くの日がこの時刻で帰宅する。残業は月に10-20時間程度。 |
18:00
以降 |
家族サービスや趣味に勤しむ。飲みに行ったりすることも。 |