「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.19.日商簿記1級対策 -試験の概要-

目次

はじめに

 ご存知の通り、クレアール公認会計士講座の学習カリキュラムでは、学習ガイダンスの後、まず「計算力養成期間」として日商簿記3級から日商簿記1級までの学習を順番に進めます。その後、「公認会計士 短答式・論文式試験合格力養成期間」として、短答式試験・論文式試験の学習を進めます。前回のVol.18では、「日商簿記1級を取得すべきかどうか」というテーマで記事を執筆いたしました。そちらでも記載した通り、ご自身の学習のモチベーション維持や定着度合いの確認をするため、私は日商簿記1級は実際に受験し資格取得すべきだと思います。そこで、今回以降は、日商簿記1級の学習内容や特徴、具体的な学習の進め方をご説明したいと思います。

日商簿記1級の学習内容・意義

 日商簿記1級では、日商簿記3級・2級とは異なり、満点を取らせないための問題(難問や一般的な1級対策教材では扱っていない内容等)がほぼ毎回出題されており、日商簿記2級よりも難易度が高いです。商業簿記・会計学分野では、日商簿記2級の商業簿記をさらに発展させた大企業の会計処理が学習範囲に含まれます。具体的には、資産除去債務・退職給付会計・減損会計等、いわゆる上場企業等が準拠する企業会計のしくみを学ぶことになります。加えて、日商簿記2級以上に連結会計を深く学び、子会社・関係会社を有する大規模な企業集団が用いる会計処理の理解が必須となります。工業簿記・原価計算では、日商簿記2級の工業簿記の基礎知識と土台としてさらに緻密な原価計算や管理会計を学習します。具体的には、複雑な原価計算・管理会計を用いる企業を想定し、標準原価計算における修正パーシャルプラン、工程別原価計算における非累加法等、差額原価収益分析等の応用的な論点を学習することとなります。私が日商簿記1級を学習したときには、日商簿記2級よりもさらに学習範囲が幅広くなり、とても驚きました(正直なところ、「もうこれ以上学習範囲が増えるのは勘弁してほしい」という気持ちを押さえながら、勉強を進めていました)。加えて、応用的な学習論点が増加したため、講義動画を一度視聴しただけでは学習内容を理解できないことも多くありました。ただし、何度も復習を繰り返すなかで少しずつ内容が理解できるようになり、その後、本試験レベルの問題も解くことができるようになりました。学習内容は日商簿記2級以上にレベルアップするため大変ですが、それなすなわち公認会計士試験レベルに段々と近づいていることを意味しますので、気合を入れて頑張っていきましょう!

日商簿記1級の試験方式・試験科目・試験時間

 日商簿記1級は70%以上合格の相対評価方式の試験です。これは、絶対評価方式であった日商簿記2級・3級とは異なり、周りの受験生と比較して上位約10%に入ることができなければ合格できない、ということを意味しています(つまり、毎回の試験ごとに、上位約10%が合格できるような70%の合格ボーダーラインがそれぞれ設定されるということです)。そして、公認会計士試験受験者の中には、短答式試験・論文式試験の肩慣らしとして日商簿記1級を受験する人が一定数います。そのようなハイレベルな受験生の中で上位にランクインしなければ合格できないため、相対評価方式の日商簿記1級は難易度が高いです。私が実際に受験したときには、公認会計士試験短答式のテキストを持った受験生が周囲にたくさんいたため、かなりプレッシャーを感じたことを覚えています。試験科目は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の合計4科目であり、それぞれの配点は25点です。ただし、各試験科目の得点率が40%を下回った場合には、不合格となります。これはすなわち、全4科目のうちどれかで25点中10点未満の点数を取ってしまったら、たとえ他の科目が満点だったとしても不合格となってしまうということを意味しています(つまり、各試験科目で10点が足切りラインですね)。日商簿記1級の試験時間は180分であり、日商簿記2級の2倍の時間が用意されています。一見すると、試験時間はかなり長いように見えるものの、問題の分量が多いため、試験時間内にすべての問題を解き切るのは至難の業です。私が実際に受験したときには、私を含めた試験会場内の受験生のほとんどは、試験終了時間ギリギリまで問題を解いていました。

日商簿記1級の受験方法・受験者数

 日商簿記1級は、日商簿記2級・3級とは異なり、ネット受験ができません。したがって、年2回(6月・11月)の試験日に、実際に試験会場に足を運んで受験する必要があります(わざわざ試験会場に行く必要があるので、ネット試験のように気軽には受験できませんね)。日商簿記1級の受験者数は、近年は年間1.5万人ほどで推移しており、日商簿記2級・3級よりも少ないです。ただし、前述した通り、日商簿記1級の受験者の中には公認会計士受験生も多く含まれていますので、受験者の平均的な学習レベルは日商簿記2級・3級よりも高い点に留意しなければなりません。

日商簿記1級の合格に要する時間

 日商簿記1級の合格に要する時間は、およそ500~1,000時間と言われており、1日3時間学習時間が確保できるとすれば、半年~1年程度の学習時間を要します。学習範囲・学習難易度ともにレベルアップしますし、受験機会も年2回に限られますので、日商簿記2級以上に長期間にわたる継続的な学習が必要となることも多いようです。 私自身が受験したときは、ちょうど仕事をせず2か月程度休みを取っていたタイミングであったため、およそ毎日8~10時間ほど学習に専念でき、約2か月強で合格することができました。それでもやはり、日商簿記1級に専念した学習時間は500時間以上でしたので、「500~1,000時間」という数字はある程度信憑性があるのではないかと思います。

おわりに

 今回は、日商簿記1級の学習内容・試験制度等の特徴について、ご紹介しました。次回は、ご紹介した日商簿記1級の特徴を踏まえ、私が具体的にどのように学習を進めていたか、そのポイントをご紹介したいと思います。

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