試験直前にやるべき3つの準備

森 大地 (平成28年度公認会計士試験合格)

目次

1.はじめに

5月短答まで残りわずか。不安と焦りに迫られている受講生の方も多いと思います。皆さんは合格する「覚悟」を持っていますか?私自身、約2年半の受験生活で短答を3回受験しました。合格した時とそうでない時の差は、勉強量や合格への自信ではなく「覚悟」の有無でした。試験当日は答案が配られる度に、「ここまできてダメだったら自分にこの仕事は向いてない、ほかの職をさがそう」と自分に言い聞かせていました。受験生の平均程度の勉強量でしたが、これまでの自分の人生で一番勉強したという自負があったからです。
人それぞれこなせる勉強量や記憶力の良し悪し等、個人差がありますが、覚悟なら誰でも持つことができます。試験直前期だからこそ、受験開始時の「なぜ会計士を目指したか」という初心を思い出しながら、皆さんそれぞれの覚悟とともに本試験へ臨んでいただきたいと思います。

2.悩まず、考える

悩む=不安が増える

試験直前は大きな不安が募り、毎日よく眠れないという相談をよく受けます。不安とは悩んでいるときに起こる感情で、心配事を連鎖的に想像することです。当然、負のスパイラルに陥りやすく、悩む限り不安は増長し続けます。なにより、悩み続けて何かが変わることはありません。大切なのは行動です。行動するためには、悩むのではなく考える必要があります。

考える=問題を解決する

「考える」とは、ある問題に対して具体的手段を探すことです。前述のとおり、考えることで行動が生まれ、行動によって問題は解決されます。「本当に自分は合格できるだろうか」という悩みに対しては、悩みを忘れるほど勉強に没頭する、講師に相談する、勉強法に関する本を読む、初心に立ち返る等、様々な解決法があります。大きな不安も紐解いていくことで具体的な問題点が見えてくるので、まずは悩むを考えるに切り替え、本試験に向けて精神を整えていくことも大切な準備です。

「なにをするか」よりも「なにをしないか」

会計士試験では試験範囲が膨大なため、苦手科目、苦手範囲というのが誰しもあります。大事なことは、合格最低点への意識です。各科目、各論点にはいわゆるAランクからCランクまで大まかな難易度に分かれますが、私はこのランク付けを自分で独自に行い、自分で決めたA問題・論点に集中して勉強していました。直前期からというより普段から行っていましたが、合格最低点を意識することで勉強範囲を限定するという手段は、直前期には特に有効だと思います。これまでの自分の努力を思い出し、勇気をもって取捨選択をしてみてください。

3.睡眠は最良の勉強・リラックス法

睡眠は、人生の主である。

私の尊敬する作家、千田琢哉さんの言葉です。多忙な社会生活を送っていると忘れがちですが、睡眠は最上のリラックス法であり、最高の勉強手段でもあります。「睡眠学習」という、居眠りを揶揄する言葉もあながち嘘ではありません。起きている時の記憶は寝ている間に整理され、記憶の定着を促進します。また、睡眠は思考をプラスにする効果もあり、体力・精神ともに回復できる最上のリラックス法であると言えるでしょう。

試験直前こそ、よく眠れ

「眠い目をこすってする勉強は、間違っている。」千田さんは、好きなことに没頭することが最高のパフォーマンスを引き出す最良の手段だと常々言っています。眠くなる勉強は何かが間違っている。この意識はとても重要です。前日の睡眠が足りない=勉強しても吸収できない、やる必要のない論点である=合格に遠回りしている、会計士試験を本当は受けたくない=合格しても後悔してしまう等、必ず原因があります。直前期こそよく眠り、心身ともに最高の状態で本試験まで過ごしていただけたらと思います。

4.合格後のイメージをする

公認会計士として働く自分

直前期は目の前の勉強に追われる日々となりがちです。ここであえて強調したいのは、試験勉強は「公認会計士として働くため」に行っているということです。公認会計士のメイン業務である会計監査は、社会のインフラとして大きな役割を担う重要な業務です。会計コンサルティングも、一般事業会社を会計的にサポートすることで、事業会社の製品やサービスによる社会貢献を陰で支える大切な仕事です。そのほか、事業会社の経理部門や、会計知識を有した営業職、税理士や起業家等、実に多くの道があります。この中でどんなキャリアを選ぶとしても、たった一つ共通して必須なのが試験合格です。そこで、ぜひ自分がワクワクするキャリアを思い描いてみてください。そうすることで、直前期のこの時期の勉強の必要性を実感し、持続的なモチベーションを得ることができるはずです。なぜ、試験勉強が必要なのか。直前期だからこそ、一旦立ち止まってみることが大切なのではないでしょうか。

5.おわりに

監査法人で働き始めると、同僚が様々な経歴を持っていることに驚きました。営業一筋20年で、40台で試験合格した人、大学卒業後にフリーターで好きなことを続け、30代で試験合格した人、高卒で経営者となり、20代半ばで試験合格した人。予備校の模試では学生が大半なのに、実際の同期入所では新卒者は2~3割でした。私は、このような監査法人の人材多様性はとても気に入っています。将来キャリアに関しても、3年で独立を目指す人、インチャージを経験して他業種への転職を目指す人、生涯監査法人でパートナーを目指す人等、こちらも多様です。入所時の年齢もキャリア目標もバラバラですが、監査チームとして一つの業務に対してプロフェッショナルの責務を果たすことにはとても誇りに思います。受講生の皆さんも、それぞれの経歴に誇りを持ち、自分がワクワクするような公認会計士のキャリアを思い描いてみてください。直前期は特に、睡眠時間と体調管理に気をつけてください。本試験でのご健闘をお祈りいたします。

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