合格に不可欠な3つの役割:リーダー、マネージャー、プレーヤー

目次

はじめに

プロジェクトに必要な3つの役割:リーダー、マネージャー、プレーヤー

資格学習は、自分の実力を高めて難関試験を突破する、一大プロジェクトです。プロジェクトの成功には、リーダー、マネージャー、プレイヤーの存在が欠かせません。リーダーは、そのプロジェクトの方向性と意義を決定する責任を持ち、マネージャーは実際の作業工程の管理に責任を持ちます。プレーヤーは、リーダーが示した方向性とマネージャーが管理する作業工程に従って、実際の作業を進めていく責任があります。

資格学習において成果が上がらない人に多いのが、この3役のどこに課題があるのかを見誤ってしまうことです。毎日10時間、集中して学習しているにも関わらず結果が出ない人は、マネージャーの責任である学習計画に問題があります。勉強法を研究し、それなりに学習時間も確保しているのにも関わらず結果が出ない人は、リーダーの責任である試験合格の目的が欠けており、モチベーションの根幹が弱い可能性があります。こうした考え方をふまえ、今回はこの3役の性質と資格学習への応用について、ご紹介いたします。

 

1. リーダーになる:なぜ、合格したいか

合格して成し遂げたいことを決める

リーダーの責任は、ビジョンを示すことです。ビジョンとは、目指すべき方向性です。会計士試験でいえば、なぜ合格したいのかという受験目的です。ここでいう受験目的は、必ずしも詳細である必要はありません。ただ一つ、自分の心の底からワクワクする何か、があるかどうかが重要です。そのためには、一旦、会計士試験を脇に置き、ゼロベースで、人生で成し遂げたいことを考えてみると良いでしょう。安定した職に就き、幸せな家庭を築きたい。専門職に就き、専門家キャリアを積み上げたい。あるいは企業トップに近い職業を経て独立したいなど、何でも構いません。心から望む人生像に、会計士試験合格がどれだけ貢献するかです。大きな視野で、会計士試験受験の意義を考えることが、リーダーの示すべきビジョンなのです。

合格の期限を決める

あらかじめ定めた受験期間を過ぎたら会計士をあきらめる、という視点も大切です。なぜなら、人生は有限かつ多様だからです。現時点で策定したビジョンも、2年、3年勉強を進めていくうちに、どんどん変化していくことでしょう。大事なことは、会計士試験はビジョン実現の手段でしかないこと、そしてビジョンもその手段も変化していくのは自然な流れだということです。大切なことは、ビジョンはあくまで現時点のビジョンであり、将来の変化する可能性を受け入れること、そして限られた期間に全力を尽くすことです。仮に定めた期間が訪れたとしても、心から納得できるのであればもう1年延長することも、「新たなビジョン」として全く問題ありません。ビジョンの根幹である「なぜ」とともに、「いつ」を考えることも、重要なリーダーの責務なのです。

 

2. マネージャーになる:どうやって、合格するか

各段階の目標を設定する

マネージャーの責任は、計画の策定・管理をし、成果を導くことです。会計士試験でいえば、論文合格を最終目標として、短答合格、模試、答練、講義及び問題集と、各段階の目標とそれを達成する計画を設定することです。たとえば、短答合格を目指している人で前回試験を受験している場合、そこでの得点状況を分析し、学習時間をどの比率で各科目に割り当てるか、また重点科目についてはどの時期に行うかなどを定めます。5月短答で財務の連結が壊滅的だった人は、8月の夏休みに連結強化期間を設けてみる、企業法が6割程度だった人は答練が始まる前の9月に肢別問題集特訓期間を設ける、あるいは月ごとに科目の比率を設定してみる、などです。

計画を見直し、「成果が出る勉強の仕組み」をつくる

マネージャー業務の成否は、計画の振り返りにあります。当然、計画がどれだけ素晴らしくても実行がおろそかであれば成果は出ません。特に、各科目の習熟度を適切に見極め、適切な学習時間を振り分けるという作業は、最も効果的な戦術である反面、実行してみないとわからない点が多くあります。そのため、後述するプレーヤーとして見つけた改善点をもとに、計画を随時見直していくことが重要なのです。繰り返しになりますが、マネージャー業務の根幹は、計画の見直しにあります。この過程に磨きをかけることで、学習時間を通じて計画精度が向上し、より有効な学習方法を手に入れることができます。「成果が出る勉強の仕組み」をつくる優秀なマネージャーが、合格に不可欠なのです。

 

3. プレーヤーになる:何をして、合格するか

リーダーとマネージャーを意識する

プレーヤーの責任は、計画を実行し、成果を出すことです。会計士試験では、「日々、机に向かう自分」がプレーヤーであり、学習計画に沿って勉強することがその責務です。ここで大切なことは、リーダーとマネージャーの存在を意識して学習することです。誰しも当たり前のように日々の学習を行いますが、その根底にあるビジョンを描く「リーダー」、合格を導く学習計画を定める「マネージャー」の存在を意識している人は、あまり多くありません。特に、学習期間が長期化している人ほど、これら二つの視点が欠けていることが多いように思います。しかし、ビジョンなき計画、計画なき実行は、成果をもたらしません。前者は、学習期間を通じた持続的なモチベーションの欠如につながり、後者は学習効率の致命的な欠陥につながります。だからこそ、受講生自身が前述のリーダーとマネージャーの役割を果たすとともに、プレーヤーとして実行する際にもしっかりと意識する必要があるのです。

計画を実行し、改善点を見出す

プレーヤーとして大事なことは、①計画実行のためのタスク管理、②計画の改善点を見つけること、の2点です。

①は、「マネージャー」が作成した学習計画を、漏れなく期日通りに実行するために行います。たとえば、9月に全科目の過去問3年分をマスターする、という計画に対しては、「プレーヤー」が週ごとや日ごとの計画を立てる必要があります。このときに気をつけたいのが、日ごとのタスクを単純な割り算で振り分けるのではなく、予備日を設けたり前倒し気味にすることで、ある程度の余裕を持つことです。体調ややる気、突発的な予定などにより、1日の進捗は大きく影響されるため、その防御策として、意図的に余裕を持ったスケジュールを作成することが重要だからです。

②は、学習計画を「成果が出る勉強の仕組み」に進化させるために行います。特に、計画通りに学習が進まなかった場合には、高い視点から計画段階の問題点を探す必要があります。やる気の出ない日が多かったのであれば「リーダー」のビジョンを疑う、精一杯やっても達成できなかったのであれば「マネージャー」学習計画を疑う、小さな誘惑に負けて思うように学習が進まなかったのであれば「プレーヤー」の実行力を疑う、などです。私はこの改善点の積み重ねが、試験合格を目指すうえで最も大切な過程だと考えています。

 

おわりに

リーダーとマネージャーの視点は、180度異なる

リーダーが描いたビジョンを、マネージャーが成功に導く。一見、この二者は同じ方向を向いているように思えますが、実際は正反対です。リーダーは、プロジェクトを外部と将来から捉えます。どういう環境の中でなぜこのプロジェクトが必要なのか、成功したら何を得られるのか。反対に、マネージャーは、プロジェクトを内部と過去から捉えます。今ある経済的、時間的資源からどのように成功を導くか、過去の成功体験をどう活かすか。しかし、どちらが大事というのではなく、この両輪がバランスよく組み合わさることで、はじめて真の成功が得られるのです。

「他者思考」で、成果を倍にする

一人三役を意識して学習していくと、各役割に対する不満や問題点が必ず見えてきます。典型的なのは、完璧な計画を考えたのに、2、3日で挫折し、しばらく勉強が進まない状態に陥るパターンです。これは、「他者思考」が欠けていることにほかなりません。「マネージャー」は、「プレーヤー」の能力や習慣、あるいは勉強以外の予定を加味して計画を考える、「プレーヤー」は、「マネージャー」の計画をどうすれば改善できるか、あるいは前倒しで実行できるかを考える。「リーダー」は、他の二者が日々、心の底から力が湧いてくるようなワクワクするビジョンを考える。「他者思考」で、学習の生産性・効率性を向上させ、早期合格という成果を手に入れましょう

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