労働基準法 6 労働条件の明示 [労基法15条]
目次
問題
問1使用者は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の際に、労働者に対して、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を、原則として書面の交付により明示しなければならない。(平成25年改)
労基法15条1項、労基則5条
なお、労働者が希望した場合は、ファクシミリ、電子メールなどの送信の方法とすることができる。
問2労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、労働者にとって予期せぬ不利益を避けるため、将来就業する可能性のある場所や、将来従事させる可能性のある業務を併せ、網羅的に明示しなければならない。(令和3年)
労基法15条、平成11年基発45号
就業の場所及び従事すべき業務に関する事項については、雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものである。将来の就業場所や従事させる業務を併せ、網羅的に明示することは差し支えないが義務ではない。
問3派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等については、派遣先の使用者がその義務を負う。(平成29年)
労基法15条、派遣法34条、昭和61年基発333号
派遣元の使用者は、派遣法における労基法の適用に関する特例により自己が労基法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、労基法15条による労働条件の明示をする義務がある。
ポイント!!
絶対的明示事項 | 相対的明示事項 |
①労働契約の期間に関する事項②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る。)③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項④ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項⑤ 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法並びに賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) | ① 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項② 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項③ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項④ 安全及び衛生に関する事項⑤ 職業訓練に関する事項⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項⑦ 表彰及び制裁に関する事項⑧ 休職に関する事項 |
線が引かれている部分は、就業規則の絶対的必要記載事項に含まれていない。○ 絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く。)については、書面の交付により労働者に明示しなければならない。ただし、労働者が希望した場合は、ファクシミリ、電子メールなどの送信の方法とすることができる。○ 書面の交付の方法により明示すべき事項については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない。○ 「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」は、雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えない。○ 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(この場合において、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合には、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。)
ポイント+α
○ 派遣労働者については、派遣元の使用者が、自己が労基法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて労働条件の明示をする必要がある。
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