重要度・難易度ランク活用上の注意点

目次

1. はじめに

クレアール公認会計士講座の教材の多くでは、内容や問題ごとに重要度と難易度のランクをA~Cの3つに分けて示しています。これは、学習の優先順位付けの参考にしていただくためのものになります。他の受験指導校でも、似たような形でランクを付していることが多いかと思います。

今回は、このような重要度や難易度などのランクを活用するにあたって、私なりの注意点を書いていきたいと思います。そのポイントは、「結局何をどれだけやるか決めるのは自分自身」「自分でもある程度は考えてみましょう」ということになります。

2. 重要度・難易度ランクの意味

科目や教材(テキストか問題集かなど)によって多少異なることはありますが、重要度・難易度におけるA~Cの意味はおおむね次のような感じです。

重要度のランク

本試験で頻出、または頻出内容を理解するための土台となる内容。直近の出題傾向に関係なく、必ず対策しておくべきもの。
本試験で時々出題されるか、いつ出題されてもおかしくない内容。可能な限り対策しておくことが望ましい。
本試験での出題可能性が低い内容。余裕が無い場合、後回しにするか、学習を省略してもよい。

難易度のランク

基本レベル。難易度は易しめ。合格者ならば当たり前にできるはず。合格したいならば、当たり前にできるようにしましょう。
応用レベル。少し難しめ。合格者でも全員が当たり前にできるわけではない。だが、全くできなくてもいいわけではない。万全を期すためには、なるべくできるようにしておきたい。
悶絶レベル。難易度が非常に高い。本試験で出題された場合、十分に正答できなくても合否にあまり影響を与えない。場合によっては捨て問にしてよい。

3. 重要度・難易度ランクを盲目的に鵜呑みにしている方へ

繰り返しになりますが、重要度・難易度のランクは、「学習の優先順位付けの参考にしていただくためのもの」になります。決して、「Aランクだけできるようにしておけば合格最低点が取れる」「Bランクまでできるようにしておけば合格できる」ことを保証したものではございません(保証できません^^;)。
仮に重要度・難易度ともにAランクとされていた内容が本試験で出題されたとしても、その時々で切り口やボリューム、形式が異なります。また、その内容が単体で出題されるのか、他の内容と組み合わせて出題されるのかで正答可能性も大きく変わってきます。

重要度・難易度ともにCランクとされた内容であっても、ヒントを分かりやすく盛り込んだり、単純な部分に絞って出題されたならば、それは落とせない問題になります。そもそも、Cランクにも関わらず教材に載せているのは、「軽く流れだけでも理解しておいてほしい」「できるならばやっておいた方が良い」「ある程度実力のある方がさらに点数を伸ばすため」「捨て問を見極めるための練習用に」など、それなりに意味があるからです。完全に捨てても合格可能性に影響を与えないならば、Cランクの内容ははじめから教材に盛り込んでいません。

さらにいうと、A~Cランクは、全ての教材の全ての内容の1つ1つにA~Cのランクが付されているわけではないかと思います。一定の括りや問題ごとに付されているものです。「全体的な重要度はAランクだけど、その中の一部分はCランク」「全体的な難易度はCランクの問題だけど、ある程度の部分点は簡単に稼ぐことができる」といった状況もたくさん見受けられることかと思います。

このような事情がある中で、受験生各自が本試験までの限られた時間を少しでも有効活用し、合格可能性を高めるための参考情報として、重要度・難易度ランクを活用していただければと思います。

4. 重要度について

出題可能性が高いものを重点的に、出題可能性が低いものは優先順位を下げて取り組んでいくのは、受験勉強の基本にはなります。しかし、上記3.のような事情から、A~Bランクのみをやっておけばそれだけで大丈夫なわけではありません。

また、本試験が近づいてくるほど、重要度Aランクのものを全部読み直したり解き直したりする時間ですら見い出せなくなってきます。最終的には、ご自身の判断で、「何をどこまで、どのような方法で」回すのか決めて絞り込んでいく必要があるのです。

そのためにも、ご自身の中に「この論点は重要、この論点は重要じゃない」といったものを、感覚レベルでいいから醸成しておくことが必要となります(客観的なデータに基づく出題確率までは不要です)。

この重要度に対する感覚は、カリキュラムを適切に進めていけば自然と醸成されていくことが多いのですが、概ね次のようなポイントに着目して、「何が重要なのか」を意識するとより精度の高いものになっていくでしょう。

  • ① 講義などで、講師が強調するポイント
  • ② 教材における取扱い(ページの割き方や重要度ランクなど)
  • ③ 答練や過去問での出題頻度

5. 難易度について

上記3.に書いたような事情から、教材では難易度Aとして扱われていた内容であっても、本試験では難易度Cに化けて出ることがあります。逆に、難易度または重要度がCとされていた内容であっても、難易度Aに仕立て上げた問題が出題されることもあります。

また、本試験では「取れないところは後回しor捨て問として扱い、取れるところを確実に取りにいく」ための時間配分が非常に重要なポイントとなります。
ですが、本試験問題は、受験指導校の教材のように難易度ランクを親切に付してくれません。そのため、本試験の場では、自ら難易度を判断して問題の取捨選択を行う必要があります。

「その場の自分にとって解けるか解けないか」を判断できればよいのですが、普段から意識して練習しておいた方が、本試験での判断の精度を高めることにもつながります。その練習として、問題集や答練、過去問といった問題を解く際に「今の自分の知識で解けるものかどうか」を見極める習慣をつけていただくことをおススメします。

学習の進捗状況も人それぞれですし、人によって得意論点と苦手論点が分かれたりもします。本試験では、その時点までに身に付けた実力をもって臨む必要があります。そのうえで、その時点で有している知識・スキルを、きちんと本試験の点数に結び付ける(=本試験で実力を発揮しきる)ことが必要となるのです。
つまり、「合格するための実力を身に付けた人」が本当の「合格者」になるためには「本試験で実力を発揮しきる」必要がありますし、そのためには「適切な時間配分」を行う必要があり、そのためには「今の自分の知識で解けるものかどうかの見極め」が必要となるのです。
また、「今の自分の知識で解けるものかどうか」を見極める習慣があると、日々の学習効果を高めることにもつながります。その理由は次のとおりです。

① 解けなかった問題の原因分析を効果的に行うことができる

解けなかった問題について、その原因が「知識が足りなかったから」なのか「ミスによるもの」かの見極めにつなげることができ、原因に応じた対策を講じていくことにつながっていきます。

② 自分の実力が上がっているかどうかの目安になる

答練や過去問などの本試験レベルの問題について、今の自分にとってのA~Cランクを付けていくようにすると、実力が付いているのかどうかが見えてきやすくなります。

初学者の頃は、習っていない内容ばかりですからCランクのオンパレードかと思います。しかし、ある程度学習が進み、習った範囲の知識で解ける問題(実際に正答できたかどうかは別)が増えてくると、AランクやBランクの問題が少しずつ増えてきます。さらに実戦練習を積んでいく中で、「テキスト例題と比べたら難しく感じたけど、実はテキストレベルの知識で簡単に解ける問題(Aランク)」も少しずつ増えていきます。このように、ご自身にとってのA~Bランク(とくにAランク)が増えてくるのは学習進捗度のバロメーターとなります。

1つの目安として、「Aランクと判断した問題の全て」と「Bランクと判断した問題の半分」を正答すれば合格ラインになるくらいまでくれば、合格を現実的に狙えるところまで来ているのではないでしょうか(もちろん、実際に解けたかどうかは別なので、解けなかった問題をもとにした弱点補強や対策は必要ですが)。

6. 最後に

一見便利な重要度・難易度ランクですが、それが示していることをあまり深く考えず盲目的に利用したとしても、効果は限られたものしか得られません(特に上記3.のような事情があるため)。

短期合格者は「素直な人」との評価を受けることが多い一方で、自身でしっかりと物事を考えて合理的な思考・行動ができる人が多いようにも思います。この記事に書かせていただいたことを参考に、一歩踏み込んで考えたうえでの効果的な学習につなげていただければ幸いです。

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