【公認会計士試験受験対策】「薄いテキストを徹底的に暗記する」ことへの誤解

目次

1. はじめに

クレアールアカデミーでは、絞り込んだ内容(合格必要得点配点範囲)を徹底する非常識合格法を提唱しております。非常識合格法が提唱されてからすでに10年以上経っていますが、受験勉強の本質を捉えた合理的な学習方法であることには変わりないものと確信しています。非常識合格法は、学習範囲が広く、出題パターンが変幻自在で対策しづらいような試験(いわゆる難関試験)であるほど、より効果性が高いと考えられます。なお、非常識合格法の核心や詳細は書籍(石井和人著『公認会計士2次試験非常識合格法』すばる舎)をご覧いただければと思います。

今回の記事では、非常識合格法に関し、「薄いテキストを徹底的に暗記する」ことへのよくある誤解を取り上げ、私なりのアドバイスをまとめてみました。

2. 非常識合格法のポイント

試験範囲を網羅することにエネルギーを費やすのではなく、合格するために必要な基礎力を徹底して鍛え上げることが非常識合格法の肝ではないかと思います。
そこで、私の考えるその実践ポイントは次の3つです。

  • (1) 基礎を徹底する
  • (2) 「使いこなせる」レベルにまで高める
  • (3) アウトプットを重視する

基礎を重視することは当然ですが、「単に知っているレベル」ではなく、様々な角度から問われても対応できる「使いこなせる」レベルまで高める必要があります。ここで、試験の合格に必要とされる応用力とは、基礎知識の「組み合わせ」と「当てはめ」ができる力となります。この「組み合わせ」と「当てはめ」ができるようになるため、基礎の徹底と、それを使いこなすための練習(アウトプット)が重要となります。
アウトプットは、問題を解く、理論の流れを思い出す・スピーチする、といったことになります。ただテキストを眺めるだけではインプットすべきポイントも分からず、また受け身の姿勢になりがちです。講義を受けてテキストをざっと読んだ後は、インプットが中途半端でもいいのでアウトプットを重視した学習を行うようにしましょう。アウトプットを充分に行うことで、効果的なインプットを行うことができます。

3. 「薄いテキストを徹底的に暗記する」に対する誤解

受験生の中には、「暗記」することのみに意識が向き、中身を「理解」しようとしない方も見受けられます。非常識合格法では、「暗記」の重要性が強調されても、「理解」を軽視せよというわけではありません。

たしかに、一定の内容を暗記しておかねば、「当然に使いこなす」ことはままならないでしょう。その意味である程度の暗記は非常に重要です。例えば、「資産の定義は?」と聞かれたときに、①過去の取引または事象の結果として、②報告主体が支配している、③経済的資源という3つの要件がすぐに出てこないようでは、「繰延税金資産が資産として計上される要件は?」といった応用問題に対応することはできないでしょう

しかし、書籍の中でも書かれているとおり、「少なくとも、覚えるべき文章がどんな意味なのかがわかっていて、なぜそのような文言になったのかがわかっていなければ、その文章を正確に暗記することはできません」(p.143~144)。ある程度の「暗記」は必要ですが、意味も分からないものをただ詰め込むのではなく、暗記すべき事項に対する理解を深めていくことも重要です。また、暗記すべき事項に関する趣旨や体系を理解しておくことは、その知識を応用する力にもなっていきます。

もちろん、「理解」だけすればよいものでもなく、ある程度の知識(暗記の蓄積)があってこそ理解が可能なこともあります。最終的には、暗記と理解は両方が伴って「使いこなせる知識」となります。幅広い学習範囲の中には、「暗記が先→その後に理解」の方がやりやすい内容もあれば、「理解→暗記」の方が楽な内容もあります。暗記か理解のどちらかに偏重することなく、臨機応変に取り組むことを意識していただければと思います。

4. 理解を伴った知識を得るために

クレアールアカデミーでは、非常識合格法に基づくカリキュラムを実現するため、薄くコンパクトにまとめられた教材が多くなっています。この点、「よくまとまったテキスト」は繰り返し回して覚え込んでいくことには向いていますが、最初に「知識ゼロから理解を積み重ねる」ことには苦労しやすい傾向にあります。
上記3.にも関係しますが、単にテキストに書かれた文字情報を丸暗記すればよいのではなく、ある程度の理解は伴っていく必要があります。理解を伴っていくためには、「なぜそうなるか?」をできる限り意識することが重要です。「なぜそうなるか?」に対する答えがすぐに見つかるわけではありませんが、それを意識することで、次のような効果を得ることができます。

  • (1) 思考力を働かせるため、講義やテキストから得られる情報がより深いものとなる
  • (2) 理由や背景を伴った知識は忘れにくく、暗記の負担が減る
  • (3) 問題から解答へのプロセスを意識することで、初見の問題を解く際の思考力も鍛えられる
    (つまり、使いこなせる知識を得ることができる)

講義やテキストを活用しても分からないことがあれば、次のような手段をとっていただければと思います。

  • (1) 法規集などで調べる
  • (2) 質問制度を活用する
  • (3) いったん疑問点をメモして頭の片隅に置いておく

(3)については、いったん寝かせて先に進めることで、後日になって疑問点が解消することもあるということで書かせていただきました。調べても分からないこともあるでしょうし、質問する量が膨大になっても学習の進捗が滞ることもあるでしょう。また、一定のレベルまで学習を進めないと理解しづらいこともあります。すぐに解消できない疑問点は、「メモって寝かせる」ことも有効な手段となりえます。

5. 例外編(たくさん教材に手を出したい人へのアドバイス)

中には、たくさんの教材をこなすスタイルの方もいると思います。膨大な量の教材であっても、本質を見抜いて情報の取捨選択ができる方であれば、必ずしも薄いテキストに絞る必要はないでしょう。ただ、やみくもに量だけこなしても身に付くものがなければ意味がありません。
あくまでも例外ですが、たくさんの教材をこなしていきたいという方は、次の点を意識すると良いでしょう。

  • (1) 覚え込む情報とそうでない情報を取捨選択すること
  • (2) 複数の教材で登場する共通事項が重要 (あらゆる教材で登場する情報は、その分野の中でも本当に重要なことです)
  • (3) ベースとなる教材(回す教材)以外は、疑問点解消のための調べるツールとしてだけ使うといったように、適切に強弱をつけること

複数の教材を見比べることで疑問点が解消されたり、理解が進んだりすることもあります。しかし、受験勉強では、モノにはたくさん手を出したとしても、「頭の中では情報が整理・集約」されていくことが大切です。その点を踏まえたうえで、各自効果性のある学習法を確立していってください。

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