【論文対策応援記事】その③ 答案の開示請求してますか?

1. 2018年度試験の合格発表が行われました

この記事を執筆しているのは、2018年度論文式試験の合格発表が行われた直後、11月下旬になります。合格されていた方は本当におめでとうございます。少なくないお金と時間をかけて受験に挑戦し、見事試験に通過されたことは今後の人生において自信なることでしょう。今後は関わる世界が一気に広がると思いますので、思う存分活躍していってください!

その一方、残念ながら合格できなかった方がいるのも事実です。受験から撤退する場合は、当初予定していた進路にはならないかもしれませんが、公認会計士になるだけが人生ではありません。資格を持っていなくても人生を謳歌している人はたくさんいます。気持ちを切り替えて、新たな道を開拓していってください!

そして、再度受験される方は、次の試験まで思ったよりもあっという間に時は過ぎていきます。合格発表までの約3ヶ月間、学習から遠ざかっていた場合には実力が思った以上に低下しているものです。「本試験受験時に足りなかった部分を埋めればいい」といった甘い考えを持っているのであれば見直していただき、基礎から一気にやり直すつもりで取り組んでみてください!

2. 足りなかった部分を正確に把握していますか?

ただし、「本試験受験時に足りなかった部分」を正確に見極めることも次に結果を出すためにはとても重要です。この点、受験当時の記憶や結果の通知に記載されている得点のみでは、本当の意味で「足りなかった部分」を把握することは困難です。

これまで学習相談に来られた方の多くも、①これまでおおむねどんな学習をしてきたか、②本試験受験時の感触、③成績通知書に記載された得点などは当然把握されていました。しかし、それだけでは今後どう学習を進めていけば良いか、自信を持って決めかねている状況でした。

そこで私がその人たちにおススメしたのが、本試験の答案を開示請求し、その答案を自己採点してみるということでした。

3. 本試験答案の開示請求

意外と受験生の多くには知られていないようなのですが、本試験で提出した採点前答案を開示請求することができます。こちらのリンクに説明が載っておりますので、手続の詳細はそちらをご覧ください。

参考 公認会計士試験受験者管理ファイル等に係る保有個人情報の開示請求について公認会計士・監査審査会

これによりますと、平成27年論文式試験(平成27年8月実施)以降の公認会計士試験論文式試験の採点前答案が開示請求できるようです。短答式の答案も開示請求できる点については、私もこの記事を書いている時に初めて知りました(^^;)。

これにより、どのように採点されたかが分かるわけではありませんが、少なくとも自分がどのような答案を提出したのかは分かります。そして、クレアールを含めた各受験指導校からは模範解答も公開されています。模範解答を活用すれば、大雑把にでも自己採点をすることができます。自己採点をしてみれば、数字の誤りはもちろん、論述部分についてもそれなりに弱点が分かるものです。また、そうすることで本試験内容の復習を行うこともできます。

4. 論述部分の自己採点について

実際に本試験の答案がどのような基準に基づいて採点されているかは公表されていないため分かりません。しかし、一般的に言われているのはキーワード採点です。特定のキーワードやポイント・内容が記述されていれば一定の点数を与え、記述の誤りなどがあれば減点がなされるといった感じかと思われます。

正直なところ、採点する人によっても方法が異なることが想定されます(だからこそ素点ではなく偏差値による合否判定がなされています)。また、ここで明らかにしたいのはご自身の答案に反映された弱点・課題です。したがって、受験指導校の模範解答をもとに、どのようなキーワードが入っていれば〇点といった大雑把な目安を作り、それをもとに自分の答案を自分で採点してみてください。

答案を書いた当時は正しく論理的に書いたつもりであっても、後から見直すと次のようなことを含め、様々な弱点が客観的に把握できるかと思います。

  • ① 日本語が変で意味が通っていない…
  • ② 問われたことに対する解答になっていない… (得点にならない内容で行数が埋まってしまっている)
  • ③ 専門用語を間違って使っている…
  • ④ 字が読みづらい…  など

5. 採点者の立場から分かること

自己採点をすると、採点をする立場から物事を考えるきっかけにもなると思います。これについては、採点のアルバイトをしたり、受験仲間同士で答案を交換し合って採点しても同じことが言えます。

採点の作業をしていると、単純に書いていることが合っているか間違っているかに関係なく、そもそも何が書いてあるか読み取りが困難な答案に出会うこともあります。よくある事例としては、次のようなものが挙げられます。

  • ① 文章の区切れがなく、結局何が言いたいか分かりづらい…
  • ② 本人は一生懸命書いてるつもりでも、小さい字で詰め詰めにギッシリ書いていて読みにくい…

また、一見正しそうなことを書いていても、書いた本人が独自に編み出した(一生懸命捻り出した)文章であれば、採点上どこまでその意図を汲み取っていいか迷うこともあります。
このような採点に困る答案の場合、採点者がどこまで答案を好意的に読んでくれるかは分かりません。正確に読み取れないことを理由に減点される可能性は十分にあります。採点される立場から考えれば厳正に採点してほしいと思うかもしれませんが、読めない答案を減点対象とすることも厳正な採点ポイントの1つと言えます。

自己採点などを通じて、採点する立場の人が思うようなことを知っておくようにしましょう。そうすることで、自分が答案を書く際の意識も変わります。答案を書く際の意識が変われば、思わぬ減点を防ぐことができます。思わぬ減点を防ぐことができれば、それだけで点数が上がります。知識を増やす以外にも点数を上げる余地があることを知っておけば、これで一歩合格に近づくことができます。