1. はじめに
スキマ時間の学習が大切なことは、色々なところで言われております。日々忙しい生活を送っている社会人が成果を発揮するためには欠かせない習慣だといえますし、学生や専念受験生であってもスキマ時間を無駄にしないことで効率的かつ効果的な学習が可能となります。
今回は、そんなスキマ時間の学習に関するアドバイスを書いていきたいと思います。
2. スキマ時間学習の効用
(1) 塵も積もれば山となる
例えば、1日10分であっても、1ヶ月あれば約5時間(=10分×30日=300分)となり、1年あれば約60.8時間(=10分×365日=3,650分)もの時間となります。
日中お仕事で忙しい社会人であっても、電車などでの移動時間、休憩時間、ちょっとした待ち時間など、何かしらのスキマ時間が見つかるものです。当然個人差はありますが、例えば、通勤が片道30分とすれば往復で60分、昼休憩などで1人になれる時間が20分前後、待ち合わせや小休憩などで数分以内のスキマ時間が数回といった感じで、スキマ時間を積み重ねていくと90分前後以上は確保できる人も多いはずです。1日90分とすれば、それを1ヶ月続ければ約45時間(=90分×30日=2,700分)、1年であれば約547.5時間(=90分×365日=32,850分)となります。スキマ時間を無駄にしないだけで、これだけの学習時間を確保することができるのです。
(2) 時間制約による集中力
スキマ時間には時間制約があります。例えば、電車が目的地までに到着するまであと15分、休憩時間が終わるまで残り10分、待ち合わせの数分、場合によっては1~2分など、できることが限られています。この限られた時間の中で「定義○個覚えよう」「理論問題○題の答案構成を考えよう」など、その都度ノルマを決めて取り組むことで、本試験で時間が切迫しているときと似たような集中力を発揮することができます。
机に向かってまとまった十分な時間勉強をしていても、無意識のうちに集中力が途切れることがあります。しかし、切迫感を逆手にとることで、スキマ時間の集中力を高くすることができるのです。
3. スキマ時間用の学習をいつでもできるようにしておく
上記2.のとおり、スキマ時間によって、決して馬鹿にできないほど大きな効果を発揮することができます。しかし、時間と場所が限られているため、できることも限られてしまいます。例えば、簿記などの総合問題を1から解くのは非常に難しいでしょう。
机の上でしかできないようなことは、机で学習する時間を確保して行うしかありません。机で学習する時間には机でしかできないことを優先的に行うべきでしょう。また、机での学習時間にもノルマを設定し、あえて時間制約による切迫感を活用することで高い集中力を発揮することができます。
そして、スキマ時間にはスキマ時間でしかできないことに集中するようにしましょう。確保できる時間に応じて、スキマ時間に行う学習を決めておき、そのためのツールを常に携帯しておくと良いでしょう。ツールは紙で持ち歩いても良いでしょうし、PDF化してスマホやタブレットで見れるようにするのも良いでしょう。
スキマ時間用の学習としては、例えば次のようなものがあるでしょうか。学習の進度や確保できる時間に応じて変わっていくと思いますので、皆さんなりにも考えてみてください。
(1) 計算科目
- 仕訳問題
→ 1~2分あるだけでも、簡単な仕訳が何個か確認できるはずです。 - 例題などの個別計算問題
→ 問題にもよりますが、5分前後で例題1つは解けたりするはずです。
(2) 理論科目
- 定義スピーチ
→ ほんの数分でもいくつかの用語について定義スピーチができるはずです。 - テキストなどに載っている理論
→ これも数分で1テーマといった感じで確認・暗記ができるはずです。 - 原価計算基準や監査基準など
→ 1回のスキマ時間で全部を読むことは難しいかもしれませんが、これらの基準は日常的に目を通しておくことが大切です。
4. 習慣化することが大切
「スキマ時間を一切無駄なく活用するぞ!」と意気込んでいても、一日中気を張っていてはすぐに疲れてしまいます。スキマ時間の学習は、毎日積み重ねてこそ大きな効果になります。そのためには、気合に頼らなくても自然とできるよう習慣化することが大切です。
どちらかというと気を張ることなく、時間ができたら「なんとなくスマホを開く」のと同じような感覚で学習に取り組めるのが理想です。
習慣化するためは、一般的に2週間くらいは挫折しそうになる時期がありますので、それを乗り越えるように頑張ってください!
5. リラックスしている時にも学習効果がある
とくにツールを使うわけでもなく、傍からみて勉強しているわけではないのですが、思わぬ学習効果を生む時間があります。それは、お風呂に入ったり、外を歩くなどのリラックスタイムです。基本的にボーっとするような時間ですが、リラックスしているがゆえに気を張っている時には得られなかった閃きが出てきたりします。
リラックスタイムなので、一切気合を入れるものではありません。しかし、試験に合格するモチベーションがあれば、休んでいるときでも試験に関することが頭に浮かんだりするものです。日中の勉強では理解できなかったことがふとわかったり、日中に取り組んだ理論の流れが頭の中で順序立てて整理できたりすることはないでしょうか。
このようなリラックスタイムに学習効果が発揮できるのは、私の経験上、次のような時です。
- ① 目標達成したい動機(願望?)が強いとき
- ② その内容に没頭して取り組めるくらいハマっているとき
- ③ 「その日に勉強したこと」「分かりそうで分からない計算」などを思い出そうとしたとき
モチベーションについては別の機会に書いていければと思いますが、③については意識的にできるものです。その日または前日にやったこと、頭の片隅に残っている疑問点を思い出そうとすることで、身体はリラックスしていても、頭の中は思わぬ速度で働いてくれることがあります。
また、オンとオフを区切ろうとしないことも大切だと思います。ほとんどの人は何かしらの動機があって資格の勉強を始めるものだと思います。無理やり勉強されられているのでなければ、将来をより良いものしていきたい、現状から抜け出したいといった気持ちは勉強を始める時点ですでにあるものです。そのような動機があるのであれば、リラックスタイムにも自然と頭の中ではそれに関することが考えられるものです。オフの時間であっても、そのような動機をシャットアウトする必要はありません。