簿記検定3級、2級受験生の多くが悩む「借貸合計が合わないときの対処法」

1. はじめに

日商3級では第3問で試算表作成問題、第5問で精算表またはB/S・P/L作成問題が毎回出題されています。日商2級では第3問で精算表、B/SまたはP/Lの作成問題がよく出題されます。

これらの問題では、借方合計と貸方合計を出して合計が一致すると安心感(快感?)を得られます。しかし、借方合計と貸方合計が一致しなくなると、その原因探しに時間を取られてパニックになることもあります。この不一致原因探しにハマってしまいますと、10分や15分、またはそれ以上の時間を浪費してしまいかねません。この対応次第で試験の合否が左右されることもあります。

そこで今回は、試算表や精算表、B/S・P/L作成問題において、借方と貸方の合計が合わなかったときの対処法を書いていきたいと思います。

 

2. 貸借平均の原理

簿記では、必ず仕訳・転記を通じて各勘定の増減が記録されていきます。その記録に基づいて試算表やB/S・P/Lが作成されていきます。

最初の仕訳において、借方仕訳金額と貸方仕訳金額が一致するように記録されますので、それを転記・集計した試算表などについても貸借合計が一致するようになっています。このような仕組みを貸借平均の原理といいます。 仮に貸借合計が一致しない場合、記録・集計のどこかに間違いが生じていることになります。

簿記では、貸借合計が一致することによって記録・集計に誤りがないかを検証するために試算表を作成します。(パソコンによる会計が普及した現在では、そのような目的は薄れていますが。)
簿記の試験においても、貸借合計が一致することで安心感を得る、一致しないとどこが間違っているか見直すかと思います。これは、無意識のうちに貸借平均の原理を生かした検証作業を行っていることになります。

 

3. 貸借合計が一致しなかった場合の原因探しテクニック

貸借合計が一致しなかった場合、まずは借方合計と貸方合計がいくらズレているのか、その不一致金額(差額)を計算するようにしましょう。その差額について、次の検証をしていきます。下に設例も載せておりますので、そちらと併せてご覧ください。

(1) 不一致金額(借方合計と貸方合計の差額)によるミスはないか検証する。

不一致金額と同じ金額の取引のみ集計を忘れていたり、不一致金額だけズレるミスをしている可能性があります。まずはそれがないか、手っ取り早く思い付く範囲で検証しましょう。

(2) 不一致金額が2で割り切れる場合

不一致金額を2で割った金額の仕訳について、片一方を貸借反対に集計した可能性があります。借方側に仕訳されたものを貸方仕訳金額として集計したり、その逆もしかりです。

(3) 不一致金額が9で割り切れる場合

次のミスの可能性があります。

① 桁違いで集計した 例:100→10
② 数字をひっくり返して集計した 例:920→290、560→650

X2年3月31日の残高試算表を正しく作ると、次のようになります。

これについて、ミス発見のテクニックが使える各ケースを見ていきましょう。

(1) 不一致金額によるミスのケース

仮に、ⅰの仕訳における「(借)現金100」を集計し忘れたものとします。この場合、借方合計と貸方合計には100の差額が出ます。

(2) 不一致金額が2で割り切れる場合

仮に、ⅰの仕訳における「(借)現金100」を貸方仕訳金額として集計したものとします。この場合、借方合計と貸方合計には200の差額が出ます。本来集計する側に集計せず、反対側に集計したため、差額は倍の金額となります。

(3) 不一致金額が9で割り切れる場合

仮に、ⅱの仕訳における「(借)仕入230」を「(借)仕入320」として集計したものとします。この場合、借方合計と貸方合計には90の差額が出ます。

 

4. 簡単に発見できないミスもある!

上記3.のテクニックでミスを発見できればそれで良いのですが、決して万能なわけではありません。
次のようなミスがあった場合には、ミスを発見することが難しくなります。

① 科目を貸借逆にして記入・集計している
② 貸借同額で誤った記入・集計をしている
③ ミスしている箇所が複数ある

 

5. 原因探しに固執しな

試験には必ず制限時間があります。他にも解くべき問題がある場合、不一致原因を探す時間は最小限にとどめ、場合によっては満点をあきらめることも大切です。

上記3.のテクニックを使っても不一致原因を発見できない場合、その問題を一から全部見直さないと原因を特定できないこともあります。場合によっては15~20分以上費やしてしまう可能性がありますし、それだけ時間をかけても原因を発見できないこともあります。
このような場合には、他の問題に移って少しでも全体の点数を上げる方が良いでしょう。