【短答式受験生応援記事】その② 短答式本試験をシミュレーションしてみよう!

1. はじめに

この記事がHPアップされているのは2018年4月の初旬頃でしょうか。公認会計士試験の短答式試験(5月)を控え、様々な不安を抱えている受験生も多いことでしょう。そこで、受験生の皆さまに少しでも役立つような、記事を3回のシリーズでお送りしていきます。

第1回:直前期の学習に関するアドバイス
第2回:短答式本試験をシュミレーションしてみよう!
第3回:短答式本試験が終わったら…

今回(第1回)は、本試験直前期に「必要な学習範囲をどのように回せばよいか」を書いていきたいともいます。

 

2. 「当たり前」の水準を上げていく

平成30年度第Ⅰ回の短答式試験の問題数と制限時間を前提とすれば、各科目の1問当たり解答時間は次のようになります。

制限時間
〔A〕
出題数(※)
〔B〕
1問当たり解答時間
〔A÷B〕
企業法 60分 20問 3分
管理会計論 60分 16問 3.75分
監査論 60分 20問 3分
財務会計論 120分 28問 4.28分
(端数切捨)

※ 出題数は、各回によって変動することがあります。

どの科目も、1問あたり5分もかけられない中で解いていかなければなりません。非常に厳しい時間制約となっており、「う~ん、これ何だったけなぁ~?」と悩んで時間をロスする余裕はありません。

時間制約が厳しい中で的確に判断・処理していくには、その根拠となる知識を「当たり前」の水準にしておく必要があります。単に「勉強しただけ」の水準では、あやふやとなっている部分が原因で解答を間違えるか、悩んで時間を浪費してしまうことになります。

 

3. 消去法を活用しながら80%の解答を導き出すことができれば十分

知識を「当たり前」の水準まで高める必要はありますが、出題される全ての内容を完璧にする必要はありません。合格点が70%前後となっているため、30%前後は間違えることができます。30%を捨てるのは不安ですが、20%くらいならば余裕を持って捨てることができるはずです。捨てた20%の問題についても、マークシート形式のため一定確率での正解が見込めます。

さらに、「正しい文章2つの組み合わせを選ぶ問題」や「誤っている文章2つの組み合わせを選ぶ」問題など、消去法を活用しながら正答を出すことのできる問題も多く出題されます。受験生が普段目にすることの少ない細かな内容が出題されていても、別の確実に分かる部分からその問題の解答を導き出すことができれば良いのです。

したがって、試験問題の80%について、消去法も活用しながら合理的に解答を導くための知識を「当たり前」の水準まで高めることができれば高確率で合格することができます。短答式対策だからといっていたずらに手を広げて勉強量を増やすのではなく、消去法を活用しながら80%を解くための知識について、「当たり前」の水準まで高めることができれば十分です。

 

4. 肢別型問題集の罠

理論科目について、肢別型の問題集を使用している人が多くいます。
肢別型の問題集は、次のような点で利用するメリットがあると考えられます。

① インプットの不足している箇所を見つけることができる
② ある程度のインプットを済ませている人が、総復習のツールとして活用することができる
③ 勉強をしている充実感を得やすい

しかし、何となく使っているだけでは、それが本試験で使える知識に結び付いていかないことがあります。
何となく使っているケースとしては、次のような使い方をしている方を多く見かけます。

① 肢(問となる文章)ごとに正誤を考え、すぐにその解答を確認し、次へ進む
② 間違った箇所については、テキストや法規集で確認する(調べたらすぐに次の肢に進む)

一見間違っていない標準的な使い方に見えるのですが、問題とその解答のパターンを暗記することのみにエネルギーを費やしてしまっていることが多くあります。一生懸命その問題集を回すので、パターン暗記の精度は相当高くなるのですが、形式や文章表現を変えて出題された場合に対応できないことが多くなります。

細かい知識の詰め込みを重視する方も多いのですが、そもそも範囲が広すぎて細かい知識も含めた暗記をすることが現実的ではありません。また、短答式とはいえ、本試験では様々な形式や文章表現で出題がなされます。単なるパターン暗記が問われているのではなく、ある程度本質を掴んで判断する能力が求められております。

肢別型問題集を使用する場合であっても、単なるパターン暗記に走るのではなく、問題をとっかかりに基礎・基本を深めていくことを意識するようにしましょう。

 

5. 直前期に回す教材

直前期の学習は、総復習と実践練習を効果的かつ効率的に行うことがポイントです。
何をどれだけ回すかについては、それぞれのレベルや状況に応じて異なってきますので、ここでは私がやっていた方法を紹介させていただきます(この方法をお伝えした社会人受験生は、実際に短答式に合格し、その勢いのまま論文式合格を果たしております)。
総復習と実践練習を効果的かつ効率的に行いつつ、「当たり前」の水準を高めるため、私が用いていたのは、各科目とも次の2種類の教材になります。

① 一応範囲を一周している最小量のアウトプット教材
② 基礎・基本を一通り確認できるインプット教材(テキストまたは法規集)

上記①については、ほとんどの科目でクレアールの応用短答答練を活用しておりました。クレアールアカデミーの短答答練は、基礎、応用、直前(公開模試含む)の3種類に分かれます。概ね、次のようなレベル・内容となっております。

基礎短答答練:その名のとおり基礎レベル
応用短答答練:本試験では正答したいレベルの問題を中心に一応の範囲を一周するタイプ
直前短答答練・公開模試:正答できなくてもよい難問も敢えて混ぜた実戦タイプ

このうち、私は応用短答答練(各科目2~3回程度)に絞って一通りの範囲を回すような学習をしていました。
ただし、「出された問題と解答をそのまま暗記するだけ」といった使い方はしないようにしておりました。私はむしろ、「インプットのとっかかり」としてこの応用短答答練を活用していました。

応用短答答練を「とっかかり」にして、気になる内容をインプット教材(テキストまたは法規集)で調べ、掘り下げていきました。例えば、問題の中の1つの肢について、解説を見ても分からないことがあれば、テキストまたは法規集(企業法の場合は条文)にさかのぼって調べます。ただし、単に「分からないもの」だけでなく、その肢から連想して出てくる「他の気になること」もその都度調べるようにしました。

そして、あることを調べたら、「その周辺知識」や「そこから連想される別の気になること」にもどんどん目を通して関連付けていくようにしました。試験直前期なので余計なことはしない方がいいのかもしれませんが、「気になること」の多くは試験範囲の中でも重要なことが多いものです。

むしろ、複数の論点の繋がりが理解できたり、そのような寄り道を通じて基礎・基本の総復習を図ることができました。また、何となくテキスト等を読んでいくのではなく、調べたいこと(目的意識)があったうえで読んでいくので、そこから得られる情報の質は高くなります。

結果的に、アウトプット教材は最小限でも、それをとっかかりにして基礎・基本の網羅的な復習ができる方法となります。たくさんの教材に手を出したくない(または手を出す余裕の無い)方におススメです。

 

6. 追い込まれた時期だからこそ集中力を発揮できる!

本試験が差し迫ってくると、様々な不安も出てくると思います。しかし、この時期は本試験が差し迫っているからこそ、その危機感が原動力になって密度の濃い学習をすることができます。これまで何ヶ月もかかって講義を受けて復習してなんとか1回転した内容を、圧倒的に短い期間で何回転もすることができたりします。

この時期は最も実力向上を図ることができるチャンスです。これまでの仕上がり具合に関係なく、本試験で結果を出すためにベストを尽くしていただければと思います。