数学が苦手でも簿記検定や公認会計士試験はクリアできる!

1. はじめに

簿記とは、企業が行う取引を帳簿に記入し、その結果を集計・報告するための技術をいいます。
世の中には、簿記を学習し始めたものの、「どうしても簿記ができるようにならない」、「私は簿記には向いていないかも」といった悩みを抱えている方も多くいるかと思います。学生時代に数学が苦手だった方にとっては、その時の嫌な思い出に似た悩みを感じている方もいるかと思います。そうすると、「簿記は数学のセンスがある人じゃないとできないのでは?」という思いが芽生え、ますます自分の可能性に蓋を閉じてしまうことになります。

今回は、簿記を学習し始めたものの数学の時と同じような苦手意識に悩んでいる方に向けたアドバイスを書いていきます。これから簿記を学習し始める方で不安を感じている方も参考にしていただければと思います。

 

2. 数学が苦手でも簿記の試験はクリアできる!

まず、最も強調したいことは「日本語を読むことができれば簿記の試験はクリアできる」という点です。中学で習う因数分解すらできず、高校時代も数学で赤点常習者であった私が、公認会計士の資格を取得し、簿記を教える立場になっていることがそれを実証しているかと思います。

アカデミックでより高度な簿記を追求するならば、ある程度の数学的素養も備えておく必要もあると思いますが、資格試験の簿記をクリアするだけであれば、数学が苦手でも問題はありません。

仮に数学的知識が求められるとすれば、公認会計士試験・日商簿記1級を学習する際、ごく一部に中学レベルの連立方程式を使う箇所が出てくるのがMAXでしょう。

数学の得手不得手に関係なく、簿記ができるようになるためには次の3つを意識することが重要です。

簿記ができるようになるために意識すべきこと
① 日本語を正しく読むこと
② 最低限の基礎となる仕組み・全体像を把握すること
③ 手を動かして問題を解く練習をすること

 

3. 簿記と数学の比較

数学が苦手であっても簿記の試験はクリアできることをより深く理解していただくため、簿記と数学の共通点と相違点を検討してみましょう。

(1) 簿記と数学の共通点

① 「わかる」と「できる」が離れている(参考:葛西裕美『東大医学部生が教える本当に頭がいい人の勉強法』二見書房、2017年、p.19)

簿記も数学も、講義を聴いたりテキストを読んだりして「わかったつもり」になることはありますが、初見の問題を「できる」ようにするためには十分な練習が必要となります。

② 試験では単なるパターン暗記が通用しにくい

どの分野の試験でもそうですが、簿記も数学も試験では初見の問題で一定水準の正答が求められます。事前に予想問題を丸暗記していても、本試験がそのまま出てくれるわけではなく、初見の問題に対して現場対応していく力が求められます。

③ 登場する日本語を合理的かつ正確に読む必要がある

数学でも用語を知らない・誤解していることが学習上の障害となりますが、簿記の問題を解く際も日本語を正確に読むことが重要となります。

(2) 相違点

① 要求される思考力の程度

数学は、簿記よりも高いレベルの思考力が必要となります。むしろ、数学は思考力を鍛える科目といわれているとおり、一定の法則や仕組みを理解することはもちろん、それを用いて「思考」することが求められるかと思います。

それに対して簿記は、「基本となる一定の仕組み・ルール」を習得する際、多少の反復練習が必要になりますが、それさえ習得してしまえば、あとは実際に行われた取引を当てはめるだけです。そこで要求される思考力は、「基本となる一定の仕組み・ルール」を理解すること、企業が行った取引の内容を把握し、ルールに当てはめて記帳するといった程度のものになります。

② 計算過程の複雑さ

簿記の中で行う計算は、そのほとんどが足し算の積み重ねです。帳簿に記入する金額を算定する際に、一部引き算や掛け算、割り算(分数)が出てくることもありますが、簿記の仕組み自体が足し算を中心にして成り立つようになっています。

公認会計士試験や日商簿記1級クラスになると、ごく一部で中学レベルの連立方程式を活用する場面もありますが、それが要求される数学知識のMAXです。

このように、簿記では数字を扱うものの、そこで要求される数学的素養はごく最小限であり、数学が苦手な方でも十分習得可能となっています。中学レベルの連立方程式ができない方も、それが必要な場面でフォローすればよいのです。

③ 試験における電卓使用の可否

数学の試験は電卓を使えないことが多いですが、簿記は試験中に電卓が使えます。その点においても、簿記の試験における計算の方が圧倒的に楽だと思われます。

 

4. 最後に

ここまで述べてきたとおり、簿記で使用する数学知識はごく最小限であり、日商簿記2級までであれば算数の基礎さえあれば十分対応できます。したがって、数学が苦手な方も安心して簿記の世界に飛び込んでいただいて大丈夫です。

そのうえで、簿記が得意になるためのアドバイス3点を示しておきます。

簿記が得意になるために
① 積極的に問題を解いて反復練習を怠らないこと
② 「基本となる一定の仕組み・ルール」をなるべく早く理解しようと意識すること
③ 取引内容を説明した文章など、日本語を正確に読むように意識すること

「基本となる一定の仕組み・ルール」を理解し、そこに事例を当てはめて考える練習を積んでおくことで、パターン化されていない初見の問題にも十分対応できるようになります。ぜひ頑張ってみて下さい!