【公認会計士試験対策】簿記の学習方法⑩(繰延資産、社債、引当金、研究開発費及びソフトウェア)

はじめに

今回は繰延資産、社債、引当金、研究開発費及びソフトウェアの各論点の学習について取り上げます。今回の範囲の論点にはそれほど難解な部分はないかと思いますので、テキストと講義を頼りに理解を深めることができると思います。また、それぞれの論点の重要性についても以下で言及しておりますので、学習の際にご参考になさってください。

繰延資産

原則的な処理ではなく容認処理であるため、試験での出題頻度はそれほど高くありませんが、内容は極めて簡潔なので出題された場合にはできる限り得点したい論点です。定義、種類、それぞれの償却方法を押さえておけば正答することができると思います。

社債

本試験での出題頻度が高い論点ですので、確実に押さえておく必要があります。論点としては比較的シンプルなものが多く、取引のイメージもつきやすいため、テキストの内容が理解出来ずに頭を抱えることようなことは少ないかと思いますが、計算量が非常に多く最終的な回答も端数になることが多いため、高い精度で仕上げておかないと本番での誤答やタイムロスの要因となってしまいます。具体的な学習方法としては、最初はテキストの例題や問題集などを使って実際に電卓を叩くことが一番効率的だと思います。私自信も社債の論点の学習は他の論点と比較して電卓を叩いている時間が長かったと記憶しています。機械的な反復が必要な論点なので学習が嫌になるかも知れませんが、出題されれば合格水準の実力がある受験生はほぼ全員が正答できる論点になると思いますので、本試験までに正答率100%の水準を目指しましょう。

引当金

本試験において貸倒引当金以外の引当金にスポットが当てられて出題されるケースは少ないかと思います。ただし引当金の4要件と偶発債務との違いについては財務会計論で問われかねない内容ですので、押さえておく必要があります。また、引当金は保守主義の原則の観点から将来の会計期間に発生することが見込まれる収益の戻り、及び、費用または損失の発生を事前に取り込む趣旨で行われる会計処理です。複数の種類の引当金がありますが、いずれも処理の背景にある考え方は共通しているためそれぞれ独立した論点と考えずに学習しましょう。

研究開発費

本試験での出題頻度はそこそこといった論点だと思います。様々な費用項目が例示され、研究開発費に該当するものの合計額を回答する形式での出題が予想されます。テキスト等に研究開発費に該当する費用が例示されているためそちらを覚えてしまえば早いのですが、基本的には「まだ存在していない新たな商品・サービス・製造方法等を産み出すためのコスト」が研究開発費に該当するということを覚えておけば問題ないと思います。ここでは、特許権の出願費用のように、新たな商品・サービスを産み出した後に、その権利を保護するために必要となるコストは含まれていない点にご留意ください。

ソフトウェア

本試験での出題頻度が高い論点です。出題形式としては、様々な費用項目を研究開発費・無形固定資産・一時費用に分類する形式や、無形固定資産として計上したソフトウェアの減価償却について問われる形式が想定されます。費用を分類する形式については、例題で具体的な費用の内容を見て頭に入れるのが一番良いですが、基本的には、ソフトウェアのマスターデータの開発等新たな製品を作り出すための費用は研究開発費、ソフトウェアの機能アップデートなど既存のソフトウェアに価値を付加する性質の費用は無形固定資産、ソフトウェアのエラーやバグの修復に要する費用など、既存のソフトウェアが元々保持していた機能を取り戻すための費用は一時費用として処理すると覚えておけば問題ないと思います。

減価償却費については処理自体は複雑ではないのでテキストの例題を解きながら頭に入れることができるかと思いますが、ソフトウェアという実態のない資産について保守的に財務諸表に反映させる趣旨から、「赤字が見込まれる場合、その時点で回収が見込める金額まで減額しなければならない」、「各年の減価償却額が残存有効年数に基づく均等配分額を下回ってはならない」という制約がある点で通常の資産の減価償却とは異なっていますので、ご留意ください。だんだんと問題になれてくると、問題文中に示されたこれらの制約に気付かずうっかり失点してしまうことがあります。

おわりに

今回は、繰延資産、社債、引当金、研究開発費及びソフトウェアの論点の学習について取り上げました。いずれの論点も簿記の学習の中でそれほど学習に時間を取られることはない論点かと思いますので、もしなかなか理解できない方や苦手が意識がある方はお一人で悩まずに講師に相談してしまいましょう。