【公認会計士試験対策】簿記の学習方法⑧(有価証券及び固定資産)

目次

◆はじめに

今回は有価証券及び固定資産の論点の学習について取り上げます。特殊商品売買の論点とはうってかわって、比較的単純な処理が多いため取っつきにくさはないと思います。ただし、覚えなければいけない論点が多いうえ、本試験での出題頻度が非常に高いため、確実にものにしましょう。

◆有価証券の論点の学習のコツ

有価証券の論点については、基本的に複雑な処理が求められないため練習問題を反復する中で解法を身に付けることができると思います。各有価証券の処理方法については、何を目的に保有しているのかに着目すると覚えやすくなると思います。初学者の方の参考のために、各有価証券のイメージを下記に簡単に記載します。あくまでも私が学習した際に整理した情報なので、最終的には必ずテキストの定義を覚えるようにしてください。

売買目的有価証券 市場での売買を通じて利益を得ることを目的に保有する株式。時価の変動自体で目的が達成されるため、P/Lで損益を認識する。
満期保有目的債権 償還期限まで利息を収受する目的で保有する株式。満期まで保有し続けることが目的であるため、債権自体の時価変動は考慮しない。
子会社株式及び関連会社株式 子会社や関連会社への影響力を発揮するために保有する株式。保有し続けること自体に意味がある。
その他有価証券 上記に該当しない株式(取引先との付き合いで株を持ち合うケースなど)。時価変動を目的として保有するわけではないため損益は認識しないが、時価の情報自体は有用であるためBSには反映させる。

 

◆固定資産に関する論点の学習のコツ

固定資産に関する論点についても、取得や売却等といった論点については初学者の方もイメージしやすく、例題を解きながら身に付けることができると思います。減価償却については、簿記初学者の方には取っつきにくい論点かもしれません。減価償却は、企業が取得した資産を利用するパターンを財務諸表に反映させる趣旨で実施されています。償却方法、耐用年数、償却率など複数のパターンがあり覚えるのが大変に感じるかもしれませんが、機械的にパターンを覚えようとせずに趣旨を意識しながら例題に取り組むといいと思います。

固定資産に付随する論点として、少し難易度が高いのが「資産除去債務」の論点です。ほかの論点と比べて独特の勘定科目が登場することに加え、一つの問題を解ききるまでに求められる計算量も多いため、最初の内は正答することが難しいかと思います。計算ロジックについては、何度も例題を繰り返す中で身に付けていただくしかないのですが、資産除去債務がそもそもどういうものかイメージが出来ずに手がつけられないという方は、ご自身が賃貸物件を借りて家具を購入することをイメージされると少し身近に感じることができます。賃貸物件を退去する際には、自信が設置した家具を撤去し借りた時の状態に戻す必要があります。すなわち、賃貸物件に自らが購入した家具を設置する場合、設置した時点で将来的な撤去費用の発生が確定していると言えます。そこで、家具を購入する際に撤去費用部分も(時間価値を調整した上で)取得額に反映させてしまおうというのが、資産除去債務の考え方です。

また、固定資産の減損損失の論点も重要かつ難易度の高い論点です。減損損失の論点については、「資産のグルーピング」→「減損の兆候の判定」→「減損損失の認識の判定」→減損損失の測定」→「減損損失の計上」という一連のステップを覚えるとともに、各ステップで求められる処理を確実に覚えておく必要があります。本試験での出題形式としては、最終的な減損損失の計上額のみを回答する形式から、一連のステップの各段階の内容が問われる形式まで様々で、非常に出題頻度が高いと論点であると言えます。各ステップの処理を確実に覚えていくことも大事ですが、できる限り一連のステップの処理をまとめて学習できる総合演習形式の問題で練習を積むと効率がいいと思います。減損損失は共用資産の減損やのれんの減損など、細かい論点も多く網羅的に押さえるのが大変な論点ではありますが、出題頻度が高いため一度型にはめてしまえば確実な得点源とすることができます。最初の内はなかなか得点につながらずストレスになるかも知れませんが、根気強く学習を続けましょう。

◆おわりに

今回は、「有価証券」と「固定資産」の論点の学習について取り上げました。前回までの特殊商品売買の論点と比較するとかなり取っつきやすい論点なので、テキストを順番に進めて来た方にとってはいい気分転換になったかと思います。基本的な論点ではありますが、本試験での出題頻度は100%に限りなく近い論点ですので、確実に抑えましょう。

余談ではありますが、今回取り上げた「減損損失」の論点は監査上も非常に重要な論点となることが多いです。減損の兆候は企業の業績が傾いて来たときに生じるため、減損損失を計上するとなればさらに企業の業績を圧迫することになります。企業側にとっても「減損損失」を計上するか否かは重要な問題です。監査で「減損損失」について検討する時も、企業の実態を基準の一連の流れに当てはめながれ検討することになります。机の上での学習ばかりで嫌になってしまうこともあるかもしれませんが、皆さんの学習の中にも合格後の仕事に直接繋がる部分はありますので、ご安心下さい。

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