【公認会計士試験対策】簿記の学習方法⑦(特殊商品売買3)

◆はじめに

今回は特殊商品売買の最後の論点である割賦販売の学習について取り上げます。前回取り上げた特殊商品売買の論点と共通する部分もありますが、代金の回収という考え方が必要となる点で一歩進んだ論点と言えます。前回同様論点が多岐に渡るため、重要なポイントのみ簡潔にお伝えします。

◆割賦販売の考え方

以下に私が意識していたポイントを列挙させて頂きます。

  • 一定期間で分割して代金を回収する形式の販売取引の会計処理。
  • 原則的には通常の商品販売同様引き渡し時に収益を認識するが、保守的な会計処理として割賦基準が容認されている。簿記の論点として問われるのは割賦処理を採用したケース。
  • 割賦基準は、収益の認識時点をいつにするかという点で「回収基準」と「回収期限到来基準」の2パターン、記帳方法として「未実現利益控除法」と「対照勘定法」の2パターンがあり、それぞれの方法の組み合わせで4通りの出題形式が想定される。それぞれの処理の簡潔な特徴は以下参照。
回収基準 回収期限到来基準
・実際に代金を回収した時点をもって収益を認識する。
・回収期限到来基準より保守的な認識基準
・代金の回収期限が到来した時点をもって(法的な債権が発生したタイミングをもって)収益を認識する。
備考:簿記の問題を解く上では、回収のタイミングをいつとするかの違いがある程度で、解法や会計処理にそれほど大きな差異はない。
未実現利益控除法 対照勘定法
・商品の引き渡し時点で、取引全体の売上と売上原価を(通常の販売取引と同様に)認識した上で、期末時点で未回収の売上代金にかかる「利益」を翌期以降に繰延べる方法 ・当該取引に関する棚卸資産に注目すると、商品の引き渡し時点においてオフバランスされる。すなわち、引き渡し時点において取引全体分の棚卸資産が買い手に移動しているように表現される(現実の商品の流れと一致しており、通常の販売取引と同様の動き)
・通常の商品販売取引同様に処理した上で、利益の帰属時点を調整するイメージ
・ボックスを用いて解く問題においては、前期に繰延べて当期に回収した部分の利益、及び、当期に販売して未回収の利益(繰延べる利益)の把握がポイントになる
・商品の引き渡し時点においては、対照勘定(「割賦未収金」、「割賦仮売上」)で備忘記録を残しておき、回収時点において、回収した部分にかかる売上と売上原価を認識する方法
・当該取引に関する棚卸資産に注目すると、代金の回収に従ってオフバランスされる。すなわち、回収期限が到来して時点において、回収した部分ずつ棚卸資産が買い手に移動しているかのように表現される(実際は当初の引き渡し時点で商品の全体が買い手に移動しているため、現実の商品の流れとは一致しない)
売上・売上原価の帰属時点を回収基準と整合させるイメージ ・ボックス図を用いて解く問題においては、当期末未回収部分の原価(期末商品棚卸高)の把握がポイントになる(ある種他の特殊商品売買と同様のアプローチ)
備考:未実現利益控除法を用いるか、対照勘定法を用いるかによって、損益計算書の売上及び売上原価には差がでるが、売上総利益は一致する。

上記に書いた通り、割賦基準の学習においてはまず「未実現利益控除法」と「対照勘定法」の処理の違いを頭にいれることが重要です。また、他の特殊商品売買の論点と異なり「商品の移動を表すボックス図」と「代金回収の図」の2つを駆使する必要があるため、混乱してしまう方も多いかと思います。何度か練習問題を反復する内にパターンが分かってくるかとは思いますが、ポイントとして、未実現利益控除法においては「前期から繰延べられて当期に認識すべき利益額」と「当期に販売して翌期以降に繰延るべき利益額」を把握する、対照勘定法においては、「当期末時点でBSに残る商品の棚卸高」を把握するというシンプルな目標の元、問題文中の利用できる情報を駆使して上記を導き出そうとすれば、自ずと解答にたどり着くと思います。回収不能の論点が加わってもアプローチは一緒で、未実現利益控除法では回収不能部分の利益額に、対照勘定法では、回収不能部分の原価金額(在庫額)に注目すれば、シンプルに問題をとらえることができるかと思います。

◆おわりに

今回は、割賦販売の学習ポイントについて取り上げました。今回で特殊商品売買の論点は終了となります。商品売買に関する論点は非常に膨大な上、難解な部分が多くつまずいてしまう方も多いため、当ブログでも全6回とかなりの分量を割いて学習のポイントを紹介させて頂きました。これだけの分量を割いた上でこのようなことを書くのは非常に恐縮ですが、会計士試験の最短合格という観点から見ると商品売買の論点はそこまで重要性が高いとは言えない論点です。途中の回でも書かせて頂きましたが、相性が合わないと思ったら思いきって学習を後回しにしてしまって下さい。

試験に合格して、実際に監査の現場でこれだけ細かく特殊商品売買の実務に当たることはありませんが、特殊商品売買に共通する「実際の取引(商品の移動)と財務諸表に反映される会計数値を整理する力」は、非常に重要だと痛感しています。試験合格後も会計の学習は続いていくと思いますので、どこかのタイミングでしっかりと学習してみてください。

次回からも引き続き簿記の学習のコツについて取り上げます。