【公認会計士試験対策】簿記の学習方法⑥(特殊商品売買2)

◆はじめに

今回は特殊商品売買の各論点について、学習の際のポイントや整理のための情報を紹介します。前回お伝えした特殊商品売買に共通する事項より具体的な内容を紹介しますが、論点が多岐に渡るため重要なポイントのみ簡潔にお伝えします。各論点で共通するポイントや同一の処理をする箇所には「※」を付けておりますので、他の論点と照らしながらご確認ください。また、商品の流れをまとめるために①②③という番号を使用していますが、こちらは前回紹介したものと対応しておりますので必要に応じて前回のブログをご参照ください。

◆未着品売買

  • 仕入れた商品が手許に到着する前に販売する場合の論点
  • 商品購入時は「未着品」勘定で処理し、手許到着分及び未着販売分を「仕入」勘定に振り替える(その都度法も期末一括法も考え方は同じ)。
  • 未着販売時の「仕入」勘定への振り替えは「売上原価」へ振替と同義(対応する商品残高自体も減少しているため、決算整理を経ても上記振替分はそのまま流れる) ※1
  • 決算整理後「繰越商品」及び「未着品」勘定に残っている残高が棚卸資産を構成する ※2
  • 分記法・総額法は科目名が変わるのみで基礎通りの処理 ※3
  • 未着品到着時はボックスの左下で調整 ※4

商品の流れの整理

①未着品の取得(貨物引換証の取得)
②未着品の到着
③未着品の販売(貨物引換証の譲渡)

◆試用販売

  • 顧客に商品を試用して貰った上で販売する場合の論点
  • 試送後、顧客が購入の意思表示をした時点で売買取引が成立するため商品の発送時点と売上計上時点が異なる ※5
  • 試送時に形式的には外部に商品が移動しているものの、顧客の意思表示までは権利が移転しておらず、引き続き会社の棚卸資産であるため試送は②に該当するものとして整理(商品の保管場所が変更されたようなイメージで整理) ※6
  • 試送時に「仕入」から「試送品」へ、販売時に「試送品」から「仕入」へ振替(その都度法も期末一括法も考え方は同じ) ※7
  • 販売時の「仕入」勘定への振り替えは「売上原価」へ振替と同義(対応する商品残高自体も減少しているため、決算整理を経ても上記振替分はそのまま流れる) ※1
  • 決算整理後「繰越商品」及び「試送品」勘定に残っている残高が棚卸資産を構成する ※2
  • 分記法・総額法は科目名が変わるのみで基礎通りの処理 ※3
  • 試送時、戻り時はボックスの左下で調整 ※4
  • 対照勘定法では試用中の残高を対照勘定で表し、試送品原価と手許商品原価が区別されないためボックス図は一つで表現する(手許商品と試用品の仕入は(ボックス左下)同一であるというイメージ)

商品の流れの整理

① 手許商品の仕入と共通
② 顧客への試送時または顧客からの返品時
③ 顧客の買取意思表示時

◆委託販売

  • 他者に商品販売を委託する場合の論点
  • 受託者が第三者に商品を販売した時点で売上が計上されるため、商品の発送時点と売上計上時点が異なる ※5
  • 積送時(委託時)に形式的には外部に商品が移動しているものの、受託者が第三者に販売するまでは権利が移転しておらず、引き続き会社の棚卸資産であるため積送は②に該当するものとして整理(商品の保管場所が変更されたようなイメージで整理) ※6
  • 積送時に「仕入」から「積送品」へ、第三者への販売時に「積送品」から「仕入」へ振替(その都度法も期末一括法も考え方は同じ) ※7
  • 販売時の「仕入」勘定への振り替えは「売上原価」へ振替と同義(対応する商品残高自体も減少しているため、決算整理を経ても上記振替分はそのまま流れる) ※1
  • 決算整理後「繰越商品」及び「積送品」勘定に残っている残高が棚卸資産を構成する ※2
  • 分記法・総額法は科目名が変わるのみで基礎通りの処理 ※3
  • 積送時はボックスの左下で調整 ※4

商品の流れの整理

①手許商品の仕入と共通
②積送時(販売委託時)
③受託者による第三者への販売時

◆受託販売

  • 他者の商品の販売を請け負う場合(委託販売の相手側)の論点
  • 自社商品の仕入や販売は発生せず、委託者の商品販売手数料収受が売上高となる

商品の流れの整理

自社商品の流れは発生しない

◆委託買付

  • 他者に商品の仕入を依頼する場合の論点
  • 仕入に関する論点ではあるものの、手数料の処理が主眼であり商品の流れについては通常の仕入と変わらない

商品の流れの整理

自社商品の流れは発生しない(論点とならない)

◆受託買付

  • 他者のために商品仕入を代行する場合(委託買付の相手側)の論点
  • 基本的に委託買付と反対の処理を行えばよい

商品の流れの整理

自社商品の流れは発生しない

◆おわりに

今回は特殊商品売買の各論点の要点を簡潔にお伝えしました。各論点の整理に必要な情報は一通り網羅できていると思いますので、ざっと確認したい時にでもお使いください。お気づきの方も多いかと思いますが、各論点に共通する箇所が複数あります。取引実態が異なるので各論点毎に覚えなければならないことが多いように感じてしまいますが、各論点を独立したものと考えずに処理が類似する箇所は共通項として覚えてしまうと負担が減ると思います。大事なのは「商品の流れの整理」に記載したポイントです。会計士試験への出題出題可能性としては、「未着品販売」、「試用販売」、「委託販売」と次回取り上げる「割賦販売」の論点が高いと思います。その他の論点が出題されたとしても、ボックス図を用いる必要がない単純な出題になるかと思いますので、取引の趣旨と必要な処理(手数料の収受等)を覚えておけば十分対応可能です。何度もお伝えしていますが学習にかかる手間の割に出題頻度がそこまで高くない論点です。他の受験生と差をつけるポイントにはなりますが、特殊商品売買の学習に時間を取られて合格に必要不可欠な範囲の学習がおろそかになってしまうことは避けなければなりませんので、ご自身の中でメリハリをつけて学習に臨んでください。