【公認会計士受験対策】簿記の学習方法③(商品売買に付随する処理・商品有高帳)

◆はじめに

今回も前回に引き続き簿記-商品売買取引の学習方法を取り上げます。前回は分記法・総記法・3分割法・売上原価対立法といった商品売買取引の基本的な記帳方法の学習法についてお伝えしましたが、今回は商品売買取引に付随する処理や、商品有高帳の学習法についてお伝えします。

◆商品売買に付随する処理

商品売買に付随する処理としては、現金割引や購入・販売以外の商品増減、棚卸資産の評価などがありますが、いずれもそれほど難解・重要な論点ではないためテキストに記載されている例題の仕訳をなんなく切ることができるレベルまで学習して頂ければ問題ないと思います。どうしても苦手意識があるという方は、なんのためにこのような仕訳を切る必要があるのかを考えてみると頭に入ってきやすくなると思います。

例えば、「現金割引」という取引は、一見「販売価額を減額してあげている」ような印象を受けてしまいますが、実際は「代金を早期決済してくれたことの特典として支払ってもらうはずだった金額を減額してあげる」取引です。販売した商品の代金をいつ受けとるかによって販売した商品の価値が変化してしまうのはおかしいということはみなさん直感的に理解できるかと思います。ここで行われている早期支払いの見返りとして商品の対価を減額する取引は、企業の販売活動ではなく財務活動に該当します。つまり、現金割引の仕訳処理には、当該取引を販売活動(PLの売上総利益項目)ではなく、財務活動(PLの営業利益項目)に反映させようという意図があることが分かると思います。

また、企業活動の中で仕入れた商品が火災で焼失してしまうことがあります。このような場合、期末の決算整理仕訳で実地棚卸数量に基づき仕訳を起こすと、火災によって失われてしまった在庫まで「売上原価」に算入されてしまいます。販売されることなく火災で失われた在庫が「売上原価」に含まれてしまうのはおかしいので、他勘定振替によって売上原価の数字を取引実態に合わせているのです。前述の例はいずれも、損益計算書上の表示区分を取引の実態に合わせるための仕訳処理であることが分かると思います。会計は企業の取引を財務諸表上で表現するための手段ですので、「なんのために」を意識すれば単なる暗記に陥ることなく、納得感を持ちながら学習することができると思います。

◆商品有高帳

商品有高帳は商品の仕入れと販売のための払い出しを記録したものです。売上原価の算定方法である継続記録法と棚卸計算法のうち、継続記録法を採用する場合には商品有高帳を記帳しておく必要があります。実務上商品の受け払いはシステム上で管理されていることが多く、手作業で作成されている商品有高帳を目にする機会はほとんどありませんが、監査をする上でシステムの計算ロジックの基礎となる商品有高帳の仕組みを理解しておくことは非常に重要です。会計士試験上も稀に出題されることがある論点ですが、移動平均法などを採用している問題の場合、一ヶ所間違えると以降の箇所を連鎖式に間違えてしまうため注意が必要です。また、商品の単価・数量の動きを処理する作業は管理会計学にも共通するため、確実に押さえておくべき論点といえると思います。

学習方針としては、まず実際に手を動かしながら例題を解き、確実に正答できる水準を目指しましょう。記入しなければならない箇所が多く面倒に感じるかもしれませんが、他の論点にも共通する基礎的な論点のため、時間をかけてでもしっかりものにする必要があります。問題で求められる処理のパターンは限られているため、何度かこなしていると完璧に解答できるようになると思います。手を動かしながら完璧に解答できるようなったら、解答を横に置きながら頭のなかで例題を解き(手を動かさずに)、自分の頭の中で描いた処理と解答の処理が一致しているか確認する方法で学習を進めると良いと思います。この方法で学習すると、商品有高帳の問題の解答速度が上がるのみならず、商品単価・数量の動きを早く、正確に把握する力を養うことができます。先程もお伝えしましたが、商品単価や数量の動きを処理する能力は会計士試験で広く問われます。もちろん手を動かしながら確実に処理するに越したことはないのですが、時間の制約がある会計士試験においては、なかなかそうもいきません。商品単価・数量の動きを早く、正確に把握する力は必ず役に立つと思います。

◆おわりに

今回は商品売買に付随する取引の記帳方法や商品有高帳の学習方法にお伝えしました。慣れてきた例題の復習時に、実際に書かずに頭の中だけで問題を解く学習法を紹介しましたが、これは他の論点、科目を学習する際にも使って頂きたい方法です。確実に理解できている問題なのに、書くことに時間をかけていてはもったいないですよね。ただし、思わぬ勘違いをしていることもあるかもしれないので、10回に1回程は実際に書いてみることをおすすめします。