【公認会計士受験対策】簿記の学習方法②(商品売買取引)

目次

はじめに

今回は商品売買取引の論点の学習方法についてご紹介します。内容が膨大なうえ難解な部分も多数ありますので、複数回に渡ってお届けする予定です。

◆商品売買取引の全体像について

上述の通り商品売買取引の論点には非常に膨大な内容がつまっており、かつ、難解な部分も多々あります。私も一番苦手な論点です。これまでに短答式試験で出題され、論文式試験では出題されることがほとんどなかった論点ですが、近年では短答式試験で出題頻度も下がってきていますし、出題されたとしても1題程度ですので本試験までの時間が限られている方や他の論点の理解が不十分な方は商品売買取引を思い切って後回しにしてしまうのも短期合格のためには有効な作戦かと思います(試験の傾向は毎年変化しており前述の傾向が皆さんが受験する回の試験にも当てはまるとは限らないため、必ずクレアールの担任等信頼できる試験アドバイザーに相談の上方針を決定してください)。ただし、今回取り上げる商品売買取引の記帳方法に関する論点はみなさん必ず学習して頂きたいです。この論点だけならそこまで負担をかけずに理解することができますし、短答式でぶっつけ本番で問題に望んでもこの論点の考え方さえ押さえておけば正答にたどり着ける可能性があります。また、商品売買取引は企業活動の根幹を担う重要な取引ですし、この論点をマスターすると簿記の一般的な考え方や、管理会計にも通じる考え方が身に付きますので、仮に後回しにしたとしても機会を見つけて学習してみてください。

◆商品売買取引の記帳

まずは商品売買取引の記帳についての学習方法をお伝えします。商品売買取引の記帳方法には大きく分けて、単一商品勘定制の分記法及び総記法、分割商品勘定制の三分割法及び売上原価対立法の4つがありますが、いずれの方法も仕訳の趣旨は簿記3級でも学習する売掛金-売上、仕入-買掛金、期末-仕繰繰仕と同じで、最終的に決算後の財務諸表に与える影響は変わりません。ただし、期中の仕訳の見え方は大きく異なります。試験合格後の実務でも企業の商品売買に関する仕訳を見る機会が多数ありますが、仕訳の特徴を理解していないと何が原価で何が売上なのか理解できないということにもなりかねないので、それぞれの特徴、また他の方法との違いを意識して理解しましょう。以下に各記帳法の特徴を簡単に記しておきますので、テキストで理解を深める際の一助として下さい。

  • 分記法:「商品」と「商品販売益」を分けて記帳する方法。「商品」勘定に仕入れた商品の残高が表現される。販売の都度販売益と在庫残高が更新されるため決算整理仕訳は不要。
  • 総記法:「商品」勘定を用いて仕入時と販売時に発生するキャッシュ・フロー(仕入債務・売上債権として計上される金額)の総額を記帳する方法。「商品」勘定に売上高と仕入高の差額の差額を表しているにすぎないため、決算整理仕訳が必要。
  • 3分割法:簿記で最初に学習する最もオーソドックスな方法。仕入れ時には「仕入」、販売時には「売上」勘定を使用し、期末に仕入-繰越商品、繰越商品-仕入の決算整理仕訳を入れる必要がある。
  • 売上原価対立法:分記法に似た方法であるが、販売時に「売上」と「売上原価」の仕訳が発生する点に特徴がある。販売の都度販売益と在庫残高が明らかになる点で分記法と共通しており、決算整理仕訳は不要。

それぞれの方法毎に必要な仕訳が異なるため、最初は難しく感じるかもしれませんが、上記のポイントさえ押さえておけばとりあえず問題ないと思います。学習の際にはそれぞれの方法の勘定(商品・売上・仕入・売上原価等)がなに(商品残高・販売益・売上総額・仕入総額等)を表しているかを意識して学習してください。テキストにそれぞれの勘定の意味が簡潔にまとめられた表がありますので、そちらを利用すると効率よく学習することができると思います。最低でも、それぞれの仕訳の特徴が理解できていないと次回以降に取り上げるボックス図を用いて売上等を推定する形式の問題に対応できなくなってしまいます。ボックス図を使った問題は商品売買取引記帳の応用問題的な立ち位置ですので、基本を押さえたあとに当該問題で演習を積めば仕訳に対する理解も深まると思います。

まとめ

今回は商品売買取引に関する論点の根幹を担う記帳方法について学習しました。試験における重要性を鑑みるに、膨大な学習時間を割いてまで学習が必要な論点とは言えませんが本日取り上げた記帳方法に関する論点は得点のために非常に重要かつ基礎的な論点ですので苦手意識がある方もここだけはしっかり押さえましょう。どうしても苦手で頭に入ってこないという方は、今回のブログで記述したポイントだけでも頭の片隅にいれておいて頂き、一旦他の論点の学習を優先させて頂いてもいいかもしれません。次回も、引き続き商品売買取引の学習方法について書かせて頂きます。

 

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