【公認会計士試験受験対策】孤独に戦う受験生に伝えたい、自分を理解することの大切さ

はじめに

心の満足度に対価を払う時代

現代は、心の豊かさの時代です。高度経済成長期の大量消費の時代、バブル後の低価格主義の時代を経て、現在は心の満足度を重視する時代です。Windowsの倍以上するMac Bookを買うのは、スティーブ・ジョブズの情熱とApple=カッコいいというブランド力に価値があるからです。ドトールとほぼ同じサイズで1.5-2倍近くするスタバのドリンクを購入するのは、オシャレな店内で過ごす快適さと緑のロゴマークの入ったカップを手にする満足感があるからです。最低限度の衣食住が満たされた日本においては、より心に焦点を置いた物やサービスが社会に受け入れられるようになりました。

心の充実は、自己理解から

資格試験も、心の満足度の世界です。会計士になって海外勤務をしてみたい、会計士になって豊かな暮らしを実現したい、会計士になって周囲を見返したい。受験動機は様々ですが、全ての受験生は「今の自分より幸せになるため」に資格合格を目指しているのではないでしょうか。一方で、会計士になっても不幸なままの人もいれば、会計士でなくても幸福な人もいます。この差は、自己理解力にあります。自分の求めるものがわからない人は、どんなにたくさんのものを与えられても満たされることはありません。心の充実は、自己理解をなくして成し得ないのです。孤独の戦いを強いられる受験生活では、嫌でも自分と向き合う機会が増えます。合格後の人生を充実させるために、自己理解を高めていきましょう。

1. 自分をありのままに見る

自分は、過去と現在でできている

現在の自分を構成するのは、①生まれながらに持った気質、②過去の実体験、③現在の周囲の環境の3つです。直感的には、2:5:3くらいの割合といったところでしょうか。自己理解をするうえでは、①と②が重要です。③が外部から影響を受けた「消極的な自分」なのに対し、①と②は自分の内側から湧き出る「積極的な自分」だからです。そこで今回は、①生まれながらに持った気質、②過去の実体験の2つに焦点を当てていきます。

善悪良否を捨てて、自分を理解する

自分を理解するために、まずは善悪良否の概念を捨てましょう。自分の性格を分析する時、多くの人がネガティブな面を思い浮かべるとともに、「こうなったらいいのにな」という願望や改善意識が働きます。でも、それらは自己啓発であって自己理解ではありません。自己理解とは、自分のありのままの姿に気づくことです。「私は人と同じことをするのが苦手です。宿題はいつも期日までに終わらなかったし、発表会ではいつも自分だけミスをしていました。その代わり、人前に立って話をしたり人を笑わせたりするのは得意でした」「私には個性がありません。クラスでいつも目立たず、部活動やサークルではいつもその他大勢でした。その代わり、中1から始めた日記を今でも続けていたり、独学でTOEIC900点を取得したりと地道な努力が得意です」というのが、自己理解です。良いことも悪いことも引っくるめて、自分の気質が人生にどう影響したかを考えることが、自己理解の第一歩なのです。

2. 過去の経験から、本物の自分を見つける

溢れるほど活発な自分と、いつしかチャレンジを恐れた自分

過去を振り返ると、私は非常に活発な子供でした。保育園にあった補助輪なしの自転車で毎日遊んでいるうちに、誰に教わるでもなく自然と乗れるようになった3歳の頃の自分。小学校が終わるとランドセルを玄関に置き、真っ先に近所の公園に自転車で駆け出す日々を送っていた自分。中学に入学してすぐの移動教室で、たった一人で300人以上を前にして歌うことを即決した自分。活動的で怖いもの知らずの心こそ、私の気質でした。

一方で、思春期の挫折によってこれらの自分はどんどん小さくなっていきました。大好きで得意だった野球が次第に通用しなくなり、すっかり自信をなくしてしまった自分。小学生の時はいつも目立っていたのに、中学以降の友人関係でトラブルを抱えて行動が消極的になってしまった自分。就活で大学時代に仲良く過ごした仲間が企業に次々と内定をもらう中、自分一人だけがどこからも声がかからず、大きな劣等感を感じるようになった自分。苦い経験によって、自分らしさである「活動的で怖いもの知らず」という気質は、すっかり忘れ去られてしまいました。

子供時代の思いが、ホンモノの心

就活の挫折を通じて2年間の浪人生活を送ることになったことが幸いし、この期間に自分についてじっくりと考えることができました。自分を理解するとは、自分のできることを数えることでもあります。どんなに劣等感を抱えていても、事実には必ず裏表があります。不器用な人は、画一的な作業は苦手でも、クリエイティブな作業は得意かもしれない。自分に自信がない人は、説得することは苦手でも、共感することは得意かもしれない。やりたいことがない人は、創造することは苦手でも、支援することは得意かもしれない。自分が本来持っている気質と過去の様々な経験をフラットな目で振り返ると、少しずつ自分という答えが見えてきます。「活動的で怖いもの知らず」という気質はこれからの自分を歩む上で、武器にも、時には足枷にもなるでしょう。でも、それが本物の私なのです。善悪良否を超えた、ありのままの自分を理解しましょう。

3. 等身大の自分で未来を切り拓く

自分を守る自己愛と、自分が守られる自尊心

自己愛と自尊心という言葉があります。自己愛とは、自分を大切にしようとする気持ちです。自尊心とは、自分に価値を感じる気持ちです。両者は似ているようで、対極にある言葉です。自尊心が高い人は、大なり小なり「人生、上手くいくだろう」という根拠なき楽観主義が心の底にあります。これは、家庭環境や幼少期から思春期に至るまでの人間関係によって、「あなたは、あなたらしくいることに価値がある」という体験して生まれたものです。自己愛が強い人は、自分に価値を感じない人、すなわち自尊心が低い人です。彼らは家庭環境や幼少期から思春期に至るまでの人間関係に何らかのトラウマが生じたことにより、「あなたは、あなたらしくいるだけでは価値がない」という思考回路が植え付けられてしまったのです。過剰な自己愛は「他人を蹴落としてでも、自分を守る」という、危険な行動要因になります。裏を返せば、彼らはそこまでしなければ埋まらないほど、心に大きな穴を抱えた人たちだと言えるでしょう。

自分を認めるから、次の一歩が踏み出せる

自己愛は、自分の自由を奪います。「本当はやりたいけど、〜だからやめておこう」「どうせ〜だから、今日は何もせずに帰ろう」と何かに一歩踏み出せない心理の裏には、「傷つく自分が怖い」「失敗したときの自分が耐えられない」という自己愛が隠れています。自分に対して過保護だから、行動が起こせないのです。この原因は、他でもない自尊心の低さです。自分自身に根本的な価値を感じられないから、自己防衛機能として過剰な守りに入ってしまうのです。

では、自尊心を高めるにはどうすれば良いのでしょう。それは、自尊心を損なったきっかけを理解し、今を懸命に生きる自分を認めることです。自尊心が高い人のほとんどは、極めて良好な家庭環境で生まれ育っています。裏を返せば、自尊心が低い理由の大半は「環境に恵まれなかったから」に過ぎず、決して本人に落ち度はないのです。むしろ、周囲の同級生よりも心理的に不利な状況で、環境に恵まれた人たちと同じように過ごしてきたこと自体が、懸命に生きてきた証なのです。自分を深く知り、徐々に認めていくことで、自分の内側に「心の拠り所」が形成されてきます。これこそが、自尊心です。自己理解を通じて、自尊心を高めていきましょう。自尊心をベースに、未来を切り拓いていきましょう。