本当に会計士になりたい人だけが、合格できる

目次

はじめに

挫折する人は、資格が不要な人

一般的な人が会計士試験に合格するためには、およそ3~4年の期間を要します。会計士試験における挫折とは、①勉強が続かない、②あらかじめ定めた期間で合格できない、の二種類あります。ただ、いずれについても根本的な原因は、受験動機の曖昧さによる日々の学習に対する優先順位の低さにあります。これは、結果として挫折した人にとって、その資格が「自分の人生で本当に必要なもの」ではなかったことを表しているのではないでしょうか。反対に、遠回りをしても必ず合格する人に共通するのは、現状の自分への不満、会計士キャリアへの強い興味や好奇心など、自分にとって「どうしても合格したい」という受験動機が必ずあることです。そこで今回は、今の時点では大きなモチベーションはないけれど、目指したからには必ず合格したいという受験生に向けて、会計士試験合格に直結する目標の見つけ方をお伝えします。

1 本当に会計士になりたいか、心に問う

攻めるのか、守るのか、逃げるのか

皆さんが会計士受験を決めた理由は、どのようなものでしょうか。学生で、給料が良く就活も楽そうだからという人、社会人で、今の職場の未来が暗く、キャリアアップを図りたいという人、専業主婦で、これから社会復帰するうえで専門的な職にチャレンジしてみたいという人。受験動機の濃淡の差はあれど、内容に正解不正解はありません。ただ、重要なのはその方向性が前向きなのか、後ろ向きなのかです。社会人で、給料がより高い会計士になり、家族をもっと幸せにしたい、という理由は前向きですが、今の職場の給料では満足できないので、給料が安定して高い会計士になりたいというのは後ろ向きです。お金は非常に便利な道具ではありますが、「とりあえずお金がたくさんもらえる」という理由は短絡的であり、現状に対する逃避でしかないからです。

なりたいという気持ちに情熱があれば、深掘りは後からでいい

大切なことは、会計士になりたいという気持ちに情熱があるかどうかです。お金を目的にするならば、「どうしても、家族にもっといい暮らしをさせたい」「子供の頃から夢だった憧れのブランドに囲まれる生活をしたい」「大好きなクルマを所有できる余裕が欲しい」など。キャリアを目的とするならば、「監査人として、大企業を中心とした資本市場を支えたい」「企業のアドバイザーとして、会計知識を社会に役立てたい」「会計に強いコンサルタントとして、成長する企業のサポートをしたい」などがあるでしょう。逆を言えば、会計士を目指す動機の具体性は、勉強していくうちに、あるいは働いていくうちに少しずつ明らかにしていけば十分だと思います。自分を心の底から突き動かす、偽りのない本当の動機を見つけること。これこそが、早期合格とともに合格後のキャリアを充実させる大きなカギなのです。

2 会計士試験を俯瞰する

「どこ」を目指すのかを決める

目的のない努力は、必ず挫折します。成果を出す努力には、適切な目標設定が不可欠なのです。会計士試験でいえば、「会計士になってどんなことを成し遂げたいか」というのが大分類としての目標。中分類の目標は、「会計士試験に合格する」、小分類の目標は、「簿記1級、短答、論文に合格する」となるでしょう。まずは手始めに、各種ブログ記事を読み、自分のしっくりくる目標を探してみることをお勧めします。

「今」の立ち位置を明確にする

会計士キャリアを100としたとき、会計士試験の受験期間は3~5程度に過ぎません。言い換えれば、95を充実させるために、今、5を必死に取り組んでいるのです。たとえば、監査人一筋でキャリアを進めたいという人は、以下のような流れになるでしょう。

会計士キャリア

ここで大事なことは、もうすでに会計士キャリアが始まっているということです。自らが決断した人生の選択を、いま、少しずつ前進している。この決意が、長期戦である会計士試験の最大のモチベーションになるのです。

3 誰のために合格するか、決める

他人との感情の共鳴が、爆発力になる

哲学の世界では、自分と他人の境界線が曖昧です。たとえば、大好きな友人が幸せそうな姿を見て、自分も幸せな気持ちになる。ちょっとした人助けをして、喜ばれたことに喜ぶ。あるいは、大切な家族が悲しんでいることに悲しむ。心の距離が近ければ近いほど、感情が共鳴しやすくなります。そして共鳴の数が増えれば増えるほど、幸せや喜び、達成感なども比例的に大きくなるのです。会計士試験では、「合格を捧げたい誰か」が増えれば増えるほど、感情が共鳴し、応援する力が自分の爆発力につながります。

「なぜ」を積み重ねた先に、合格がある

日々の学習における「なぜ」は、学ぶことの本質です。換言すれば、「なぜ」を追求できた人から、合格することができるのです。たとえば、会計制度はなぜ存在するか。それらによって得られる会計情報は、どのような人たちが、何のために利用するのか。会計情報の作成方法である簿記は、財務諸表作成者以外で習得する人が多いのはなぜか。日頃の学習から生じる疑問点もさることながら、こうした高い視点からの問いも会計士になるためには有用です。なにより、「会計士」を目指すからには、ぜひ「会計」という学問のファンになってください。会計士試験に情熱を注ぎ、「好き」を仕事にしましょう

おわりに

資格に与えられる人、資格から与える人

会計士受験をはじめて間もない頃、『短期合格者だけが知っている!「一発合格」勉強法』(著:超速太朗、日本実業出版社、2007年)という本に出会いました。この本は私にとって、合格までに利用した最良の参考書であり、現在では受験生指導のバイブルとなっている大切な一冊です。従来の「やり方」重視から、「考え方」重視の方法へ。合格体験記の研究といった効率的勉強法の追求ではなく、まず、資格を取得する理由、なりたい自分像を明確にしたうえで、戦略的に合格法を考える。実践的な資格対策だけでなく、著者の司法試験での挫折経験や長年の予備校指導経験を踏まえ、学習に対する心構えや心理的なアドバイス、自己啓発メッセージなども盛り込まれるなど、一般の資格対策本からは一線を画する内容です。また、この本の最後には、こんなメッセージがありました。

“教えられる人から、教える人へ。励まされる人から、励ます人へ。誰かを頼りにする人から、誰かに頼りにされる人へ。勇気をもらう人から、勇気を与える人へ。アドバイスを貰う人から、アドバイスする人へ。この全部でも一部でも、あなたがなりたいと思う存在にきっとなれる。”

不安と孤独でいっぱいだった受験生時代から約4年。ほんの少しでも、「与える人」になれていると信じ、現在、目の前にある会計監査の仕事に精一杯取り組んでいます。受験生の皆さんも、会計士試験合格を通じて「与える人」になりませんか。

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