後悔しない受験生活のために必要なこと

目次

はじめに

「経験とは、小さな成功体験を積み重ねていくこと」(堀江貴文)

堀江貴文氏は著書である『後悔しない生き方』で、「人生を後悔する人は過去や未来に囚われ、人生が充実する人は今の自分に集中している。そして、人生の財産である経験は、単に過去の蓄積ではなく成功体験だけである」と述べています。

失敗は成功のもと、というのは半分くらい間違っているのです。正しい解釈は、「失敗は、トライアンドエラーを繰り返すために有効活用できれば、成功を引き寄せる」です。今年の5月短答では多くの受講生が受験しましたが、不合格見込みである人も少なくないでしょう。そんな受講生の皆さんに、失敗を失敗のままにしないための心構えをお伝えします。

 

1.「いつでも辞められる」覚悟を持つ

追い込むだけでは、空虚な気持ちが残る

仕事や勉強というと、追い込むこと=成功というイメージが強いかと思いますが、私はそれらに反対です。自分を追い込むとは「無理な我慢」をすることであり、我慢からは形式的な成果(試験合格や出世などの地位、収入、物理的な豊かさ)しか得られません。そして無理な我慢は、長期的には自尊心を下げ続け、成果を出せば出すほど自分に不満を感じ、常に空虚な気持ちを抱える人生になってしまいます。

全力を出すには、逃げ道を用意する

合格後も一歩一歩前向きに成長できる「本当の目標達成」に大切なのは、「私はいつでも辞められる」という逃げ道を作ることです。嫌になったらいつでも辞めていい、と常に考えている人には、同時に「今歩んでいるこの道は、自分で選んだもの」という意識が働きます。実はこの気持ちが、誘惑や苦難に負けそうになったときの最大の支えになるのです。

100%自分で選んだ目標は、必ず頑張れる

目標を断念するのは、①自分が本当にやりたいことか、②自分に達成する能力があるか、③周囲の人がそれを望んでいるか、のどれかが足りなかったときです。たとえ自分で選んだ目標でも、叶えられるかどうかはやってみないとわかりません。でも、大切なのは一度でも叶えたいと思った目標に向かい、一所懸命になる過程ではないでしょうか。私の経験だけでなく、偉大な経営者や歴史上の人物も、成否を問わず懸命に努力した経験が必ずあります。だからこそ、「いつでも辞めていい」という大前提のもと、やれるだけやってみる価値があるのです。

 

2.「他人からどう見られるか」を捨てる

他人にモチベーションを預けると、誰でも努力は続かない

勉強が長続きしない人は、「他人からどう見られるか」を最大のモチベーションにしています。年収を上げて「勝ち組」になりたい、資格を取得して一生安定な生活を送りたい、あるいは家族や友人から努力を認められたい。こうした動機は、一見モチベーションとして有用に見えますが、「自分が本当にやりたいこと」ではありません。他人からどう見られるかに重きを置いてしまうと、受験を自分で決意したにもかかわらず、誰かに資格勉強を「やらされている」状態になってしまうのです。

「やらされている勉強」は、やる気も成果も出ない

「与える人は希望を語り、与えられる人は不満を言い続ける」。私が受験生時代に本で出会った言葉です。「他人からどう見られるか」は、まさに与えられる人であり、そこにはやる気や成果はなく、最終的には不平不満しか残りません。受験における「与える人」とは、自分の合格を誰かのために役立てられる人です。苦労をかけた家族を喜ばせたい、友人に希望を与えたい、専門家としての能力を世の中へ役立てたい。勉強が長続きしない人にも、こうした思いは心のどこかに必ず残っています。今日から少しずつ、自分の中の「与える人」の比率を高めていく。そうすれば、結果としてモチベーションが高まるだけでなく、合格という自分に対する最高のプレゼントが手に入るはずです。

 

3.本当に達成したい目標か、考える

目標を、所与にしない

夢や目標は、今を充実させる大切な羅針盤です。でも、その羅針盤自体が正しいかどうかは、その道に進んでみなければわかりません。明らかに自分に向いていない分野、好きになれない分野は、そもそもの目標設定に誤りがあるのです。現在の公認会計士試験は、正しい努力をしていれば2~3年間で合格できるレベルだと私は考えています。空白期間があって延びるのは仕方ありませんが、どんな環境であれ、本気で2~3年努力して成果が出なかった場合は、その道自体が誤りである可能性が高いです。

人には、必ず才能がある

根拠はありませんが、「すべての人には、人に役立てられる何かしらの才能がある」と、私は信じています。会計士試験合格者に限っても、知識が豊富な専門家タイプ、コミュニケーションで信頼を勝ち取る営業タイプ、監査以外の新しい分野を切り開く変革家タイプなど、様々な才能を持った人たちがいます。当然、この中には「監査法人」以外の道が最適な場合もありえます。

だからこそ、「試験勉強で成果を出す」という分野が自分に合っていなくても、落ち込む必要はないのです。それよりも、「3年間勉強して気づいた自分の長所」にこそ、最大の価値があります。「計算は最後まで苦手だったけど、法律科目の独特の世界観に興味を持った」「暗記は苦手だけど、内容を理解して人に教えるのは得意」「経営学の歴史と多様さが面白く、もっと深く学びたい」。冷静になって自分を振り返れば、すでに手に入れているたくさんの財産に気がつくことができるのです。

 

おわりに

マイナス思考×ポジティブ思考で成果が生まれる

考え方には、プラス思考とマイナス思考、ポジティブ思考とネガティブ思考の二種類があります。前者は、プラスまたはマイナス要素(事実)に焦点を当てる考え方、後者は、肯定的または否定的に物事を捉える考え方です。私が推奨するのはマイナス思考×ポジティブ思考、すなわち、「マイナス要素を網羅的に把握したうえで、最大限、肯定的に捉える」という考え方です。

私も、合格2年目の繁忙期を終えて、いくつかの大きな失敗を経験しました。「一流の監査人になる」と周囲に宣言して始まったキャリアで、マネージャーが考える監査品質の期待値に到達できなかったのです。でも、少なくとも自分が考える「監査品質向上」にチャレンジはできました。また、今の私にできることは、経験豊富なマネージャーから少しでも多くの知識や監査への考え方をインプットし、次のアウトプットの精度を1%でも高めることだと、気づくことができました。トライアンドエラーはどんな目標を達成するにも欠かせない要素です。勇気をもってマイナス要素を洗い出し、次の目標に向かって、日々、肯定的に前進していきましょう。

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