試験への不安は、武器になる

目次

はじめに

不安は、合格に不可欠な「モチベーション」

合格してから2年目の繁忙期を迎えようとしているなか、メインで関与している監査チームに新卒の新人が加入しました。彼は非常に心配症で、社会人としてのスタートへの緊張から、仕事の失敗への恐怖、不安などからよく眠れないといった悩みを抱えていました。
元来、不安症な人にはネガティブなイメージがありますが、その裏には「絶対に成功したい」「どうすれば改善するか」という向上心が隠れているものです。不安の根源にある「どうすれば合格できるのか」という貪欲さに着目することで、不安をラストスパートの起爆剤にすることができます。そこで、今回は受講生の皆さんに向けて、不安に対して必要な心構えと、それを合格に結び付けるための方法をご紹介いたします。

 

1.自分を信頼する

原動力は、自分を信じる力

不安を武器にするために最も必要なのは、自己への信頼感です。自己への信頼感とは、幼少期に親から与えられる無条件の愛情によって育まれる自尊心です。自尊心を育むためには、「合格を懸命に目指す自分」を無条件で受け入れることが必要です。調子のよい時も悪い時も、すべてひっくるめた「自分」を信頼することで、感情が安定し、「不安」が「向上心」へ昇華するのです。

本当の自信には、結果は必要ない

答練や模試の結果で本試験直前に大きくモチベーションを落としてしまう人がいますが、気にする必要はありません。不安と向き合うための「本当の自信」とは、自尊心や無条件で自分を認める「自己肯定感」であり、自分の存在そのものに意義を感じることが重要だからです。そのためには、目先の結果ではなく「なぜ会計士になりたいのか」「会計士になってどんなことを成し遂げたいのか」といった大きな目標に着目し、それに対して愚直に努力する自分の姿勢を認めることが大切です。

 

2.課題を明確にする

頭の中の不安を、ノートに書き出す

不安と上手く付き合えない人は、頭の中で不安が不安を呼び、悩みが増え続けてしまうという傾向にあります。これを防ぐためには、自分の頭の中にどんな不安があるのかを、しっかりと言葉として書き出すことが必要です。試験前の「どうしよう」という漠然とした不安は、実力が足りないこと、弱点科目、当日への緊張、不合格時の進路など、さまざまなテーマが詰まっているはずです。これらをさらに掘り下げていけば、今の自分が向き合うべき本当の課題が見えてきます。この明確な課題こそ、「不安」が生み出す最大の副産物なのです。

課題に対して、悩まず、考える

たいていの場合、不安の根源にある課題は、「最終目標が何か」の一点に絞り込まれます。たとえば、最近、私は目標としていた人事評価を得られず、深く落胆するとともに「このままの成長スピードでいいのだろうか」という漠然とした不安にかられました。しかし、そもそもの目標は、「10年間で一流の会計士になり、圧倒的な実力を持って独立起業する」ということ、起業の目的も「世の中を感動させるサービス・価値を生み出したい」というものでした。人事評価は、あくまでその途中経過に過ぎません。本当の課題とは、「どうすれば監査品質を向上できるか」そして「何のために一流になりたいのか」ということだったのです。まずは仕事に没頭し、評価より周囲を感動させる存在を目指そう。このことに気づいてから、「人事評価」という不安が、成長へつながる強力なバネになりました。

 

3.不安を受け入れる

不安を、大切にする

不安がない人生とは、どんなものでしょう。何にも自信と能力があり、不自由のない生活。こうしてみると、意外にも平坦で退屈なものに思えます。本来、不安とは、自分に必要な壁と、それを乗り越える能力を提供してくれるチャンスなのではないでしょうか。もし、受講生の皆さんの中に「不安症」な人がいたら、それは貴重な才能です。今回ご紹介した不安との向き合い方を実践すれば、必ず不安を強力な武器に変化させることができます。そのためにも、「不安」という感情に対して、ポジティブなイメージを持ちましょう。不安を大切にすることは、不安を味方につけるために不可欠なのです。

「不安症」の原因は、自分への信頼感が足りないこと

日頃から不安に振り回されている人は、不安自体ではなく「自分への信頼感」に原因があります。感情を安定させるためには、成果に左右されない自分への信頼感が必要だからです。もちろん、自尊心や自己肯定感は一朝一夕に得られるものではありません。でも、「今の自分」を少しずつ認めることは、誰にでもできます。私は、就職活動での挫折をきっかけにして受験をはじめたこともあり、試験合格とともに自己肯定感の向上が受験生時代のテーマでした。その一環として、石井先生の『非常識合格法』に書いてあった「今日の達成ノート」を作り、その日にあった「良いことだけ」を日々ノートに綴ることで、自分への自信や信頼感を高めていきました。今でもその習慣は継続していて、不安や悩みに駆られたときは必ず見返すようにしています。大切なことは、「今現在の等身大の自分」を受け入れる工夫です。尊敬する人や先輩合格者、ビジネス書など、なんでも良いので自分にフィットする方法で試してみてください。

 

おわりに

等身大の自分を受け入れる

これまで多くの受講生から学習相談を受けて気づいたのは、会計士試験合格を自分の自信にして、そこから何か社会に役立つ仕事をしたいという人が多いことでした。この自信は「自尊心」と同義で、「自分にはこれだけの価値がある」という自分への信頼感です。でも、私は試験合格前から自尊心を高めることは十分可能だし、むしろ合格へ向けて懸命に努力するその自分自身を信頼して欲しいと強く願っています。できることも、できないことも、自分のすべてをいったん受け入れる。そのうえで、「昨日の自分」を最大のライバルにしながら、成長を目指してみてください。同じように見える日々の学習でも、心構え次第でモチベーションが変化することを実感できるはずです。

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