【簿記に対する苦手を克服するには】その① 簿記の学習に関するアドバイス

目次

1. はじめに

多くの人にとって、人生の中で「簿記」という科目を学ぶ機会はどれくらいあるでしょうか?簿記を学ぶことになるのは、概ね次のような機会が多いのではないでしょうか?

① 商業高校や大学の商学部・経営学部などに進学した場合
② 就職後、経理部など簿記が業務知識として必要となる場合
③ 簿記検定や公認会計士、税理士などの資格取得を目指した場合

このような機会がなくとも、企業などでビジネスに携わる以上、数字で表れる結果を理解しておく必要があります。簿記を学んでおくことは幅広い分野で役に立つことは間違いなく、より多くの人々に学んでいただきたいと思っております。

ところが、世の中には簿記に対して苦手意識を持っている方も多くいるのが現状ではないでしょうか?目的意識を持たずに進学した学校で簿記を勉強させられている方はもちろん、自らの意思で資格取得を目指す方であっても、「簿記が分からない」とか「私は簿記には向いていない」という声を聞くことがあります。

公認会計士や税理士といった専門家を目指すのはもちろん、簿記3級の合格を目指す場合でも苦手意識が大きな障害となります。当然、お仕事で簿記の知識が必須とされている方にとっては死活問題となるでしょう。資格取得に限らず、せっかく簿記と関わった以上は苦手意識を克服し、成果に結び付く学習をしていきたいものです。

そこで、今回から3回に分けて、少しでも多くの方が簿記の苦手を克服するのに役立つ記事を書いていきたいと思います。各回の内容は、次のように予定しております。

  • 第1回(今回):簿記の学習に関するアドバイス
  • 第2回:必ず理解・暗記しておいていただきたい初歩中の初歩
  • 第3回:仕訳とは何か?改めて考えてみよう!

第1回(今回)は、学習に当たって意識していただきたい点、学習方法などのアドバイスを示していきます。

どんな分野でも、知らないことを学ぶ、できないことをできるようにする際にはそれなりのエネルギーが必要です。しかし、苦手意識を持った状態であるか否かでは、学習することに対するストレスが全然違ってきます。苦手意識が根付いてしまうと、このストレスに耐え切れず挫折してしまいがちです。それに対し、苦手意識を克服できると勉強が楽しくなり、エネルギッシュに学習をこなしていくことができます。このシリーズの記事が、簿記を学習する皆さまのお役に立つことができれば幸いです。

 

2. 苦手意識の原因

簿記に対して苦手意識を持ってしまう原因を考えてみると、次のようなケースが多く見受けられます。

① 勉強させられている感を持ってしまっている
② 「難しいもの」という思い込みを持ってしまっている
③ 大切な基礎(下記3.でいう「初歩中の初歩」)をおろそかにしている

上記①については、たとえ学校や職場で勉強せざるを得ない状況になって方であっても、自ら積極的に学習に取り組めるように意識を持っていただければと思います。簿記を学習することは、「数字を利用して企業の状況を把握する」というスキルに直結します。また、適度に頭を使うため「脳トレ」の1つにもなるのではないかと思われます。

②については、別の記事(数学が苦手でも簿記の試験はクリアできる!)でも触れているとおり、日本語を正しく読むことさえできれば十分に理解・習得していくことは可能です。簿記に関する資料や試験問題を見ると、なんだか堅苦しくて難しそうに思えることもありますが、けっしてなんかいなものではございません。

むしろ簿記は、「一見難しそうなことが理解できる快感」を手軽に得やすい分野ではないかと思います。一見難しそうなことが理解できると、他の難しそうなことも理解できるのではないかという自信につながります。そのため、それまで勉強が嫌いであった方でも、簿記をきっかけに勉強が好きになることがあります(私もそのタイプです)。

③については下記3.でも触れていますが、「初歩中の初歩」をおろそかにしていることが、3級はもちろん1級や公認会計士試験といった難関試験で苦戦する要因にもなりえます。学習レベルに関係なく、分からなくなれば基礎・基本に戻る、基礎を大切にするということが重要です。

 

3. 苦手克服の目安

学習レベルは人それぞれですが、ひとまず「日商簿記3級を高得点かつ理解を伴って合格できる」レベルを目指していただくと良いのではないかと思います。2級以上を学習中の方であっても、3級までで習う基礎・基本を理解していないことが原因となって学習効果が得られないということはよくあります。すでに日商簿記3級に合格している方であっても、「高得点かつ理解を伴って」という水準が満たせるかどうかを確認していただければと思います。

3級合格を目指して学習中の方は、可能な限り「理解を伴った」知識を積み重ねていけるようになればその後の学習も順調に進むことでしょう。

「理解を伴って」というのは、処理や計算について、ご自身の中で納得できる理由がある状態を意味します。具体的には、次のようなイメージになります。すべての計算・処理について1つ1つの理由が分かるというまではいかないものの、「意味も分からず、丸暗記を積み重ねる」状態ではないことが大切です。

・例① 銀行から現金100円を借り入れた。

→ 仕訳のパターンを暗記しているだけでなく、「現金という資産が増えたので借方側に現金、借入金という負債が増えたので貸方側に借入金」といった根拠を伴って仕訳ができる。

・例② 商品を売り上げ、代金200円は掛とした。

→ 仕訳のパターンを暗記しているだけでなく、「売掛金という資産が増えたため借方側に売掛金。また、その原因は売上という収益の発生が発生したことにあり、貸方側に売上」といった根拠を伴って仕訳ができる。

・例③ 日々の取引がどのようなルールに沿って仕訳され、集計され、最終的な財務諸表(B/S・P/L)まで繋がっていくのか、その仕組みを理解している。

→ これと関連して、1年間を通じた簿記に関する手続の一巡を知っておくことも大切です。

なお、簿記は基礎・基本を積み上げていくことで、高度なことも理解・習得できるようになる分野です。公認会計士試験に合格するためには1級までの学習内容が重要な土台となります。1級に合格するためには2級までの学習内容は当然に理解しておくことが前提となります。2級に合格するためには3級までの学習内容が重要な前提知識となります。そして、3級に「高得点かつ理解を伴って」合格するためには、簿記の仕組みに関する「初歩中の初歩」をきっちり理解・暗記しておくことが重要です。

突き詰めていくと、簿記の仕組みに関する「初歩中の初歩」は、どのようなレベルであれ一定の成果を出すためには外せない知識となります。このシリーズの第2回・第3回では、この「初歩中の初歩」を解説していくようにしますので、楽しみにしていただければと思います。

 

4. 簿記の学習を効果的に行うための心構え

簿記の学習を効果的に行うためには次の3点が重要です。

(1) 手を動かして身に付ける「技術」と捉える

簿記を習得するには、「問題を解く」といったアウトプットが最も効果的です。簿記には一定の仕組みやルールがありますが、それを行う企業には多種多様な業種があり、様々な種類の取引を行っております。実務では、その多種多様な業種の様々な取引を、一定の仕組みやルールに当てはめて記帳・集計していくことが求められます。当然、試験でもそのような「当てはめる」能力が重要と考えられます。この「当てはめる」能力を、「技術」の1つとして練習していくことが簿記学習の根幹ではないでしょうか。

(2) 基礎を大切にする

基礎を大切にするというのは、このシリーズの記事を通じて最も強調したいことです。「問題を解く」というアウトプットが重要とはいえ、そこでは「なぜそのように処理・処理するのか」を考えながら行っているかどうかが成果に大きく影響します。

「なぜそのように処理・処理するのか」を考えるためにも、その土台となる基礎(突き詰めると「初歩中の初歩」)を頭に入れておくことが大切です。「問題を解く」ことと並行し、分からないこと・気になることはテキストをしっかり読むようにしましょう。

(3) 日本語を正しく読むための努力を怠らない

簿記の問題を解くにあたっては、問題文などの日本語を正しく読むことが必須となります。学習に慣れていないうちは、問題文を読み間違えてしまうこともよくあると思います(すでに日本語能力が高い方は大丈夫だと思いますが)。主語は何で、誰が何をして、当社はどういう立場か、正確に読み取ることを意識して練習を積み重ねましょう!使う頻度は少ないと思いますが、分からない日本語があれば国語辞典なども活用するようにしましょう。

 

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