「出張時はノートPCで学習!通勤時間増は勉強時間増に!(働きながら公認会計士試験に一発合格)」 阿部 司さん

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公認会計士を目指したきっかけ

私は高校を卒業した後、税理士を目指して勉強していましたが、志半ばで就職してその後は税理士の勉強もやめてしまいました。
社会人となって10年が経った頃、この10年で自分は何を成し遂げたのだろうかと考える時間がありました。
そこで、人生をかけた大きな目標に挑戦しようと公認会計士を目指すことにしました。

クレアールを選んだ理由

クレアールを選んだ理由は2つあります。

  • 1つ目は、他の大手予備校と比べて費用が安いこと。
  • 2つ目は、社会人で仕事をしながら一発合格できるカリキュラムがあること。

私が特に重視したのは2つ目の理由です。申込前に、クレアール受講生で実際に社会人として働きながら一発合格された方のお話を聞く機会がありました。実際に社会人一発合格を達成されている方の話を目の前で聞けたことで、自分にとっても不可能ではないとイメージできました。

クレアールの良かった点

社会人である私が、学生や勉強に専念している受験生と対等に渡り合うためには、効率的な勉強方法が必要不可欠でした。70点取れば合格の試験であれば70点取れるだけの勉強をすれば十分であり、100点を取るための勉強は必要はありません。そして、その勉強方法は最短ルートである必要がありました。

クレアールは他の大手予備校より費用が安いですが、その理由の1つは授業のコマ数や教材の量が少ないことがあると思います。それでも実際に社会人で合格者された方がいるので、ただ少ないのではなく70点取るための効率的なカリキュラムになっているのだと、私は思いました。これは、限られた時間で効率的な勉強方法を必要としていた私のニーズと一致していました。

具体的な勉強方法

・はじめに

勉強を始める前に、3つの決め事をしました。

  1. 「時間がない」という言い訳をしない
  2. 生活リズムを朝型にする
  3. 全ての勉強記録をつける

1は、人に与えられた時間は1日24時間と平等であり、それをどのように使うかは自分次第だからです。仕事と両立してやると決めた以上、全ては自己責任であるという覚悟を決めました。

2は、仕事の都合で夜はあてにならないので、確実に時間を確保できる朝を中心に勉強することにしました。毎朝4時に起きて22時に寝る生活を心がけました。

3は、試験本番のプレッシャーを前にして、何が自分の心の支えになるのだろうかと考えた時に、積み上げた勉強時間しかないと考えたからです。携帯のアプリで科目ごとに全ての勉強記録をつけて、試験本番直前にそれを見て「やる事は全てやった」と自分に言い聞かせました。逆に言えば、試験当日にそう言い聞かせられるように毎日サボらずにやろうと決めました。

ちなみに私の場合は、短答式試験までに約1200時間、論文式試験までの累計で約2700時間勉強しました。

私が社会人受験生として重視したのは、いかに効率よく隙間時間を活用して、勉強に専念している受験生に劣らない勉強量を確保するかです。具体的には通勤時間やお昼休みはもちろん、歩いている時間までもフルに活用することです。

章末問題のスピーチをスマホのアプリに自分で録音して、通勤時間のうち歩いている時間は常にこれを聞いていました。また、これは賛否両論あると思いますが、テキストは基本的に紙ベースではなくPDFでクラウドに保存して、これに書き込みやマーカーをしてスマホでも確認できるようにしました。満員電車や仕事のお昼休みでも、必要な時にいつでもテキストを確認できるようにするためです。

授業はもちろん全て倍速で聞きました。これは勉強を効率的に進める上で大きな助けになりました。私の総勉強時間のうち1/3以上は、机のない場所での勉強時間になります。講義と電卓の必要な勉強は机で、理論は隙間時間でといったイメージです。

〈財務会計論〉

私は税理士の科目合格を持っていたので、短答式試験の財務会計論は免除でした。その分短答式試験は他の科目に集中できたのですが、短答式試験が終わるまで財務会計論は全く手を付けなかったので、短答式試験が終わった時点では他の受験生に対して学習が大幅に遅れている状態でした。
簿記に関しては、問題集は一周しかやらずにテキストの例題を中心に復習しました。特に連結や企業結合は細かくやり出したらきりがないと割り切って、テキストの例題だけをしっかりやりました。

財務諸表論は、まず暗記が必要なものと不要なものを区分しました。本試験で配布される参考法令基準集に載ってるものは「載っている」という事だけ頭の片隅に入れて、そこに載っていない理論の背景など、暗記が必要なものだけを繰り返し読み込みました。

〈管理会計論〉

・短答式試験

管理会計論の理論は計算とリンクしているものが多いように感じましたので、計算で行なっていることを理解する様に意識しました。

・論文式試験

論文式試験でも理論は2~3行で簡潔に答えさせる問題が多いため、理論は考え方のメリット・デメリットを中心に勉強しました。
計算に関しては、短答式試験時点の計算力を維持することだけ考えました。

〈企業法〉

・短答式試験

条文の持込が不可のため細かい論点まで覚える必要があります。広く浅くのイメージです。私の場合はテキストに付属している約700問の◯✖️問題を全てスマホのアプリに録音して、通勤時間の特に歩いている時間に繰り返し聞いていました。この問題は回答が全て✖️になるように作られており、どこが✖️なのかを考えさせるようになっています。これにより、自然に論点となる部分の理解が深まり、私にとっては最高の教材でした。条文をPDFで保存して、重要なものは隙間時間で何度も読み返しました。

・論文式試験

短答式試験とは違い、基本的な論点のつながりや深い理解が求められるようになります。狭く深くのイメージです。問題を見てどのような論点が関わってくるのか、その中でも重要な論点は何かを見極める力が必要だと思います。判例でどのように取り扱われたかも非常に重要な知識となるので、PDFテキストで「最判」など判例に関する単語で検索して、重要な判例は繰り返し読み込みました。

また、論文式試験では条文番号の記述が必要になりますが、どこに条文が載っているか探すのに結構時間がかかります。そのため、すんなり引けなかった条文があれば付箋を付けて、付箋が付いている条文だけをどこにあるか見直すという作業も定期的に行いました。本試験でも配布された参考法令基準集を使用するため、この作業は実際の参考法令基準集で行いました。

〈監査論〉

全体としての感想ですが、個人的には最後まで1番ピンとこない科目でした。実際に監査を行なっていない身で具体的な手続きなどのイメージが付かず、最後まで消化不良でした。しかし、全国模試などでは苦手なはずの監査論が得点源になっていました。つまり、他の受験生も同様に苦戦している科目なのではないかと思います。

・短答式試験

基本期はテキストを使用して大枠の流れを理解することに意識しました。その後、テキストの細かい部分へとシフトしましたが、答練が始まりそれだけでは足りない事に気がつきます。短答式試験は、やはり広く浅くが基本となるため、監査基準委員会報告書を全て読み込み、答練に出てきた部分を中心に何周も読み込みました。

・論文式試験

短答式試験とは違い、監査基準委員会報告書は配布されるため、配布されない監査基準改正の背景や各種基準が作られた背景などを中心に勉強しました。
企業法同様に本試験での時間節約のため、監査基準委員会報告書のどこに何が記載されているかを見直す作業も定期的に行いました。

〈租税法〉

私の個人的なイメージですが、前提として絶対に時間内で終わらない試験なので、いかに効率よく点数を拾えるかが重要かと思います。中でも法人税が全体の半分以上を占めるため、法人税、所得税、消費税を、7:2:1くらいの割合で勉強しました。

理論問題については、基本的には参考法令基準集に答えが載っているので、いかに効率よくその条文を探せるか、つまりどこに何が載っているかを把握していることが重要だと思います。

計算は基本的な論点の計算フローをテキストで何度も繰り返し読み込み、これを取りこぼさないことだけを考えました。あくまで部分点の積み重ねを狙い、費用対効果の悪い難しい論点は流す程度の勉強しかしませんでした。

〈経営学〉

・管理論

私が調べたところ、受験生の間では経営学はボリュームが少ないという意見が多数ありましたが、理論部分については決してボリュームが少ないとは思いませんでした。私は全てを細かく理解することは早々に諦め、テキストで太字となっている重要な単語を穴埋めで回答できること、その単語の意味を説明できること、その単語に関連する論点のイメージができることを中心に勉強しました。

・財務論

ボリュームは決して多くはないと思いますが、それぞれの論点について深い理解が求められると思います。問題の資料の一部が与えられず、周りの数値から推計できる程度の応用力が求められます(本試験も同様でした)。普段から公式の暗記はもちろんですが、数値と数値の関係もきちんと理解しておく必要があります。

学習期間中の出来事

学習を始めてから論文式試験までの1年3ヶ月、私の身の回りで多くの変化がありました。

  1. 学習を始めてすぐに3ヶ月間沖縄に出張することになりました。もちろん教材を持ち込みノートPCで授業を受け、休日に同僚が観光を楽しむ間も私は一日中ホテルで勉強し、一度も観光することなく帰ってきました。
  2. 沖縄出張後に人事異動により、通勤時間が30分から2時間になりました。その分電車での勉強時間が増えました。
  3. 短答式試験合格後の3月に、第一子が生まれました。この時期は一時的に勉強量が激減しました。

直前期の不安

私は短答式試験、論文式試験共に、試験直前で他の予備校の全国模試も受験しました。結果は、全ての試験で合格圏を取ることができず、一時は絶望しました。
しかし、この全国模試の失敗から自分に何が足りないのかを学び、軌道修正することができました。現在のポジションが低い方が本番までに伸びしろがあるとポジティブに捉えて、一気にごぼう抜きしてやろうと勉強量を増やしました。今思えば、短答式試験も論文式試験も全国模試以降の直前期で一気に実力が伸びたと思います。

短答式試験 総合88%

〈企業法 100%〉

正直分からない問題がなく、大幅に貯金できることが期待できました。これがその後の心のゆとりに繋がりました。

〈管理会計論 74%〉

企業法で貯金ができたので、足切りにならないこと、できるものだけきちんと回答することを心がけました。

〈監査論 90%〉

いくつか分からない問題がありましたが、深く考え込むことなく冷静に全て回答できました。

論文式試験 総合55.21

〈監査論〉58.10

個人的にはあまりマークしていなかった論点が出題されましたが、持てる知識で使えるものを絞り出しました。実務において実際に行うべき手続きも出題されましたが、ここは普段経理部のマネージャーとして監査人とやりとりしていた経験を活かして回答できたと思います。
私は普段から各問の解答欄の8割程度しか埋められず、本試験でも少し空白を残しての回答となりましたが影響はそれほどなかったようです。

〈租税法〉51.30

理論は一問にかける時間を決めて、明らかに条文探しに時間がかかるものは捨てました。計算では絶対にやってはいけない時間配分間違えにより、所得税と消費税の簡単な問題を空白で提出してしまうという痛恨のミスをしました。何とか足切りにだけはならないように祈ってました。

〈会計学〉56.66

・午前

計算は基礎答練レベルの簡単な問題が多く、理論もそれに付随する論点であったので、他の受験生と差をつけられないように慎重に解きました。答練期に一度も時間内に終わらなかった管理会計が本試験で始めて時間内に終わりました。

・午後

理論は絶対に空白にしない、初見で難しそうな連結・企業結合は最後まで解かない、というのを初めから決めていました。結果的に、連結・企業結合は簡単で回答可能な部分までも取りこぼすというミスをしましたが、理論は自信のない問題も全て回答してきました。

〈企業法〉57.15

まずは大問2問を一通り読んで、すぐに論点がイメージできる方から回答しました。
時間配分は各問1時間、最初の20分で関連する論点と条文番号を余白に書き出して、重点的に触れるべきものと簡単に触れるだけのもの、論述の構成を考え、残り40分で書くというのを徹底しました。

〈経営学〉49.95

・管理論

単語を穴埋めさせる形式で基本的な論点が多かったように思います。初見で全く分からないものは、考えても時間の無駄なので適当に回答して後で戻ることはしませんでした。

・財務論

基本的な論点であるが問題文に欠けている情報を自分で推計しなければいけない問題があり、最初はそれに気付かずに焦って何度も問題文を読み返しました。冷静に考えれば基本的な知識で解ける問題でしたが、それに気付かなかったらと思うとゾッときます。その他、全く分からない問題もありましたが、時間をかけることなく先に進みました。

論文式試験期間中の過ごし方

各科目が終わる度に自分のミスに気が付き、その都度動揺をしました。例えば私の場合、監査論で「誤謬」を「誤診」と書いてしまったり、租税法の簡単な問題を空白で提出してしまったりというミスにすぐに気が付いてしまいました。それでも過ぎた時間は戻らないので、残っている科目にベストを尽くす事だけを考えました。

論文式試験後の過ごし方

自分で分かっているだけでも、最終的に前述のようなケアレスミスが10個以上あったと思います。そのため解答速報を見るのが怖くて、結局合格発表まで一度も見ることはありませんでした。終わった試験のことは考えずに、今まで勉強に専念させてくれた家族との時間を大切にしました。

合格発表

解答速報を見ていないので、何の手応えもないままこの日を迎えました。最後は運頼みとばかりに、トイレで一人スマホで確認しました。自分の受験番号を見つけた時は、思わず声が出てしまいました。

感謝

私の挑戦は家族、特に妻の理解なしにはできませんでした。妊娠中、出産後も試験勉強している私を応援してくれ、試験直前には娘を連れて実家に帰ることで私が勉強に集中できる環境を与えてくれました。

また、週末でもずっと机で勉強している父の背中を寂しそうに見ている娘を見て、絶対に一回で受からなければいけないと自分に言い聞かせました。

全面協力してくれた家族に心から感謝すると共に、今後恩を返していかなければと思っています。

最後に

公認会計士試験は決して簡単な試験ではありませんが、特別な才能を必要とする試験でもないと思います。あえて言うなら「続ける才能」、これに尽きると思います。やった分だけ合格に近づきます、そしてそのやり方を間違えない事と何よりもやりきることが重要だと思います。

今回の体験記は、私の経験がこれから公認会計士試験に挑戦しようとしている方(特に社会人の方)たちにとって少しでも役に立てばと思い書きました。私が社会人合格者の声に背中を押された様に、私も少しでも皆さんの背中を押すことができれば幸いです。

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