学習スタートから合格までの軌跡
2021年1月 簿記3級から学習開始(独学)
2021年3月 簿記2級合格
2021年7月 クレアールで簿記1級講座の学習開始
2021年10月 公認会計士講座の学習開始
2022年5月 令和4年度第Ⅱ回短答式試験→不合格
2022年12月 令和5年度第Ⅰ回短答式試験→合格
2023年8月 令和5年度論文式試験→不合格
2024年8月 令和6年度論文式試験→合格
公認会計士を目指した理由
私は大学で語学を専攻しておりましたが、語学とは別に、それを生かすための専門性を身に付けたいと考えていたため、大学入学後から自分で様々な分野の勉強に手を出していました。
その中で最も面白いと感じたのが「簿記」だったため、会計の専門性を身につけたいと思い、公認会計士を目指すことにしました。
クレアールを選んだ理由
1つ目は、クレアールに資料請求をした際に、石井先生が書かれた非常識合格法の書籍をいただき、その中に書かれていた勉強法がそれまでの私の勉強法と重なる部分が多く、共感したからです。
合格に本当に必要な教材を絞り込んで、それだけを何度も繰り返すという勉強法は、実際に公認会計士試験の合格に大きく役立ちました。
2つ目は、費用が他校と比較してリーズナブルだったことです。予備校代は、学生にとっては大きな出費ですが、クレアールは割引制度が充実していたため、費用面でも魅力的でした。
3つ目は、通信講座に特化していた点です。私は、公認会計士を目指す前から大学在学中に交換留学する計画を立てていたため、学習開始段階から留学との両立を視野に入れていました。
留学と両立するには通信講座を選ぶ以外ありませんので、通信講座に定評のあるクレアールを選びました。
具体的な学習方法
各科目に共通する学習方法
<講義の聞き方>
基本的に再生速度を速めて視聴していましたが、初めて学ぶ科目の講義はテキストに書き込みをするために頻繁に一時停止していたので、最初は等倍で聞いても良かったと思っています。答練の解説などは倍速で聴いていました。
<テキスト重視の学習>
テキストと答練どちらも大切ですが、どちらかというとテキストを重視していました。答練はそれだけでは網羅性を担保できないので、時間がない科目はテキストの例題等を完璧にする方を優先していました。
<復習のタイミング>
エビングハウスの忘却曲線を意識して、1日後、3日後、1週間後に復習のタイミングを設けるようにしていました。科目数が多くなってくると、1週間後の復習は疎かになってしまいましたが、1日後、3日後の復習は欠かさずにやっていました。
<暗記の仕方>
理論科目の暗記については、自分で作った問題をwordファイルに書き込み、wordのコメント機能を使ってその問題に対する答えをコメントに書いていました。
例えば、監査論であれば、「固有リスクは何と何を組み合わせて評価するか?」という問題文をwordに書き込み、それに「重要な虚偽表示が生じる可能性と当該虚偽表示が生じた場合の影響」というコメントをつけるといった具合です。
復習の際はコメントを非表示にして答えを思い浮かべられるか確認していました。問題は◯×形式ではなく、オープンクエスチョンの形で作っていました。
<過去問について>
時間の制約上、過去問は目を通していただけで解いてはいませんでしたが、もう一度公認会計士試験を受験するなら過去問(特に論文)も繰り返し解くと思います。本試験特有の解きづらさや時間配分の難しさがあるからです。
また、過去問とほぼ同じ形式の問題が出ることもあるので、やって損はないと思います。
勉強時間について
あくまで参考ですが、勉強時間は短答合格まで(簿記検定含む)で1900時間、論文対策で1300時間ほどを要しました。
内訳は、短答合格までは財務計算40%、財務理論10%、管理25%、企業15%、監査10%、論文対策では財務計算17%、財務理論7%、管理16%、監査8%、企業12%、租税23%、経営17%でした。
勉強時間の記録には、「スタディプラス」というアプリを使用していました。
科目別の学習方法
簿記1級
簿記1級のテキストの例題をひたすら繰り返しました。簿記1級の範囲は公認会計士試験の計算科目(財務会計論と管理会計論)の範囲とほぼ重なっており、公認会計士試験の土台を作るものだと思います。
私は初学の段階では、理解できたと思っても翌日にはすぐ忘れており、1級の例題を全て解けるようになるにはかなりの時間を要しました。最初の短答式試験を受験した際には、とにかく短答に早く受かりたいという思いから1級の例題がマスターできないうちに会計士講座の勉強に進んでしまい、結局箸にも棒にもかからない成績で不合格になってしまいました。
その後、1級の例題がほぼ全て解けるようになるまで繰り返して、やっと短答答練の問題が解けるようになってきたので、簿記1級の例題は公認会計士試験の最初の山場だと思います。
短答式試験
◆ 財務会計論(簿記)
講義を一通り視聴した後は、簿記1級のテキストと公認会計士講座のテキスト(基本連結・応用連結・企業結合)の例題を繰り返し解きました。
基礎講義は、簿記1級のテキストと重なる論点が多かったので、簿記1級で重点的に扱わなかった分野(セグメント、収益認識など)に絞って視聴していました。
その後、短答答練を繰り返し解きました。特に、応用短答答練3回分は、制限時間の半分で満点が取れるようになるまで繰り返しました。これは、上述の石井先生の著書に書かれていた勉強方法を参考にしたものです。
私は短答本番まで初見の答練を制限時間内に解き終わったことはありませんでしたが、この勉強方法を実践したおかげで基本的な問題を速く正確に解けるようになり、本番では30分ほど時間が余ったことを覚えています。
得点率も8割ほどで、配点が高い財務会計論で高得点を取れたことが短答合格に結びつきました。
◆ 財務会計論(財務諸表論)
講義を視聴後、実力養成問題集を解きました。ただ、直前期は問題集よりもテキストに付属していたスピーチ課題に取り組んでいました。
実際に声に出していたわけではありませんが、簡潔な解答を自分で余白に書き、問題をみてその解答を想起できるか確認していました。
◆ 管理会計論
講義を視聴後、実力養成問題集を解き、短答答練も繰り返し解きました。やり方は、財務会計論と同じです。理論については、暗記が曖昧な論点を上述のwordファイルに書き込んで覚えていました。合格した年の得点率は78%でした。
◆ 企業法
講義を視聴後、実力養成問題集を解きました。しかし、合格した年には問題集は使いませんでした。
その代わり、テキストを隅から隅まで読み、右側の余白部分に自分で作った問題を書き込んで、直前期には余白の問題だけを繰り返していました。載っている表もできるだけ覚えました。
短答答練は、合格した年は解いていませんでした。本当は解いた方が良いと思うのですが、理論科目の短答答練は知識の確認に過ぎないので、テキストの論点を網羅的に潰す方が優先順位は高いと思っていました。
私が受験した年の企業法はかなり難しかった(平均得点率39.6%)のですが、テキストを網羅的に読み込んでいたおかげで、65%でなんとか耐えることができました。また、短答対策の段階から条文操作に慣れておくことも重要です。
◆ 監査論
講義を視聴後、実力養成問題集を解きました。しかし、企業法と同様、合格した年には問題集は使いませんでした。その代わり、テキストの中で覚えられていない論点を上述のwordファイルにまとめて、それを繰り返していました。
また、短答答練も合格した年は時間がなく解いていませんでした。ただ、監査論の場合は、テキストで扱わなかった論点を答練で補足することがあるので、答練も解いた方が良いと思います。合格した年の得点率は75%でした。
論文式試験
◆ 会計学
計算は簿記1級や会計士講座テキストの例題・問題集を繰り返していました。答練も解きましたが、中々会計学に時間を割くことができず、完璧になるまで繰り返したとは言えません。本試験の成績も計算はあまり良くありませんでした。
理論は財務・管理ともに論文対策の問題集を使いました。特に、財務の論文対策集には力を入れて取り組みました。論文対策集の解答は、会計基準の「結論の背景」の文言をそのまま載せていますが、私はこの解答をできるだけそのまま覚えていました。
合格した年の本試験では、第4問(財務諸表論)が典型問題ばかりで、偏差値は伸びないと思っていましたが、蓋を開けてみると第4問の偏差値が67もありました。
結果的に、この貯金のおかげで会計学全体の偏差値も53.13となり52を割らずに済みました。実際の採点基準は分かりませんが、個人的には基準通りの文言で答案が書けていたから高得点を得られたのではないかと思っています。
◆ 企業法
主に、論文対策集を使いました。特に、前半の30問は繰り返しやりました。後半部分は時間が足りず手をつけられませんでしたが、やっておけばもう少し実力がついたと思います。
論文対策集に載っていない論点はテキストと条文で確認していました。本番の偏差値は49.75でした。
◆ 監査論
論文式試験の監査論は、苦手科目でした。そもそも勉強時間が少なかったのもありますが、実務色が強い科目でイメージが湧きづらかったこと、何をどこまで暗記すれば良いのか分からず中々勉強法が確立しなかったことなどが理由です。
1回目の論文式試験では、監査基準前文の暗記ができていなかったことが不合格の原因の一つだったため、2回目の本試験では前文で重要だと思った箇所をwordファイルで暗記しました。
結果的に、2回目の時は前文からはあまり出題されなかったのですが、いつ出てもおかしくないので前文の暗記はすべきだと思います。
また、2回目の本試験では、時間配分を間違えて第一問の問題1問1を白紙で提出してしまい、偏差値が43.10まで下がってしまいました。時間配分は本当に大切です。
◆ 租税法
論文対策で最も多く時間を割いていたのは租税法です。範囲が広いため、復習のペースを守ることを重視していました。クレアールの租税法のテキストは合格に必要な論点に絞って作成されており、特に法人税法は1冊目のテキストに頻出論点がまとめられていたので、効率的に学習できました。
租税法では問題を解くことを重視しており、復習する時もテキストの練習問題を解いてから、曖昧な論点をテキストに戻って確認していました。本試験の偏差値は53.90でした。
◆ 経営学
経営学はあまり時間をかけられず、答練も解けませんでしたが、テキストだけは完璧にできるようにしていました。具体的には、経営管理論はスピーチ課題とテキストの太字の用語を覚え、それができたら、「暗記マーカー」というアプリを使って、テキスト中の覚えたい用語や文をマーカーで隠して暗記していました。
財務管理論は、テキストの章末の問題を全て解けるようになるまで繰り返しました。直前期には模試も繰り返し解きました。テキストで扱っていない論点を補足することがある(特に経営管理論)ので、本来は答練も解くべきだと思います。
経営学は、論文式試験の最後の科目で疲れている時に解く科目ですが、私はこの経営学で偏差値60.15を取ることができ、なんとか全体のボーダーを52.3まで引き上げることができました。
5科目目までで合否は決まっていると思わずに、最後まで諦めずに集中力を保つことが大事だと実感しました。
クレアールで学習して良かった点
教材の量が適度であったことが最も良かった点だと思っています。教材の少なさを売りにしていることに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはクレアールの教材をこなすだけでもかなり大変でした。
結果的に手をつけられなかった答練もあります。もし他校に入ってもっと多くの教材を渡されていたら最後まで勉強を続けられなかったかもしれないので、適度な教材の量で勉強を続けるモチベーションを保てたところが良かったと思っています。
また、冒頭でも触れましたが、私は受験勉強中に長期留学(2022年10月〜2023年7月)を挟んでおり、2回目の短答式試験は一時帰国して受験しました。留学先でも勉強を続ける上で、全ての教材がPDFでも利用できた点は非常に助かりました。
最後に
私が留学と両立しながら大学在学中に合格できたことは本当に奇跡のようなものだと思っています。
家族やクレアールの事務局・講師の方々をはじめ、応援したくださった全ての方々に感謝申し上げます。
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。