公認会計士試験の英語出題について

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公認会計士の英語出題

先日、公認会計士・監査審査会より「公認会計士試験における英語による出題の方向性について」が公表されました。これに伴い、令和9年第Ⅰ回短答式試験、つまり2026年12月の短答式試験より、一部英語による問題出題が実施されることになりました。
今回はこの英語出題について、経緯と試験対策を考えてみたいと思います。

導入の背景と経緯

単なる「試験の難化」ではなく、なぜこのタイミングで英語出題が導入されることになったのでしょうか。そこには、日本企業の置かれた環境の変化と、会計士に求められる役割の変化があると思われます。

①資本市場の国際化とIFRSの浸透

現在、東京証券取引所の時価総額の多くを占める大企業を中心に、日本の会計基準ではなく、IFRS(国際財務報告基準)を採用する企業が増えています。
また、日本基準で報告を行う企業であっても、上場企業であれば海外子会社を抱えることはもはや当たり前となりました。連結決算の現場では、海外拠点の監査人や経理担当者と英語でコミュニケーションを取り、英文の報告書を読み解く力が必要になってきています。

②実務界(監査法人など)からの要請

この改正には、実務現場からの要請もあったのではないかと推察されます。監査現場では、海外往査や国際的なグループ監査において、若手の年次から英語に触れる機会が増えています。実際に監査法人で働いている私も英語に触れる機会が多いことを身をもって感じています。
また、監査現場だけでなく、コンサルやM&A市場においても、クロスボーダー案件(国境を越えた買収・合併)が増加し、財務デューデリジェンスやバリュエーションの現場では、英語が「特別なスキル」ではなく「前提条件」となりつつあります。公認会計士・監査審査会においても、国際的な実務に対応できる人材を早期に育成・選別する必要がある、という議論が重ねられてきたようです。

③「英語ができる会計士」の希少価値を高めるため

これまでの試験制度では、英語力はあくまで「任意」の側面が強く、合格後に苦労する若手会計士も少なくありません。あえて試験科目の枠組みの中に英語を組み込むことで、「日本の公認会計士は、国際水準の言語リテラシーも備えている」というブランドを国内外にアピールする狙いもあるのではないかと思われます。

試験対策について

公認会計士試験への英語導入について、不安や抵抗を感じるのは非常に健全な感覚だと思います。これまで「会計の専門性」で勝負してきた試験に、性質の異なる「英語」が入ってくることへの戸惑いは、多くの受験生が感じているでしょう。

しかし、現時点で公表されている情報を見ると、「英語が苦手な人を切り捨てる」というよりは「最低限の専門用語を英語で認識できるか」を問うレベルに留まる可能性が高いです。

以下に、英語出題における概要をまとめてみました。

・配点は全体の1割程度。短答式試験500点満点のうち、50点程度とされています。
・出題範囲は日本語と同じ。新しい知識が必要なわけではなく、会計及び監査の内容は同じです。一方で、導入経緯にもあるように、IFRSに関する出題、いわゆる日本基準とIFRSとの違いに関する出題が増えると予想します。
・難易度は低めに設定。「英文を読む負担」を考慮し、日本語の問題よりも問題自体は単純なものにする方針が示されています。
・リスニング、英作文はなし。あくまでマークシート形式の読解(リーディング)のみです。


つまり、「英語の試験」ではなく「英語で書かれた会計の問題」が出るだけなので、単語さえ分かれば、会計知識で押し切れる設計になると予想されます。

以上のことを考慮すると、英語が苦手な人であっても、英語そのものをイチから勉強し直す必要はありません。会計士試験専用の対策に絞れば負担は最小限に抑えられます。具体的な対策を考えてみました。

①「会計専門単語」の読み替えリストを作る

一般的な英単語(”Apple”など)を覚える必要はありません。テキストに出てくる漢字を英語に置き換える作業だけで、得点源になります。
・資産 → Assets
・負債 → Liabilities
・発生主義 → Accrual basis
・減価償却 → Depreciation
このように、日本語の専門用語の横に英語を併記して覚えるだけで、問題文の主旨がパッと理解できるようになります。

② USCPA(米国公認会計士)の基礎問題を流用する

USCPAの試験はすべて英語ですが、問題の構成は非常にシンプルです。市販されているUSCPA用の英単語帳や、基礎的な問題集の日本語訳付きのものをパラパラと眺めるだけで、「会計英語の言い回し」に慣れることができます。

③「キーワード・リーディング」に徹する

全文を完璧に翻訳しようとせず、問題の核となるキーワードだけを拾う練習をします。例えば、Impairment(減損)、Consolidated(連結)、Internal Control(内部統制)など、一発で意味を確定させるキーワードを拾います。これらを拾うだけで、文全体を精読しなくても「あ、これはあの論点だな」と瞬時に判断できます。

実務における英語

最後に、昨今の監査現場では、AI翻訳を使いつつも「翻訳が正しいかどうかを判断する力」が求められてきています。
英語が得意である必要はありませんが、これによって身についた英語力は、必ず合格後の武器になります。諦めずに頑張りましょう!

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