森山 直輝さん
- PROFILE
- 有限責任監査法人トーマツ 長野事務所
1. 具体的な業務内容ついて
監査業務
上場企業をメインに、中堅スタッフとして、主に現場での内部統制、および決算財務諸表の監査を行っています。
上場準備支援+上場準備前監査
通常の上場のための相談のみならず、決算の早期化や、内部統制についての相談対応などを行っています。
2. 将来やってみたいこと
IT監査
現在、監査を受けている企業の中で、会計システムを利用していない会社はほとんどないと思いますが、これらITについての監査が、J-Soxのため、必要となってきました。ITについての監査技能は、今後必須と言っていい分野となってくると思います。私自身、この分野に関しての資格を取っており、今後はこの技能を生かして業務を行っていきたいと思います。
上場準備支援業務
現在も1社担当していますが、上場支援は監査をする者にとって、もっとも身近なコンサル業務であると思います。この分野の業務は、会社の内情もよくわかりますし、またクライアントに喜ばれる業務でもあります。この業務は今後も続けていきたいと思います。
3. 会計士に求められていること
会計士に求められていることは以下の3つだと思います。
- 職業的専門家として、常に一定水準の業務を行うこと。
- また、昨今の経済事情から、不正、虚偽表示のリスクは高まっていることから、職業的専門家としての正当な懐疑心に基づき、これらのリスクに明敏に気がつき、対応できる人材。
- クライアントの置かれている状況や内部統制の状況をよく理解し、またクライアントと良好なリレーションを構築できる人材
4. 会計士になってよかったこと
- 多数の方と出会えたこと。特に、一般企業に勤めていては出会う機会がない方とも出会う機会に恵まれたこと。
特に、上場準備の会社では、通常では話をすることもできないような身分のある方ともお話させていただく機会に恵まれました。 - さまざまな業種のさまざまな会社を見ることができたこと。
私の関与先は製造業がメインですが、そのほかにも流通、小売、金融、研究所、ホールディングカンパニーなど多くの業種の会社へ往査する機会に恵まれました。さまざまな会社を見ることができたのは良い経験だったと思います。
5. その他
今受験を考えている方、現在受験されている方へ
現在、社会の状況は100年に1度といわれる不景気の中にあり、監査のリスクは高まるのに加えて、会計の世界でも、四半期監査、内部統制監査の荒波にもまれております。これまで以上に質の高い監査を四半期ごとに行うことを要求されているため、仕事の量は増大するのに対して、適時開示の観点からかけられる時間は短くなっています。このことが意味するのは、
「今、実力があり、かつ多様な人材が必要とされている」
ということだと思います。アンテナの高い方は、上記のような状況について、すでに監査法人へ勤めている方などから、具体的に状況を聞かれているかもしれません。現場では即戦力となる人材が求められており、単に会計のみ知っていればそれで業務を行うことができるという状況でもなくなってきています。そのため、即戦力になりうる実務対応能力、および会社内で行われている実務に関して、多様な知識を有している人材に対する需要は大きいと思います。
しかし、業務が厳しい反面、合格のみならず、その後の自己のキャリアまで考慮している方にとっては、現在の状況は実力を示すためのチャンスであると思います。なぜなら、過去のように業務そのものがなかった時には、自分の実力を示すためには、そもそもそのチャンスをつかむという幸運が必要となっていました。しかし、現在は業務が多いがゆえに、望めば自分の望む業務の割り当てを受けることが可能になります。このことは、自分のオリジナルなキャリアを形成するためには非常にプラスになるからです。
以上のように、業務の環境などは変わっていても、なお資格として魅力的であることは変わりがないと思います。また、難関試験を突破して監査法人で働くことを希望している皆さんは、監査を行うことについて高いモチベーションを有しておられると思います。そのモチベーションを、まずは合格に向けて維持していただければと思います。皆さんの合格を祈念しております。