はじめに
皆様は「一時は万事」という日本のことわざをご存知でしょうか。このことわざには、”一つのことを見るだけで他のすべてを見通すことができる”という意味があります。
資格学習にこのことわざを当てはめれば、”普段の学習の一つ一つが、その資格試験の合否を握っている”というように捉えることができるのではないでしょうか。特に会計士試験においては、通常、数年間に渡る継続的なコミットメントが求められるため、他の受験生と差をつけるためには、日々の学習を丁寧かつ着実に積み重ねる必要があります。
今回はそんな会計士試験について、普段から質の高い学習を実践するための秘訣をご紹介したいと思います。
「①勉強量×②勉強の質=③学習成果」の数式で振り返りを実践
まず資格試験の学習にあたっては、”学習成果”が伴っているかどうか、普段から考えるようにしてみましょう。具体的には、試験合格のための最大効果のある学習を普段から実践できているか考える、ということです。
”学習成果”を日常的に振り返るためには、「①勉強量×②勉強の質=③学習成果」というシンプルなフレームワークを持つのが良いでしょう。たとえば、毎日の学習が終わった時に、今日の”①勉強量”と”②勉強の質”はちゃんと”③学習成果”を伴うものであったか、振り返るようにするということです。
この点、上記の数式にもとにすると、”①勉強量”には一定の限界があることに気づかれるのではないかと思います。誰しも1日24時間しか活動できませんし、こと社会人受験生であれば、日常業務や睡眠時間との兼ね合いから、学習時間に大きな制限がかかるでしょう。
したがって、”③学習成果”を最大化するためには、”②勉強の質”を高める必要があります。
質の高い学習方法とは?
それでは、”②勉強の質”を高めるために効果的な学習方法とは何でしょうか。公認会計士試験では暗記が求められる理論問題と計算問題が両方とも出題されますので、それぞれの問題の特徴を押さえた学習を実践する必要があります。
たとえば、それぞれの問題対策にあたっては、次のような2つの学習を実践すれば、きっと”③学習成果”を最大化することができるでしょう。
(理論問題)アクティブリコール(自発的な思い出し)
暗記が求められる理論問題の対策に効果的な学習方法の一つが、” アクティブリコール(自発的な思い出し)”です。これは読んで字のごとく、「自発的に思い出す」というアクションを活用した学習方法です。
たとえば、公認会計士試験(短答式試験)の財務会計論の理論問題において、会計処理の背景に関する質問が問われた場合には、問題文のキーワードから学習内容を頭の中で思い出すというプロセスを踏むでしょう。このように、理論問題の解答に当たっては「思い出す」という行為そのものが求められるため、それを普段から実践できるような学習を心がけると良いでしょう。
具体的には、普段の学習時にテキストの内容にただ目を通すだけではなく、テキストとご自身の目を閉じて頭の中でテキストの内容を思い出すようにすれば、自発的に思い出すことにつながり、ご自身の記憶が強化されるでしょう。また、仮にテキストが手元にない場合であっても、電車やバスの移動中に最近学習した内容を頭の中で思い出すようにするという学習方法も効果的です。
初めのうちは思い出しに苦労するかもしれませんが、2回3回と複数回思い出しをする中で記憶が強化されていきます。きっと自然と学習内容が頭の中に定着していきますので、アクティブリコール(自発的な思い出し)をぜひ実践してみてください。
(計算問題)なぜなぜ分析
会計士試験で出題される計算問題では、精緻な数値の導出が求められるものが多いかと思います。そして、求められる計算能力は一朝一夕では身に付きませんので、日頃からより多くの計算問題を演習する必要があります。ここで、ただ闇雲に計算問題を大量に解くだけではなく、”なぜなぜ分析”を組み合わせることができれば、より質の高い学習を実践できるでしょう。
“なぜなぜ分析”とは、トヨタ自動車が発案した「なぜ」を用いて問題の真の原因を分析するための方法です。具体的には、「なぜ」を複数回繰り返すことにより、その問題の解決と次回以降の問題発生を未然に防ぐための問題のボトルネックを明らかにします。
この”なぜなぜ分析”を会計士試験の計算学習に当てはめると、計算問題を誤ってしまった際に、たとえば「なぜ」を5回程度繰り返し、その真の原因を明らかにするようにするのが良いでしょう。そうすることで、解答ミスの原因が、学習論点の理解不足にあったのか、記憶の忘却にあったのか、問題文の読み間違いにあったのか、単なる電卓の打ち間違いにあったのか等、そのボトルネックが明らかになることでしょう。
“なぜなぜ分析”に取り組む際の注意点としては、まず、「なぜ」は適切な回数とすることが挙げられるでしょう。上記では、「なぜ」を5回繰り返すことを例として挙げていますが、場合によっては5回繰り返す前に真の原因が明らかとなったり、5回以上「なぜ」を繰り返したほうが良いこともあります。ある程度、真の原因が明らかになれば、一旦”なぜなぜ分析”はストップし、その原因に対する対応策を考える方向にシフトしましょう。
また、”なぜなぜ分析”を行っても真の原因が分からないときは、会計士講座の担当者や講師等のメンターに相談してみるのが良いかもしれません。彼らは他の受講生との面談経験や試験の特徴を踏まえたアドバイスに長けていますので、きっとご自身の問題解決にぴったりのアドバイスを提供されるでしょう。
おわりに
今回は、普段から質の高い学習をするためのポイントをご紹介しました。会計士試験の学習は長い道のりですので、時には毎日の学習が疎かになってしまうこともあるかもしれません。
しかし、日頃から質の高い学習をするよう心掛ければ、他の受験生との差別化につながり、きっとご自身の目標達成につながるのではないかと思います。そのためにも、ぜひ普段の学習から、今回ご紹介したポイントを実践してみてください!


