「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.45.短答式試験対策 – 監査論 論点別の対策ポイント② 監査法人と公認会計士法、監査基準総論

目次

はじめに

 今回の執筆記事につきましても、短答式試験の監査論について、学習を進めるうえで、個別論点の理解に役立つようなポイントをご紹介したいと思います。監査論の学習においては、未経験の業務に対する想像力が求められることが多いため、具体的な私の監査実務での経験談も交えながら、各論点のポイントをご紹介したいと思います。

監査法人と公認会計士法

 監査法人と公認会計士法の関連性の分野では、監査法人の設立・解散・合併の要件やその業務範囲等、公認会計士法における関連規定を学習します。監査法人と公認会計士法の関連論点については、短答式の監査論の出題頻出分野ですので、クレアールの監査論のテキストにおいても、主に太字部分を中心に理解と暗記を進めていくのが望ましいでしょう。

 この分野を学習するうえで理解を誤るポイントとして、監査法人の「社員」という用語があります。一般事業会社にお勤めの方であれば、「社員」と聞けば、通常はオフィスワーカー等の会社に勤務する一般従業員を想像される方も多いかと思います。一方で、監査法人の「社員」とは、監査法人に出資を行った公認会計士等の上級役職者を意味しており、監査法人自体の経営にも参画する権限を有しています。簡単に例えるならば、監査法人の「社員」とは、一般事業会社でいうところの課長や部長クラス以上の役職者だと理解していただければよいかと思います(ちなみに、監査法人に勤務する一般従業員は、「社員」という名称とは区別して、「職員」等と呼称されることが多いようです)。

 なお、監査法人は有限責任監査法人と無限責任監査法人の大きく2種類に大別されますが、大手監査法人等は基本的に有限責任監査法人の会社形態をとっていることが多いです。有限責任と無限責任の違いは、被監査会社に対する責任が監査法人への出資金の範囲に限定されているか等により異なります。このあたりの責任の範囲の理解においては、クレアールの監査論のテキストの「第5講 監査法人と公認会計士法」の中に、まとめ表が掲載されていますので、そちらを活用して効率的に暗記するのがおすすめです。

 また、公認会計士法関連では、直近の改正論点にも注意をしておくことが必要です。特に、直近では2022年に上場会社等監査人登録制度の運用に係る公認会計士法の改正等が行われています。本執筆記事をご覧になっているタイミング次第で直近の改正論点の内容は異なるかもしれませんが、いずれにしてもトピック論点として短答式試験で出題される可能性が高いものもありますので、重点的に確認を進めるようにしましょう。

監査基準総論

 クレアールの監査論のテキストにおいては、「第6講 監査基準総論」という章が設けられていますが、このセクションは監査基準の全体像を理解するために非常に有用です。特に、監査基準の種類がまとめられているページについては、監査基準の全体像を網羅的に俯瞰することができますので、普段からざっくりと目を通すようにしてみてください。

 なお、監査基準の沿革については、どこまで暗記をするのか悩ましい論点だと思います。監査基準の沿革では、これまでの監査基準の設定・改定について、過去にさかのぼって学習することとなりますが、私が受験生だったときには漢字ばかりで覚えるのも大変だなと思ったことを覚えています。監査基準の沿革を全て覚えるのは困難ですので、監査論のテキストの中でも太字になっている部分(たとえば、「内部統制の評価及び監査の基準」や「不正リスク対応基準」、「監査に関する品質管理基準」等)の設定や改訂の内容や順序について、ざっくりと把握するのが良いかと思います。テキストで太字になっているところは、やはり重要論点ですので、大切な論点に絞って暗記をするようにしてみてください。

 余談にはなりますが、監査論の学習におけるよくある悩みとして、学習分野の全体像がうまくつかめず、自分自身が学習している論点が学習分野の中でどこに位置しているのか見失ってしまうということがあります。具体的には、監査論は監査の理論を学習するという学習の性質上、どうしても細かい論点の話に目が向いてしまうため、どこを学習しているか分からなくなり迷子となってしまう、という悩みを抱える方が多いのではないでしょうか。このような悩みを解決するためには、監査論のテキストの中で「詳細論点」の解説に進む前の「概論的」な解説を行っているセクションにしっかり目を通したうえで、「詳細論点」の学習をする中でも適宜「概論的」な解説を行っているセクションに戻って全体像を把握しながら学習するのがおすすめです。”木を見て森を見ず”とはならないように、常に森全体を見ながら学習を進めるようにしてみてください。

おわりに

 今回は、短答式試験の監査論における、財務諸表監査の特徴を理解するうえでの重要概念の具体的なポイントをご説明しました。次回も今回に引き続き、論点別の具体的なポイントをご説明しますので、乞うご期待ください。

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