「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.20.日商簿記1級対策 -商業簿記・会計学 学習のコツ-

目次

はじめに

 前回記事では、日商簿記1級の試験制度・学習内容についてご紹介しました。日商簿記2級・3級とは試験制度が大きく変わることや、学習内容がより幅広く、より難しくなることをご理解いただけたのではないかと思います。今回より、日商簿記1級の具体的な学習方法についてご紹介します。まずは、商業簿記・会計学について、学習の進め方のコツをご紹介します。そのうえで、個別論点別に私がどのように対策していたか、そのポイントやコツをご説明したいと思います。

商業簿記・会計学の学習の進め方のコツ

 商業簿記・会計学では、日商簿記2級の商業簿記をさらに発展させた大企業の会計処理(具体的には、資産除去債務・退職給付会計・減損会計等)を新たに学ぶことになります。私の体感では、日商簿記1級の学習内容は、日商簿記2級の商業簿記の学習内容が2倍くらいに増えたように感じました。日商簿記2級までは、特に何も考えず、講義動画を視聴して練習問題を解き、過去問題や本試験想定問題の対策を行えば試験合格レベルに到達できましたが、日商簿記1級は学習内容が約2倍に増加するため、学習方法を工夫する必要があります。具体的に、私は次の①~③の方法で学習を進めていました。

まずは講義動画をスピーディーに消化する

 まず、日商簿記1級の学習を始めた初期段階では、全ての講義動画できる限り早めに視聴し終えるようにしていました。初めて講義動画を見る段階では、学習内容のすべてを暗記することは無理だと諦め、まずは講義動画に全て目を通して日商簿記1級の学習範囲の全体像を把握する必要があると考えていたためです。そして、学習範囲の全体像が把握できれば、その後復習するときにどこが難しいのかアタリを付けることができ、メリハリをつけたペース配分で学習を進めることができます。このとき注意していたことは、各講義動画の内容で分からないことがあれば、分からないままにしないようにすることです。講義動画を視聴したときにその内容をきちんと理解できていれば、仮にその内容を忘れたとしても、復習のタイミングで内容を思い出すことができますので、復習のときの二度手間を減らすことができます。このように、初めて講義動画を視聴する段階ではすべての内容の定着・暗記は諦め、学習内容をきちんと理解することに専念してみましょう。

テキストの例題の復習とテキスト速読を並行する

 日商簿記1級の会計学・商業簿記の講義動画を一通り視聴し、その内容を理解した後は、復習を何度も繰り返すようにしていました。具体的には、次の(1)(2)の2つの方法を並行して実践していました。

  • (1)日商簿記1級テキストの例題を完璧に解けるようにする

クレアールの日商簿記1級の商業簿記・会計学では、テキストと問題集がそれぞれ配布されますが、問題集の問題をすべて解き切るためにはかなりの時間を要するため、問題集は一度も開かず、テキストの例題を何度も解くようにしていました。クレアールのテキストには、各学習論点別に例題が数多く掲載されており、それらは各学習論点のポイントをきちんと押さえるように作成されています。したがって、テキストの例題のすべてを完璧に解くことができれば、商業簿記・会計学の学習の内容をまんべんなく身に付けることができたと判断することができます。テキストの例題のすべてを完璧に解くことができるまでには相当な時間がかかるためストレスフルですが、必要不可欠な下積み期間と割り切り、テキストⅠ~Ⅲの順に例題を解き続けてください。ちなみに、私がテキストの例題のすべてを完璧に解けるようになったのは、テキストⅠ~Ⅲの例題を3~4周程度復習した頃でした。

  • (2)テキストの速読

日商簿記1級テキストの例題の復習と並行して、テキストの速読を進めていました。速読とは、端的に言えば、普段読書する何倍ものスピードで読むことを意味しています。具体的には、テキストⅠ~Ⅲの順にページをめくり、各学習論点の内容・計算方法・間違えやすいポイント等に目を通すようにします。場合によっては、各学習論点の計算方法等を声に出して理解するようにすることもとても効果的です。もちろん、テキストⅠ~Ⅲのすべてのページを1日で速読することは困難ですので、たとえば、4日~1週間程度でテキスト3冊を1周速読できるようにしていました。こうすることで、定期的にテキストの内容を理解・復習することができ、忘れないように記憶をメンテナンスし続けることができます。それに加えて、テキストの例題を解くときに、速読した内容を思い出すことができ、スムーズに問題復習ができます。初めのうちは速読という学習方法に戸惑うかもしれませんが、復習に適した学習方法ですので、ぜひ試してみてください。

クレアールの答練・公開模試を繰り返し解く

 日商簿記1級のテキストの例題を完璧に解くことができるようになったら、クレアールの答練・公開模試を繰り返し解くようにしていました。この段階では、実際の日商簿記1級の本試験の問題形式に慣れ、試験合格レベルの実力を身に付けることを目標に学習を進めます。クレアールの答練・公開模試は、各実施回の日商簿記1級に合わせて作成されていますので、まずはそれらを完璧に解くことができるようになるまで学習を進めてみてください。なお、既に学習した内容を忘れないようにするため、テキストの速読も並行するようにしてみてください。もしクレアールの答練・公開模試を完璧に解けるようになり、本試験まで時間的余裕があれば、直近の過去問題に手を出してみても良いかもしれません。私が日商簿記1級を受験したときには、直近の過去問題を解く時間はありませんでしたので、クレアールの答練・公開模試のみを演習して本試験に臨みましたが、それだけでも実際の本試験問題に十分に立ち向かうことができました。

おわりに

 今回は、日商簿記1級の会計学・商業簿記について、具体的な学習の進め方のコツ・ポイントをお伝えしました。今回ご紹介した学習法のうち、テキストの速読については、公認会計士試験短答式試験・論文式試験にも効果的な学習方法ですので、ぜひ実践してください。次回は、会計学・商業簿記の個別論点別に、学習を進めるうえでのコツ・ポイントをご紹介します。

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